【宮古島旅行記/年越しは宮古島で!!】
第3話)体験農業は大人のキッザニア

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宮古島二日目の朝、今日は「ゴーヤー農業体験」で城辺(ぐすくべ)地区・砂川にある南風ファームにお邪魔する。

市街地の平良バスターミナルは、何の標識もない駐車場のようなところであった。ここから路線バスに乗り砂川小学校で降りる。バス停ではファームの西原さんが待っているはず、、、だが、おかしい、誰もいない!!

携帯で西原さんに到着した旨を告げると「今から迎えにいきま~す」と返事が。普通のツアーでは約束の時間に担当者がいないなどありえないことだが、体験ツアーの場合は話が違う。こちらが相手の職場にお邪魔するのだから本業優先は許容しなくてはならない。

城辺地区・砂川の南風ファーム
城辺地区・砂川の南風ファーム

砂糖キビ畑を西原さんの車で揺られること数分、ファームに到着すると、西原さんの奥さんと研修生さんが暖かく迎えてくれた。

  「どちらから来られたのですか?」
  「東京のSからです。」
  「あら、Sなら知ってるわ、行ったことないけどね。」

ああれ、なんで宮古島の人が東京のSを知ってるのだろう? 新宿や渋谷といった有名繁華街でもないのに、、、 この謎は後に判明するのだが、そのときはちょっとワケが分からなかった。

  「じゃまずゴーヤーの受粉からやってもらうか」

とハウスに連れられ、研修生さんから受粉の仕方を教わる。受粉なんて簡単そうに思えるが実はさにあらず。まずはゴーヤー畑から雄花を見つける。ゴーヤーの雄花は、黄色い花びらの真ん中にオレンジ色の花粉が付いている。初めに真ん中オレンジの花を見つけて摘む。次にこの花粉部分を、今度は雌花を見つけ交配させるのだ。雌花は花びらの真ん中部分がグリーンなのが雄花との違いだが、雄花に比べて雌花はどこにあるのか見つけるのが難しい。

ゴーヤーの雄花(真ん中オレンジ)と雌花(真ん中グリーン)
ゴーヤーの雄花(真ん中オレンジ)と雌花(真ん中グリーン)

あるところには雌花が全然なく、あるところでは雌花が群生していて、そうすると今度は雄花が足りなくなり慌てて探しにもどる有様。そうこうしているうちにいくつ受粉させたか分からなくなってしまう。だがこれは遊びではない。仕事なのだ。記録はちゃんと付けなくてはならない。こんな調子だから、オイラの受け持ったエリアの記録は信憑性がはなはだ疑わしい。

危なっかしくもトロいオイラの受粉作業に比べ、研修生さんはさすがだ。倍くらいのスピードで受け持ちエリアの作業をテキパキとこなしていく。用紙に数を記録しながら作業するから、その差が歴然と分かってしまうのだ。

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ところでハウス中ではFMラジオが流されているのだが、そのFM番組にちょっとした驚きが。流されているのはなんとオイラがよく聞いている東京の某J局ではないか。

  「♪ Headline News J-W●ve~  ここで交通情報です。首都高の渋滞は…」

宮古島で首都高の混雑を知らせてなんの意味がある! すると研修生さんが

「FM宮古ですよ。島の情報は朝夕二回だけで、後は東京の番組そのまま流しています」

そうか、それでここの人が東京の地名に詳しいわけが分かった。僕の住んでいるSは「首都高S付近は渋滞■キロ」とよく放送されるエリアだったのだ。

六本木のFM局発のモダンなポップが流れるビニールハウスというのもシュールな空間だが、クールな音楽の後に、

  「スーパーサンエー宮古島、年末大売出し開催中!」

と、ベタなラジオ・チラシ広告が流れてくると、ああここは宮古島なのだと妙に安心してしまう。そうFM宮古はCMだけオール地元スポンサーなのだ。

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「じゃ次は収穫だよ」と、今度は西原さんが神業を披露する。

収穫に適したゴーヤーは重さ250~300g。これが実は見た目ではわからないのだ。大きく見えても中身がまだ育っていないと重さが足りない。西原さんは右手で鋏を持ち、左手の感覚だけでゴーヤーの重さを確かめて収穫してゆく。

  「私ぐらいになると10g単位で分かるよ。それも左手でカゴを抱えつつだよ。」

なんというゴッドハンドだ。

西原さんのゴッドハンド
西原さんのゴッドハンド

さすがに大事な収穫は僕一人に任せるワケには行かず、研修生さん付き添いでOKのお墨付きを得たゴーヤーだけを刈り取ってゆく。

  「それでは食事にしましょうか」

取れたてのゴーヤーで奥さんがチャンプルーを作る。大きななべに島豆腐をドッサリ入れて、ポークランチョン、ゴーヤーを加えて炒め、最後に溶いた自家製の宮古味噌で味を調えて完成! ううん美味しそう。

取れたてのゴーヤーでチャンプルー
取れたてのゴーヤーでチャンプルー

労働のあとの食事は格別だ。しかしよく考えると、ド初心者とはいえ、オイラ働いたよな。それでいて働いた方がお金を払うなんてなんか不思議だ。でも、楽しかったからまぁいいか。体験農業は大人のキッザニアなのだ。


(続く)


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最終更新:2016年08月26日 22:10