【楽しい?北タイ紀行】
第1話)100バーツの行方

《タイ旅行記|北タイ|チェンマイ|チェンラーイ|メーサイ|エアアジア》

南国の暑い日ざしが照りつける昼過ぎ、タイ北部の中心都市チェンマイに僕は降り立った。チェンマイは昨年ミャンマー旅行の帰りに立ち寄って以来1年ぶりである。空港から街中までのバスはないのでタクシーで行く。いつもなら適当な安宿に向かうのだが、今日2004年8月7日はちょっとした事情があって、ある条件を満たした宿に泊まることにしていた。

タイ-チェンマイの寺院
チェンマイの寺院

その条件とは、NHK衛星放送が見られること。なぜなら今日はアジアカップ決勝の日。我が日本代表は奇跡的な勝ち上がりで決勝戦まで駒を進めたのだ。これだけはたとえ旅先といえども見逃すわけにはいかない。

ガイドブックを見るといくつか衛星放送が視聴できる宿があった。僕はそのなかで最も安めの某ゲストハウスへと向かった。「ここで衛星放送は見れるか?」と聞くと、「OKよ」と受付嬢の返事。よしよし。

夕方まで街中を散歩して宿に戻ってきた。キックオフの7時に僕は1階の食堂に下りてTVの前に座った。既にタイ人従業員や他の日本人客もTVの前に集まっていた。

さあ今日の先発メンバーは誰だろう。僕は実況放送に耳を傾けた。すると、、、

 アナウンサー:「摩乍問 ?苟蕫・艢?z?Z穀女梳????[???J√?д??
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おや、何だこの実況は!画面はアジアカップの決勝だが日本語でも英語でも、タイ語でもないゾ。おや、中国電視台の放送ではないか!確かに衛星放送ではあるけれど、中国語の"ち"の字も分からない僕には、試合が始まってもなんか臨場感が伝わってこないなぁ。。。

前半戦は接戦だった。だが、圧倒的な中国サポーターの応援のせいでやや日本チームは押され気味。何度かヒヤヒヤする場面が続く。するとタイ人従業員が 「おれは中国に賭ける。お前は日本に賭けろ。100バーツだ。いいな?」 と有無を言わさずトトカルチョさせられる羽目になってしまった。

おや、こいつら日本を応援してるんじゃなかったのか!でも思い当たる節はある。中国のチャンスになるとタイ人従業員たちは結構騒いでいたものな。もしかしたらこいつら中国系タイ人?それは多いにありうる話だ。街のタイ人は多かれ少なかれ中国の血が混ざってることが多い。その事実を今頃僕は気がついた。日本人相手に商売してても、魂はやはり中国なのかぁ。

しかし、ここで日本に負けてもらっては困るのだ。ジーコよ俊介よ、絶対勝て!僕の100バーツのために!!

前半を1:1で終えると、後半は落ち着きを取り戻した日本がペースを握る。65分に日本の2点目が入るとタイ人従業員たちもシーンとしてしまった。そしてロスタイムに駄目押しの3点目。そして試合終了の笛が鳴った。

「やったぁぁぁ」!と飛び上がりたい気分になったその瞬間、周りの冷ややかな視線が。あれれ、ちょっと不味い。するとタイ人従業員が「さあ終わった。お笑い番組でも見るか」とTVのチャンネルをガチャッと切り替えやがった。おお、少しは勝利の余韻に浸らせてくれよ~。

「あはははぁぁ」従業員たちは試合などなかったようにタイのお笑い番組に声を立てて笑い出す。その変わり身の早いこと、早いこと。

「あの~100バーツの件はどうなったのでしょう?」僕はそこまで出かけた言葉を飲み込んだ。そんなこと切り出したら袋叩きに合うのは目に見えていた、、、、、

(続く)


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最終更新:2016年08月26日 21:23