【楽しい?北タイ紀行】
第5話)新種の山岳民族発見?

《タイ旅行記|北タイ|チェンマイ|チェンラーイ|メーサイ|エアアジア》

右に左に急なカーブに揺られ、メーサロン村に到着した。狭い一本道がこの村のメインストリートである。周りの店の看板はみな中国語。タイにあってタイではない不思議な空間だ。

メーサロン
メーサロン村の昼下がり

この村の中華レストランで昼食を取る。近くに住む山岳民族が買出しや土産を売りに山から降りてくる。同行のS子さんはアカ族の売り子を見つけると「ああ、族だ、族だ!」と大騒ぎ。

でも「族」って言うなよ、暴走族じゃないんだから、と思うまもなく、S子さんもT子さんも気づいたら「族」を捕まえて交渉開始! まったく女性の買い物欲は底無しである。

昼食を済ますと、いよいよアカ族の村に向かって、四駆車は砂利道を突き進んでいった。ガイドのSネーさんによると、同じ少数民族の村でも、いい道が通じている村ほど街の文化が入り込んでしまって、昔ながらの伝統的な生活を見るには、より悪路の先にある村に行かねばならないとのこと。

山奥の小川に沿って進むと、小さなアカ族の村があった。Sネーさんは山岳民族の言葉で村人に何やら話しかける。すると黒地に色とりどりの鮮やかな刺繍を施した民族衣装を着た村人たちがぞろぞろお出ましになった。彼らは僕らを一軒の藁葺きの家に招いてくれた。

そこは高床式の住居になっていて床下には豚や鶏が駆けずり回っている。Sネーさんはここでセブンイレブンで買い込んだお菓子を取り出した。そう、お菓子は村人へのお土産なのである。これ無しに村に入っても歓迎してくれない。村の子供たちは遠慮がちにお菓子をもらうと大満足のようだ。

ここでS子さんが対抗心をめらめら燃やしたようだ。彼女は日本から持参した折り紙で鶴を折ると子供たちにプレゼント。子供たちはさぞ大喜び!と思ったら、、、村の子供たちは鶴よりお菓子に夢中。

 「なんだよ、ここの族のガキどもは、ブツブツ」

S子さん、大変ご機嫌ナナメのようである。そうこうするうちにサネーさんのお菓子作戦が効いたのか、村人が蔵から何かを持ち出してきた。民族衣装である。それを着させてくれるのだという。

 「うわー、きれい!」

T子さんはもちろん、さっきまでふて腐れていたS子さんも大喜び。さっそく着替えて「なんちゃって山岳民族」に。コスプレタイムの始まりだ。

アカ族になりきる
アカ族になりきる

しばし「族」になりきったのち、次なる村へ向かってさらに険しい山道を進んでいった。ここ数日チェンラーイ地方は夕方になるとスコールが降る。所々がけ崩れがあって、ちょっと危険だ。やがて道の前方は倒れた大きな木で完全に塞がれてしまった。

 「この先にとてもいい村があるのに!」

秘蔵の村を紹介できず残念そうなSネーさん、仕方なく僕らは道を引き返して、平地のツーリストビレッジに向かった。そこは時間のない観光客でも手軽に山岳民族と出会えるように作ったプチ山岳民族村である。ラフ族、アカ族、カレン族、など多くの少数民族が集合したみやげ物村といっても言いかも知れない。駐車場には次々とツアーの車がやってくる。

ここでもSネーさんのお菓子攻撃は効いたようだ。彼はラフ族(だったと思う。いろんな族がいてどれがどれか分かんなくなっていたのでとりあえずラフ族ってことにしておいて!)のおばちゃんと交渉するとまたコスプレOKとなった。ラフ族の衣装はオレンジを基調とした鮮やかなもの、そして独特のスネ当てが特徴である。T子さんとS子さんは小屋のなかで着替える。すると、、

 「ぎゃー、苦しい!」
 「き、きつい。おしりが入らない!」

何やら中から叫び声が聞こえてくる。そう、少数民族の方々はみなとーてもスリムなのである。が、典型的日式体系のお二人には、民族衣装を着こなすにはほんのちょっとだけ脂肪分が多かったようだ。とりわけ足首のサイズが合わないらしく、独特のスネ当ての着用は断念したようだ。

鮮やかな民族衣装に着替えたT子さんとS子さん。その晴れ姿を他の外国人ツアー客どもにもお披露目しようと小屋からでてきたが、、、ちょっと待て、上半分はいいとしてもその衣装には例の美しいスネ当てがあって初めて似合うというもの。スニーカーでは異質の生物ですぞ。

彼女たちのちょっと異様な姿は山岳民族の人にもツアー客にも大受け。その姿を見つけたあるガイドが叫んだ。

 「Oh! New Tribe! (あ、新種の山岳民族だぁ)」

辺りはしばし爆笑に包まれたのだった。

(続く)


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最終更新:2016年08月26日 21:30