沖縄本島より台湾の方が近い与那国島。かつては密貿易で栄え今はカジキ漁の盛んなこの孤島で、旅の最後に神のお告げ?を聞くことになるとは…||与那国島旅行記|久部良|祖納|比川|那覇||

【神のお告げを聞け-与那国島旅行記】
第4話)恐るべしT大生のDNA

||与那国島旅行記|久部良|祖納|比川|那覇||

与那国は島内にバスも走ってるが一日に数便しかなく、観光には不向きだ。だが初めに目を付けた民宿Mはレンタカー屋も兼ねていた。ペーパードライバーの僕は車の運転は事故りそうだったのでスクーターを借りることにした。天気予報が曇りのち雨なのが気がかりではあるが…

与那国島旅行記|日本一西のレンタカー屋 もすらのたまご
日本一西のレンタカー屋 もすらのたまご

民宿Mの事務所の戸をあけると誰もいない。仕方なく民宿の方の玄関を開けると宿泊客らしき若者がスマホでゲームをしながらダラダラしていた。

  「ああ、この時間、宿の人は空港に送迎にいってますよ。ちょっと待ってれば戻ってきますよ」

と若者は慣れた口調で、またダラダラとゲームを始めた。まったく与那国まで来て何をやっているのだ、こいつらは。

暫くすると宿の人が戻ってきたので、バイクを借りて島探検にいざ出発。

まずは島の最西端、すなわち日本の最西端、西崎(いりざき)に向かい、ついでに日本一西の公衆トイレで用事を済ませてみる。

与那国島旅行記|日本の最西端と日本一西のトイレ
日本の最西端と日本一西のトイレ

続いて南牧場に向かう、向かうというか、この牧場は道路がその中を突っ切っている。スクーターを走らせていると、前を行く車がスピードを緩めた。何だろうと思っていると、与那国馬が道に沿って軽やかに闊歩している。人や車に慣れているのだろう、馬はこちらが近づいても驚かない。悠々と草を食む姿を見ていたら突然「馬の幸せって何だろう?」などドーでもいい哲学的な疑問が沸いてきた。

それしても、この牧場道路、遠目は牧歌的なのだが近寄ると道は馬の雲古だらけ。日本一養分豊かなアスファルトはここ与那国牧場道路に間違いなし。

与那国島旅行記|与那国馬と日本一養分豊かなアスファルト
与那国馬と日本一養分豊かなアスファルト

しばし牧場の道路を流していたら小雨が降ってきた。僕は百円ショップで買っておいたポンチョを着込む。こんな安物でもあるとないとでは大違い。意外な役立ち度に驚く。

しかし比川集落に至るころになると雨は本降りになってきた。どこかで雨宿りをと思って喫茶店でもないかと物色するが、そんな洒落たものなど集落にはない。仕方なく居酒屋でそばを注文。既に昼食は済ませてあったのでちょっとヘビーだったが美味いそばだったので良しとしよう。

与那国島旅行記|食事処さとや
満腹だったが、美味いそばをいただく

まだ小雨の降りしきる中、ぐるっと島を一周しバイクを返しに行った。

  「雨は大丈夫でしたか?」
  「まあ、なんとか。ところで今与那国は観光シーズンなのですか?」

僕はレンタカー屋兼民宿のオネーさんに島の観光事情を尋ねてみた。

「今は特に学生さんの春休みで混んでるわ。うちにはT大の釣りクラブが合宿してるの」


な、なにい、T大だとぉ。では昼過ぎにスマホでダラダラとゲームに興じてたやつらは天下のT大生か。そう言われると、あの時はアホな若者に見えたが、賢そうな顔してたようにも見える気がしてきた。ブランド力やら学歴やら、とかく権威に弱い自分が情けない。トホホ。

「あの人たちはカジキを狙っているの。釣れたら釣れたで冷蔵庫に入りきらなくてお祭り騒ぎよ。」


な、なにぃ、カジキ釣りだと!! お前ら学生の分際で松形弘樹か!!

難関を突破した奴らは、釣りにもセレブなトローリングという偏差値90越えの難易度の高い釣りを求めてしまうのか! 恐るべしT大生のDNA。

(続く)


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最終更新:2016年08月24日 19:57