【お気楽軍団、ラオスを行く】
第6話)共和国の夜@ビエンチャン
《ラオス旅行記|ビエンチャン|タイ|ウドンタニー|コーンケーン》
ラオスの正式国名は「ラオス人民民主共和国」である。おや?どこかの国の名前に似てないか。そう某北の共和国も正式名称は「○○民主主義人民共和国」。国名が似ているせいかどうかは知らないが、ラオスはその某共和国と国交がある。そして近年、某共和国は友好国への外食産業の進出に積極的なのだ。
通称・北C鮮レストランがここビエンチャンにもある。表向きは「ラオス=コリア青年友好会」と名乗っているが、実態はレストラン経営の上がりで外貨獲得をねらう国策レストランなのだ。国家の存亡をかけて獲得する外貨が、ラオスキープとはスケールの小ささを感じるが、旅ネタとしてこれほど面白いものはない。
お気楽軍団2日目のディナーは満場一致でここに決まった。
街外れの「友好会」を目指して地図を頼りに暗闇を行くお気楽軍団。レストランなら電飾ですぐわかりそうなのだが、それらしきものが見当たらない。薄暗い二階建ての建物が見えた。あ、あの国旗の配色、ここだ!
「ラオス=コリア青年友好会」という名の国策レストラン
7時過ぎはこの店としては未だ早かったのだろうか。僕らの他には怪しげなコリアンのグループが一組いるだけだった。
店の従業員は皆、共和国の娘さんだ。外国に出ることが厳しく制限されているあの国にあって、彼女たちは憧れの海外組だ。フツーの娘さんが花の海外組になれるわけがない。彼女たちはエンターテイナーとしての特訓も受けている。
料理の注文を受けると、彼女たちは順番に控え室に回り、準備が整ったところで芸能活動を客に披露するのである。
共和国のウエイトレスはエンターテイナーも兼ねている
ステージが始まった。どこか報道系の特番で耳にしたことのある曲。あ!この曲はたしか将軍様をたたえる歌ではないか!やはり出だしはこれでないと始まらないのであろう。
頼んだ料理のキムチやチヂミはなかなか美味い。特にもちっとした感じのチヂミは初めての体験で新鮮である。
次第に客も増えはじめ、ステージも盛り上がってきた。Sさんは即興で歌に勝手に日本語訳をつけたりしている。店内には共和国の産物も展示され、禁断の共和国に対する好奇心をいやがおうにも掻き立てる。
「いろいろ問題あるけど、行ってみたいよね、北の国。」
うなずくお気楽軍団一同。
「しかし、第3国経由で費用も高いし、第一ツアーじゃないと行けないしね」
「そうだよね。しかもそのお金は困窮している庶民に回らないのはわかりきってるしね」
お気楽軍団の某共和国への旅の話題は、誰もが一度は本気で渡航を考えたとしか思えないほど具体性にとんでいるのが恐ろしい、、、、
ところで、一番初めからいた客の集団、なんだか目つきが鋭いままだ。もしかしたら彼らは監視員なのかもしれない。聞くところによると、花の海外組ウエイトレスたちもパスポートを監視員に取り上げられ、このレストランから自由に外に出ることはできないという。
なんかちょっと嫌なことを思い出したところで、ラストオーダーのチャーハンが出てきた。
なんだこのベチョットとした味は!
これが本場の味なら、やっぱ共和国になんか行かなくていいや。
「次回は某共和国で会おう」なんて野望を阻止してくれたこの激マズハズレチャーハンに、いつの日か我々は感謝する日が来るのかもしれない。
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最終更新:2016年08月27日 18:48