【台湾の中心で、暑いと叫ぶ―南投県の夏旅】
第3話)忘れ去られる3.11?

||台湾|台北|集集|水里|の旅行記||

早朝に彰化(チャンホア)を発ち台湾中部の高原の街・埔里(プーリー)に向かう。途中、台湾国鉄・集集(ヂーヂー)線の沿線に立ち寄りながらののんびり旅だ。

彰化(チャンホア)から集集(ヂーヂー)線に乗り入れたディーゼル列車は、渓谷沿いの田園風景の中をのんびりと進む。この集集(ヂーヂー)線、日本統治時代に建設されたローカル線で、一度廃線になった後、沿線に多く残る古い風情のある駅舎などを資源として、観光鉄道として復活した鉄道だ。

ノスタルジックな集集(ヂーヂー)線
ノスタルジックな集集(ヂーヂー)線

なので、海外なのに日本以上に「昭和」なノスタルジーを感じさせるのが面白い。

集集(ヂーヂー)駅で途中下車し、ツーリストセンターに荷物を預けると、まだ朝食を取っていないことを思い出した。

センター脇の食堂では「山蕉炒飯(Hill Banana Fried Rice)」なるメニューを見つけた。このあたりは様々な種類のバナナが栽培されているというので、試してみる。一体バナナ炒飯なるモノ、いかがな存在なのかと期待するが、何のことはない、焼き飯にバナナチップをまぶしただけではないか!!

山蕉炒飯(Hill Banana Fried Rice)
山蕉炒飯(Hill Banana Fried Rice)

ま、バナナで街興しと頑張るその気概を買ってやろうではないか。

遅い朝食を済ませると、自転車を借りて穏やかな時間の流れる集集(ヂーヂー)の街周辺を探索する。ヤシの木の茂る郊外は、横切る風が心地よい。

集集(ヂーヂー)の街と周辺
穏やかな時間の流れる集集(ヂーヂー)の街と周辺

しばらく自転車でふらふらしているうち、とある寺院が目に飛び込んできた。寺院の前には観光バスが横付けされ、大勢の観光客がやってくる。一体どんな寺院なのだと自転車を降りてみる。すると、その寺院は無残にも崩れ落ちたままであった。

1999年、この辺りは未曽有の大地震に襲われ、壊滅的な被害を受けた。しかし、僕の脳みそのシワは、この隣国の大惨事を「そういえば、そんなこともあったっけ」ぐらいにしか記憶していなかった。無論この崩れた寺院を見なけれは永久に忘れ去ってしまっていたことだろう。

集集-武昌宮
崩れたままの寺院・武昌宮-大地震の惨劇を後世に伝える

あの3.11東日本の惨事も、当事国は別として、何も伝える努力をしなければ世界から忘れ去られてしまうのだろうか?

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再び集集(ヂーヂー)線の列車に乗って、終点一つ手前の水里(シュイリー)で降りる。

水里(シュイリー)の駅と街
水の里「水里(シュイリー)」

さすがに「水の里」と書くだけあって、河の流れが綺麗な街である。だが時刻は昼過ぎ、渓谷のせせらぎの音を聞くと涼しげに感じるものの、8月の台湾中部の日差しは容赦を知らない。じわじわと汗が吹き出し、シャツはドロドロだ。

この水里(シュイリー)から、ローカルバスで埔里(プーリー)まで一気に山道を登る。僕はバスの時刻を確かめにバス会社の事務所を訪れた。そして、目の前に停まっていたバスにのけぞった。

そこに鎮座していたのは、どちらが前か後ろかわからない奇妙な形のオンボロバス。ゲッ、このバス、冷房が付いていないのでは!!

水里から埔里へのバス??
ゲッ、このオンボロバスに乗るのか!!

この先曲がりくねった山道を一時間以上もクーラー無しで揺られていくのかと思うと、なんとも憂鬱な気分になった。。。

(続く)


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最終更新:2016年08月27日 00:15