【チップと値切りのエチオピア旅行】
第9話)食べたり 飲んだり、エチオピア・グルメ事情
《エチオピア旅行記|アジスアベバ|バハルダール|タナ湖|ラリベラ》
ここらで少しエチオピアのグルメ体験を紹介しましょう。
◆インジュラとパン
エチオピアで現地料理を頼むと、何も言わず付いてくるのがインジュラという巨大なクレープ状のパンである。テフという穀物が原料で、酸味があり、直径が70cm程とデカい。
肉のギドギト煮込み(カイワット)でも、豆のドロドロ煮込み(シュロワット)でも、大抵はこのインジュラの上に盛られて供される。そして、インジュラをちぎって料理をすくい包みながら食べるのだが、ギドギト系料理にこのインジュラの酸味は相性がよい。
運良くこのインジュラを作っている過程をティシサット村で見ることができた。庭のかまどで巨大な丸鉄板を暖める。そこに洗面器にといたインジュラのネタを渦巻き状に流し込む。そして魔法のランプのような玉ねぎ型の蓋をし、蒸し焼くのだ。無論ガスなど普及していないエチオピア、一連の作業は全てが炭火だ。
インジュラのネタは一度に焼ききらず、一部を残して発酵させ、次にインジュラを焼くときのイースト代わりにするという。つまりインジュラは、継ぎ足し継ぎ足し使われる老舗料亭のタレみたいに歴史が詰まっている。
でも、さすがに毎日インジュラばかりを食べてると飽きてくる。ある日あまり期待せず、インジュラの代わりに普通のパンを頼んでみた。するとそれが想像以上に美味い!!
インジュラで培った発酵食品に対するエチオピアの長い歴史が、美味しいパンも生み出しているのだろうか。
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◆コーヒーいろいろ
エチオピアといえばコーヒーの原産地として名高い。世界中のコーヒーは、ここエチオピアから広まった。
そんなコーヒーの家元には独特のコーヒー道が確立されている。
まず欠かせないのは、小さなコーヒーちゃぶ台だ。その上に小ぶりの茶碗をたくさん並べ、オーダーが入るとアラジンの魔法のランプのようなポットでコーヒーを煮出す。火力はもちろん炭だ。
さらに周りに草を敷いて自然の中にいる感を演出。そして香木に火をたき、辺りに薫りを漂わせる。そうこうするうちにコーヒーが出来上がる。小さな茶碗にコーヒーを注いで、ちびりちびりと楽しむ。これがエチオピア流コーヒー道。こんなスタイルが首都の大通りから田舎の裏道まで、津々浦々に浸透している。
そんな儀式的なコーヒー道以外に、シンプルに飲み物としてコーヒーを楽しむスタイルももちろんある。スタバがまだ進出していないエチオピアにあって、最も有名なのは、アジスにあるTOMOCAコーヒー店であろう。店内のクラシックな装飾は長い歴史を感じさせるが、店頭の庭木までコーヒーの木というのはさすがであった。
そして、エチオピアで最もたまげたものの一つが、ティー/コーヒー だ。とあるカフェのメニューでこれを見つけた時「単なる誤植だろう」と思った。試しに頼んでみると、なんと紅茶の上にコーヒーが注がれ、ガラスのカップで供された。
見事なツートンカラーが美しく、苦くて濃いコーヒーを味わった後に、さわやかな紅茶の味が楽しめる。一杯で二度美味しい、まさにグリコな逸品であった。
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◆とっても濃厚、フルーツジュース
エチオピアで意外に美味かったのがフルーツジュースだ。ほとんど水を加えることなく果物をミキサーにかけるのだろう。ジュースというよりもフルーツペーストといっていい程、濃厚だ。
どのフルーツでジュースにするか迷ったときは「全部ミックス」と頼む。すると、グラスに 赤(パパイヤ)/緑(アボカド)/黄(バナナ)/橙(マンゴ)と見た目も鮮やかな一杯がやってきた。こんなフレッシュなヤツがわずか11ブル(約52円)とガリガリ君より安いのだから、エチオピアに来てこれを楽しまない手はない。
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◆エチオ・ピザ
イタリアに統治されていたエチオピアは、その影響を受けた食文化も根付いている。ピザはどこのレストランでも用意されているメニューだ。で、一度エチオピアのピザはどんなものかと頼んでみた。
しかし、エチオ・ピザには致命的な欠陥がある。それは火力。高温の石釜で一気に焼き上げたピザは美味い。が、残念ながらエチオピアのレストランにそんな石釜はない。溶けきらないチーズの乗ったピザが好きな方にだけエチオ・ピザをお勧めします。
エチオ・ピザ ― 火力が弱く、チーズが溶けきっていないのが残念
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◆危険が一杯、ミックスサラダ
伝統的なエチオピア料理ばかり食べてると、どうしても生野菜が不足してくる。そこでミックスサラダを注文してみた。一人前でも結構ボリュームがあり、これとパンだけで十分食事になる。
そして意外にもエチオピアの野菜は美味いのだ。考えてみれば、世界最貧国のエチオピアである。農民は農薬など使えないのだろうから、素材は必然的にオーガニック野菜となる。見た目は悪いが味がしっかりとして濃い。
ガブッ、ムシャ、美味い!
ガブッ、ムシャ ムシャ、美味い 美味い!
と、調子こいてパクついていると、大変なことになった。
アヂィヂィヂィヂィヂィヂィ~
サラダの中には、超激辛の青唐辛子が仕込まれていたのだ。このサラダ、ぜひ出川哲郎に食わせて、そのリアクションを見てみたいものだ。
最終更新:2016年08月24日 10:06