【宮古島旅行記/年越しは宮古島で!!】
第5話)池間島には行けません
||沖縄旅行記|宮古島|平良|城辺|砂川|狩俣||
12月の宮古島は雨が多いと聞いていた。幸い初日と二日目はそこそこの天気で、曇天ではあったものの、雨にたたられることはなかった。しかし二日目の夜から雲行きが怪しくなり、夜から強風が吹き荒れた。
三日目は朝から小雨がちらほら。この日は宮古島の北にある離れ島・池間島に行こうと思っていた。池間島は全長1.5kmの橋で宮古島と結ばれている。この橋を歩いて渡たったらさぞ気持ちよいだろうと目論んでいたが、この天気では抜けるような青い海の上を歩くことは期待できない。
でも、ともかく行ってみよう。宿で傘を借り、池間行きの路線バスに乗り込む。宮古島はバスの本数が少ないので、しっかり時刻を調べておかなければならない。
橋の手前、狩俣で下車。橋に向かって歩き出すと益々雨足が強くなってきた。そしてそれ以上に強まってきたのが風である。
ビュー ビュー ビュー。あわわ、なんか台風のようだ。立っているのもつらい。すると一台の軽自動車が僕の前に止まった。なかからオバちゃんが
「どこまで行くの、乗ってく?」
と声をかけてくれた。しかし僕の目的は橋を歩くことである。ここで車に乗っては意味がない。
「散歩してます。大丈夫です」
と断って後悔した。風はますます強まり、とうとう傘の骨が折れてしまった!! もはや散歩なんてしている天気ではない。
「よかったら雨宿りしていきなさい」
と近くの食堂のおばちゃんが薦めてくれたので甘えることにした。
「この辺りは風が強いから、傘は役にたたないわよ。あたしなんか2本も骨折させたわ。」
狩俣がこんな強風地帯だとは知らなかった。少し雨風がおさまったころを見計らって再び歩き出すも、とてもじゃないが池間島まで行けそうにない。こんな天候では橋の上で風に煽られ海に落ちてしまいそうだ。
- - - - - - - - - - - - - - - - - -
ここで急遽予定を変更。橋の手前の雪塩製塩所に行き先を変えた。ここでは工場見学できるというから、それも楽しそうではないか。
夏は海水浴客でにぎわうであろうビーチの外れに、小さな製塩所がたたずんでいた。
見学を申し込むと係りのお姉さんが観光客をレクチャールームに誘導。この製塩所独特の製法を説明する。
「普通の製塩所は海水をそのまま蒸発させますが、ここでは珊瑚礁で濾過された地下海水を使っています。だから不純物が入ってなく、しかも珊瑚を通っているのでのカルシウムが豊富なのです。」
ほほう、分かりやすい。
「しかも煮詰めず、塩水を熱した鉄板に吹き付け瞬間蒸発させるのでこのように粉雪のようにサラサラパウダーの塩になります。」
お姉さんは製塩所の先端技術の結晶であるデモ用製品をパラパラと目の前で撒いて得意げである。なるほど確かに粉のような塩だ。
「ただ人間の味覚は、塩の量でなく、結晶の大きさによって塩分を強く感じますので、わざと粒を大きくした製品も作っています。」
オイオイ、雪塩製法は人間の味覚を無視した単なる技術の先走りではないか、とのど元まで言葉が出かかり、突っ込みを入れたくなったのだが、ここは美人のお姉さんに免じてにグッと我慢。
ともかくこの製法だと塩味の柔かい製品に仕上がり、アイスや菓子などと相性がよいことがよく分かる。
- - - - - - - - - - - - - - - - - -
製塩所を後にして先ほどの食堂に戻り、タコのソバを注文。玉ねぎ・ニンジンと炒めたタコがソバとこんなに合うとは意外な驚きだ。「池間島には行けません」と親父ギャグな結末になってしまったが、美味しいタコ・ソバに遭遇できたから、これで結果オーライということにしよう。
無論、借りた傘の骨が折れてしまったことは宿には内緒である。
最終更新:2016年08月26日 22:13