【お気楽軍団、ラオスを行く】
第5話)ラオス菌に侵されて
《ラオス旅行記|ビエンチャン|タイ|ウドンタニー|コーンケーン》
2日目、お気楽軍団はビエンチャンの凱旋門に向かった。旧フランス領だったラオスはパリを意識したのであろうか?鄙びた田舎街のビエンチャンにあって、一箇所だけ特異なモニュメントがある。それがこのパトゥーサイと呼ばれる凱旋門だ。パリの凱旋門に似ていなくもないが妙にオリエンタルな装飾が施されたアーチは異彩を放っている。ここから2km程はなれた大統領府までの一直線の大通りは、シャンゼリゼ通りのようにも一瞬だが見えなくもない。
10年前ここに来たとき、このパトゥーサイ周辺の通りに自動車はほとんど走っておらず、道路も砂埃で薄汚れていた。だが、今はきれいに整備され、時の移ろいを感じる。
この辺りを除くとビエンチャンは本当に小さな街だ。リーダーのSさん曰く
「私、この街好きだわ、だってタクシー必要ないんだもの。手に届く範囲でなんでもあるから。」
そう、ビエンチャンには、なんでもある。スタバみたいなカフェだって、小洒落たスーパーだって。でも何でもあるにはあるけど、いずれも1つずつしかない。ビエンチャンの中心は噴水広場のナンプーだが、むろん噴水もここにしかない。
このナンプーの半径300メートル周辺にビエンチャンの最先端が集まっている。東京でいうなら、銀座と青山と六本木が全てこの中にあると言っても過言ではない。外国人向けのお店などはこの周辺にしかない。
「ビエンチャンは海外の旅行雑誌で世界のベスト10に入っているんですよ!」
とU君は自慢する。いったい何のベスト10なのか皆目見当がつかないが、のーんびり時が流れて、でも必要なものはなんとか一通りそろうこの街は結構居心地が良い。『ボーっとするのに最適な街』なら間違いなくベスト10だ。
さて、話を凱旋門パトゥーサイに戻そう。塔に登ってパノラマを堪能すると、お気楽軍団には「やる気」とか「積極性」といった気分が吹っ飛んでいた。この街のダラ~ダラ~な気分にどっぷり浸かって足が動かない。
「やー、なんかもう十分観光したって感じですね」
ウソである。まだ一箇所しか周っていないじゃん!
ともかく無気力軍団はやっとの思いで重い腰をあげ、1km程はなれたラオスのシンボル・タートルアンに向かった。
「あら、あんな遠くにある」
通りのはるか先に金色に輝くタートルアンのストゥーパが見えた。だが、お気楽軍団からは「感動」とか「興奮」とかいった感情は一切ない。
「早くホテル帰って、マッサージしてもらいましょう」
早くもラオス菌が体中にしみ込んでしまったお気楽軍団。いったい何しにここまで来たのだろうか。
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最終更新:2016年08月27日 18:45