【突然、南の島!-石垣・竹富いきなり旅行】
第5話)南国の雪だるま?
||沖縄旅行記|石垣島|竹富島||
翌朝、石垣に戻ると荷物を宿に預け、バスで塩工房を訪ねてみる。工房では塩作りが体験できるらしいのだが、「石垣の塩」工房は、「フサキリゾート」というバス停と「みね屋前」というバス停の中間にあり、どちらのバス停からも結構な距離を歩かねばならない。僕はバスターミナルの切符売り場で、どちらのバス亭がよいか聞いてみた。
「石垣の塩ですか?だったら運転手に言ってください、途中で降ろしてくれますよ。」
なんとフレキシブルな対応! 顧客ニーズを臨機応変に捕らえた経営姿勢は表彰ものだ。天晴れバス会社の鏡・アズマ運輸株式会社!
とはいえ、バス料金は遠い「みね屋前」までの400円をしっかり取られた。一つ手前の「フサキリゾート」なら300円だったのに! せめて中間の350円というわけには、、、行くわけないだろ<こら!
バスに乗ってしばらくすると雨が降り出した。おととい昨日と晴天に恵まれたのは本当にラッキーだったのだ。「石垣の塩」工房に着くころには土砂降りとななり、僕はあわてて売店に駆け込んだ。
「雨の中、大変でしたね。」と塩屋のおばちゃんが応対に出る。
「いえいえ、ところでここでは塩作りが見学できると聞いたのですが…」
「あら、残念。塩作りは年末の休みに入っちゃたの。もう少し早く来れば、そう
あと2日、3日、あれ何日だっけ?」
「いつから休みに入ったのですか」
「12月25日からで、年明けは4日からよ」
それは随分と長い休暇でうらやましい。思わず塩作り職人に転職したいと思ってしまった。
まあ、工房見学ができないのを不憫に思ったのか、おばちゃんはあらん限りの知識で、ショップの展示物を通じてあれこれ説明してくれる。
ここの塩はもちろん石垣の海水が原料であるが、雨の多いこの地方で基本的に天日干しはできない。海水から分離させた水の蒸気を熱源にして製塩を行ってるのだそうだ。こうした製法の製品は本土にも「輸出」される。
一方「天日干し」とされる製品は、ビニールハウスの覆いの中でわずかに生産され、これは沖縄県内でしか販売されず、さらに大粒の結晶のものはここでのみ売られており大変貴重なのだと、いつの間にかセールストークに変わっているのだが、気づくと80gで1000円もする高級な塩を買わされていた。
おばちゃんの見事な勝利である。
超・最高級品 > 最高級品 > 高級品 > 普及品。塩のカーストだ!
いつしか雨も小降りとなり、店の外に出てみる。おや、なんだあの白い塊は! まさか雪だるま! いや、いくら冬とはいえ、石垣に雪は降らんだろ!
「ああ、あれ。あれはね、塩で作った塩だるまよ。」
なにぃ、塩だるまだと。しかし高価な石垣の塩でできた「塩だるま」である。ふとそのカケラを摘んで失敬したい衝動を抑えている自分が情けなかった。
最終更新:2016年08月24日 19:39