【突然、南の島!-石垣・竹富いきなり旅行】
第1話)古民家ゲストハウス

||沖縄旅行記|石垣島|竹富島||

 「あれ、石垣行きの飛行機、まだ空席あるじゃん!」

年末、なんとか3泊4日程度なら旅行できる目処が見えたのは、暮れも差し迫った12月の半ば過ぎであった。どーしても寒い日本を脱出したくなり、東南アジアを中心に予約を試みるも海外を手配するには時間がなさ過ぎ思うようなフライトが取れない。

そこで男らしく気持ちを切り替え、沖縄周辺を物色してみると、空席が結構あるではないか。

まあ、沖縄はその昔、琉球王国という立派な外国だったのだし、本土から見たら「海外」に行くような気もする。何より寒い東京から脱出して南国の空気が吸えるならどこでも良い!と那覇経由の石垣便を予約したのは出発4日前だった。

八重山諸島の海
ともかく暖かいところに行きたい!

あわただしく決めた石垣行きだったので、予備知識はゼロである。

まずはネットで石垣情報を検索すると、あるわあるわ。グルメやマリンスポーツの情報が溢れて過ぎて何がなんだかわからない。

そこで仲間に「石垣お勧め情報」を募ってみた。

すると、ある情報通が「ゆくる」という安宿を推薦してくれた。一泊ドミトリーで1,500円の涙ちょちょぎれプライスが貧乏旅行者には嬉しい。

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石垣空港に到着するなり、その宿に予約の電話を入れてみる。

石垣空港
石垣空港に到着

 宿:「今、空港ですか? じゃ迎えに行きますね。」
 僕:「え、送迎付きなのですか?ドミトリーなのですけど…」
 宿:「構いませんよ。15分後ぐらいに伺いま~す。」

なんと、1,500円のドミトリー客にもかかわらず送迎が付いている。ということは街までのバス代200円が不要ということだ。すなわち、オイラから見たら実質的に1,300円(=1,500円-200円)で泊まれるというワケだ。これは嬉しい!

しばらくするとミニバンに乗った宿の若いオーナーが颯爽と現れた。無料送迎つきの宿なんて泊まった経験がほとんどない僕は、なんだかとても大名な気分を一瞬楽しんだ。

 宿:「お客さん運がいいですね。今日は珍しく天気がいいですよ。」
 僕:「この時期、天候は良くないのですか?」
 宿:「冬は結構雨がちなんですよ、石垣は。」

そうか! あまり天気の良くないシーズンだから飛行機の空席があったのか!

南国イメージの強い石垣だが、12月のこの時期は結構寒く、セーターを着たままの東京スタイルでちょうど良い。バックに突っ込んだ短パンは、どうやら無用のようだ。

10分も走ると、石垣の伝統的な平屋を一軒まるごと改装したゲストハウスに到着した。眠る場所は、押入れを二段に仕切って明かり窓をつけた狭いスペースであるが、夜行列車の寝台と比べれば全然広い。それより、居間に続く縁側が懐かしくも心地よい。これで1,500円なら十分だ。

ゆくる看板 ゆくる寝室
一泊1,500円の宿とその寝室

味わいのある赤い屋根瓦を眺めながら、関東から移住してきたというオーナーに僕はつぶやいた。

 僕:「いやー、これは古民家を上手く改装しましたね。」

すると返ってきたのは意外な返事。

 宿:「改装じゃありません、新築です。」

一瞬オーナーの顔がムッとしたように感じ、僕はフォローの言葉が見つからなかった。なのでこの旅行記で謝罪の言葉を述べよう。

 「古民家風の新築物件、万歳!」と。

赤瓦のゲストハウス
赤瓦のゲストハウス

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プライベートな空間が押入れサイズしかないから、宿泊客は自然と共同スペースの居間に集まる。そこで情報交換できるのも安宿のメリットだ。

夜、宿に戻ると旅人が集まりおしゃべりが始まった。今日の宿泊客は4人。僕を含め本土からの観光客が3人と、石垣移住を目指し仕事をしながら半年程滞在しているAさんとで、誰かが買ってきた泡盛を囲んでプチ宴会が始まった。

滞在暦の長いAさんは島の事情に通じている。12月は雨の多い時期ではあるが、台風シーズンはこんなものではないという。

 Aさん:「台風警報が出るとですね、島の人は一斉にカップ麺を買い占めるんですよ。」
 僕  :「なんで、カップ麺なのですか?」

 Aさん:「停電になると本土みたく簡単には復旧しません。2~3日かかることもあり
     ます。だから電気のいらないカップ麺なんです。」

物資の輸送関係の仕事を手伝っているというAさんは、八重山の物流にも詳しい。

 Aさん:「石垣など未だ良いほうで、他の離島は台風で船が出なくなるとあっという
     間に物が不足します。」

 Aさん:「島の物価は高いですよ。みんな船で運んでくるから、島で取れないフツー
     のジャガイモとか、サンマとかシャケとかいった寒い海の魚とかが手に入り
     ません。」

なるほど、楽園に見える南の島でも、住むとなると苦労が耐えないようだ。

 Aさん:「石垣には本土からの移住者が増えてます。5万人の人口のうち登録されてる
     だけでも1万人が移住者です。でも、移住希望者のうち、8割は本土に戻って
     しまいますね…」

本土からの移住者が増えてることは僕も聞いていたが、5万人のうちの1万人とは驚きだ。しかもその一万人は、8割が脱落する中で生き残ったエリートじゃないか!

憧れの南国暮らしを成功させる秘訣は、台風になってもひたすらカップ麺で耐え忍び、サンマ絶ち/シャケ絶ちを厭わない「離島体質」に己を改善できるかにあるようた。


(続く)


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