【チップと値切りのエチオピア旅行】
第12話)最後の台詞

《エチオピア旅行記|アジスアベバ|バハルダール|タナ湖|ラリベラ》

首尾よく観光案内所に荷物を預けるとができたので、わざわざ宿を取る必要もなくなり、アジスアベバ半日のトランジット観光に使ったお金は僅かであった。

エチオピア旅行記|アジスアベバ市内の修道院やカフェ
アジスアベバ市内の修道院やカフェ

そのため、手元には460ブル(約2,162円)も予定外に残ってしまった。エチオピア通貨・ブルは出国してまえば紙屑であるが、今ここで替えれば25$にはなるだろう。

チェックインカウンターで空港内に銀行があることを確認すると、僕は安心して出国審査を済ませ、免税品店が立ち並ぶ3階フロアの銀行窓口に向かった。そしてUSドルに替えてくれと頼むと、

  「ここにドルはありません。1階の銀行に行ってください。」

面倒だなぁ。周りが免税店だらけなんだからUSドルがないわけがないだろうに…


仕方なく1階に降りて、到着ロビーにある銀行で両替を頼むと、

  「申し訳ありません。ここにドルはありません。」

嘘をつけ!! 国際線到着ロビーの銀行でドルがないだと、と一瞬頭に血が昇りかけるが、すぐ冷静さを取り戻し、ここがエチオピアであることを思い出した。再両替のできない途上国は多い。油断してた。為替を示す銀行の電光掲示板も「外貨⇒ブル」はレート表示されてるが、「ブル⇒外貨」は消えている。

しかし460ブル(約2,162円)を紙屑にする気はさらさらない。せっかく昼間のムダな出費を押さえたのだ。その分の努力が紙屑になるのがなんとも悔しい。ええい、こうなったら闇両替だ。

僕は銀行の前で、両替にやって来る国際線の到着客を待った。そして「ドルを持ってないか、僕のブルと両替してくれ。」と片っ端からお願いしてみた。しかし、

 「申し訳ない、現金は持ってない。ATMで引き出すところなんだ。」

という客ばかり。そう、最近は誰もが現金で両替などせず、カードで引き出す。こういう自分だって、エチオピア初日はそこのATMから引き出したじゃないか。

そろそろ時間がなくなってきた。あと一人だけ聞いてみよう。僕は一人の西洋人女バックパッカーに最後の望みをかけてみた。

  「現金、あるわよ。両替しましょうか?」

おお、最後に救われた。この女性パッカーさん、何だか女神さまに見えてきたぞ。

  「でも、タンザニア シリングだけど、いいかしら?」

タ、タンザニア シリングぅぅぅぅぅ、そんなものに両替されても困るぅぅぅぅ、、、



この余った460ブル(約2,162円)は紙屑と化すしかないのか!! なんとも悔しいではないか。僕は行き場のない悔しさがこみ上げてきた。

そしてブルを再両替えしてくれない銀行に向かって、罵りの言葉を吐いて立ち去った。もちろん、その最後の捨て台詞はこのフレーズしかない。、

  「このぉ、ブル・シットぉ!!」

エチオピア旅行記|エチオピアのブル紙幣
エチオピアのブル紙幣

(FIN)


もどる < 12 > 目次へ



最終更新:2016年08月24日 10:10