【メコン左岸にて-ラオス中南部の旅】
第9話)文明国・タイに戻る
《ラオス旅行記|ビエンチャン|ヴァンビエン|ターケーク|サワナケート》
今日はスワナケートから国際バスでラオスを出国、タイのムクダハーンに向かう。そこでバスを乗り継ぎウボン・ラーチャターニーで一泊、翌日バンコクに戻り日本に帰国する予定だ。
ビエンチャン→ターケーク→サワナケートとラオス中南部を移動するうち、バスの冷房の効き過ぎやら、ノンエアコンバスの蒸し暑さやら、雨にたたられ寒かったことやらで、僕は体調を崩してしまった。
コンディションは晴れないが、ともかくサワナケート(サワン)のバスターミナルへ向かった。バスとはいえ一応国際線、搭乗口ではテロ対策が施されていた。とはいえ、屈強な男による厳重なボディチェックなどではなく、頼りなさそーなおじちゃんが、とりあえず金属探知機もってまーす的ノリではあるが、、、
国際バスはサワナケートの北にある第2メコン国際橋に向かって進んでゆく。橋のゲート付近で妙な広告看板が飛び込んで来た。
「SAWAN VEGAS」
なんとカジノの広告看板である。タイ人の博打好きは有名であるが、なぜかタイ国内で賭博は違法行為である。そこに目をつけたミャンマーやカンボジアといった近隣諸国は、タイ国境付近に次々とカジノをオープンさせた。ラオスもようやくその流れに乗ったのである。カジノ「SAWAN VEGAS」は国境橋の近くにあり、タイ人にとって便利なことこのうえない。
その「SAWAN VEGAS」の看板を横目に、橋の袂でラオスの出国手続きを済ませ、川を渡ってタイに入国する。
このとき僕の体調は最悪で、ゴホゴホ咳がでる始末。しかし入国審査で熱だの咳だのかましていると、昨今のブタインフルの影響で大変ややこしいことになってしまう。もし入国拒否とかされたら、この場合は国際橋の上で永久に立ち往生ってことになるのだろうか?
僕は必死で咳をこらえて入国審査をパスした。
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ムクダハーンでバスを乗り換え、ウボンラーチャターニーに着くと、症状はもう末期的だった。ホテルに転がりこむとすぐ薬屋を探した。が、SブンイレブンもY野家もTタヤだって進出しているタイなのに、なぜかMツモトキヨシ的なドラッグストアは見当たらなかった。
やっと見つけた薬屋は「益年薬房」なる怪しげな漢方薬の店だ。僕は店員に、調べておいた「カゼをひいた」とか「のどが痛い」とかいったタイ語のフレーズをまくし立てた。店員はなにやら怪しげな漢方薬剤をもってこようとする。
果たしてこんなアバウトな症状の伝え方でまともな薬が処方されるのだろうか?そもそも薬を処方してもらったところで、それをいつ、どのくらい摂取したらいいのかも分からない。
僕は「益年薬房」を出て、もう少し「Mツモトキヨシ」っぽい店を探してみた。するとなにやらドッラグストア風の店を発見。症状を伝えて、先進国でも売ってそうなブランド薬を探した。
「これはどうだ」
と店員が示したのは「Actifed」とかいうドイツの製薬会社の薬だった。パッケージには英語で「一日3~4回服用」と接種方法も明記してある、よかった。
しかしここで油断は禁物でる。海外で薬は大変高価な場合が多いのだ。
「これ幾らですか?」
「60バーツ(180円)です」
あれれ、1箱60バーツとは意外に安いじゃない。
「じゃ、これください」
すると、店員は予想外の行動を起した。なんと大胆にもパッケージの箱をこじ開け、なかから1シート分だけの薬を取り出し、僕に手渡した。オイオイ薬はバラ売りかい。まあ値段が安いと感じたのも道理なわけだ。
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結局その後ウボンラチャータニーとバンコクでは、薬を飲んでホテルで寝るだけとなってしまい、旅にならなかった。カゼの方は薬のおかげかだいぶ回復してきたのだが、その副作用かどうか分からないが、今度は激しい下痢に見舞われた。
雲古が滝のように噴出す有様、ブシュー。
いったいこの下痢の原因はなんだろう? ラオスで食ったシンダー鍋が原因か? だとしたら、シンダー鍋で死んだ~状態なんてシャレにならん!
ともかく日本に戻るジェット機のなかでは、僕は自分自身がジェット噴射しないよう、必死に自分の「水戸のご老公さま」に気合を入れ続けるしかなかった。
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最終更新:2016年08月27日 19:02