【台湾の中心で、暑いと叫ぶ―南投県の夏旅】
第5話)清境農場(チンジンノンチャン)の決闘
||台湾|埔里|清境農場|の旅行記||
埔里(プーリー)は標高500m。真夏でも夜なら過ごしやすいが、昼間はやはり暑い!!
なので昼でも涼しい海抜2000mの清境農場(チンジンノンチャン)に行ってみることにした。この辺りは元々少数民族のテリトリーだった所で、埔里(プーリー)のバスターミナルにも明らかに漢民族とは異なる顔立ちの人たちが見うけられる。
埔里(プーリー)バスターミナル-少数民族もちらほら
バスは高原に向かって九十九折の山道を一気に駆け上がる。深い緑が車窓を流れ、やがて農場前に到着するとさすが標高2000m、涼しい風がそよぎ気持ちがよい。
ここから急な遊歩道を登り歩いて牧場に到着。なるほど台湾のスイスと呼ばれるだけはある。羊が草をはむその光景はまるで本物のスイスのようだ(行ったことないけど、、、)
とはいえここは台湾。牧場の出口には賑やかなアジアの屋台が広がっていた。売られているのは山岳地帯らしく猪肉の腸詰や周辺で取れた野菜や果物。
ちょうど喉が渇いたので何かで喉を潤そうと思ったら、桃を売っている原住民の屋台を見つけた。
「現削皮」
と書かれているので、その場で皮を剥いてもらえるということなのだろう。数少ない知ってる中国語で「我要一个(ウォヤォイーガ)-ひとつください」と言うと、原住民のおばちゃんはニコニコして皮を剥いてくれた。
最近中国語をかじり始めた僕には、つたない会話でも伝わると嬉しい。そして唯一自信を持って言えるコトバを発してみる。
「多少銭?(トォシャォチェン)-お幾らですか?」
「イーバイ・ウー・クァィ」
この答えに僕は狼狽した。始めたばかりとはいえ、中国語の1から99の数字くらい分かるつもりだ。そして「ウー=5」「クァィ=元(話言葉)」であることはすぐに分かった。しかし「イーバイ」てなんだ。
1(イー) 2(アール) 3(サン)…99(ジゥシージゥ)
僕は性能の悪い自分の中国語脳に検索をかけてみた。だが「イーバイ」が見つからない。
あれ待てよ「イーバイ」って「一百」か? じゃ「イーバイ・ウー・クァィ」は「105元(300円)」ってことか。うわ、ぼったくりじゃん!!
でも僕の中国語悩のメモリーはかなりいい加減なので、念のため英語で、
「One Hundred FIVE ?」と聞いてみる。すると、
「No!! One Hundred FIFTY」と返ってきた。
そうだった。中国語で「150」とか「250」とか言う数字をコトバで表現するとき、下二桁を「五十(ウーシー)」と言わず「五(ウー)」で済ませてしまうのだった。
つまり、桃一個は150元(420円)!! 原住民のおばちゃん、あんたはいつから銀座千疋屋になったんかいな!!
しかし「現削皮」してもらった桃を今さらキャンセルするわけにも行かない。先に「多少銭?(トォシャォチェン)」しなかった自分が悪い。
清境農場の決闘、これはオイラの完全なる敗北で幕を閉じたのであった。
最終更新:2016年08月27日 00:19