【お気楽ウズベキスタン旅行】
第3話)ミナレットに不法登頂?

《ウズベキスタン旅行記|タシケント|サマルカンド|シャフリサーブス》

サマルカンド観光の中心はレギスタン広場である。青い装飾タイルが美しい3つのメドレセ(イスラム神学校)に囲まれた広場には、世界中から観光客が集まってくる。

レギスタン広場-サマルカンド
レギスタン広場

夕暮れ時、そろそろツーリストの影も少なくなったころ、僕はその広場をうろうろしていた。すると「お前、ミナレットに登ってみないか?3ドルでいいぞ」と警官が持ちかけてきた。ミナレットとはイスラム建築にお約束の細長い塔のことである。

 「 明日の朝早くに来い。そうしたら特別に登らせてやる。」

むろんこの3ドルは警官のポケットマネーと化すのだろう。3ドルといえばここウズベキスタンでは使いでのある額である。が、ミナレットの頂上からサマルカンドの街並みを一望できたら、それはそれは絶景に違いない。

翌朝僕は早起きしてまだ誰もいない広場をうろついた。すると「ピーッ」と口笛の音 。昨日の警官だ。

 「おお、よく来た。ミナレット登るだろう。」
 「でも2ドルにしてよ。」
 「それはまかりならぬ。3ドルじゃ。」
 「ええ、だったらいいや。」

僕は帰りかけるフリをした。すると案の定

 「分かった、2ドルでいいぞ。オーイ!」

警官はメドレセの番人を呼びつけた。普段は閉じられているミナレットの扉の鍵を取り出し、番人は門を開けた。懐中電灯を手渡され、僕は薄暗いミナレットの螺旋階段を登っていった。階段のピッチは一定しておらず、ところどころ崩れたところもあり、頂上まで登り 着くには一瞬の気の緩みも許せない。

ミナレット-サマルカンド ミナレットの中を昇る-サマルカンド
ミナレットと内側の螺旋階段

やっとのことで狭い天窓まで辿りついた。窮屈な空間から外に身を乗り出すと、朝日に輝くサマルカンドのパノラマが。

ミナレットからの眺め-サマルカンド
サマルカンドのパノラマ

なかなかの絶景ではあるのだが、少々足元が不安定である。大昔は罪人をこのミナレットから突き落としていたというから、ここで足を踏み外したら天国一直線である。恐る恐る数枚の写真を撮って、また薄暗い塔の階段を下りていった。

塔を降りると、警官は満面の笑みを浮かべて2ドルを受け取った。今夜彼の家の食卓にはいつもより上等の羊肉が並ぶに違いない。まあ、こっちも3ドルが2ドルになったんだからいいんだけど。

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二日後、同じゲストハウスに泊まっていた旅行者と話をした。

 「私も3ドルって言われたんですよ。」
 「でも2ドルぐらいまで安くなったんじゃない。」
 「あら『私は学生ですぅ』て嘘ついたら1.5ドルに負けてくれたわ。」
 「えぇぇぇぇ~!………」

袖の下にも学割があったかぁ、恐るべしウズベキスタン!


(続く)


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最終更新:2016年08月27日 09:40