【イラン、ここは本当に悪の枢軸国?】
第4話)世界の半分・エマーム広場で出会った人々

《イラン旅行記|ゴム|マライヤ|エスファハーン|テヘラン》

夕方、マライヤからのバスは古都エスファハーンに到着した。ここは「世界の半分」と歌われたエマーム広場や、ザーヤンデ川に掛かる古い橋などで有名だ。僕は1泊15ドルのAホテルに宿をとる。イランは物価が安い。15ドルでも立派な中級ホテルになるのでフトコロにやさしい。そのうえ世界的な観光地だけあって見所は尽きない。街も大きすぎず小さすぎず、なにより居心地がよいので、結局僕はこの街に4泊してしまうのだった。

さてエスファハーン到着の翌朝、僕はさっそく世界の半分なるエマーム広場に行ってみた。広大な広場は中央に噴水があり、その四方を古い回廊が囲んでいる。回廊の南の一辺は荘厳なモスクの入り口、また西の一辺は宮殿と繋がっており、北側はさらに延々と続くバザールへの入り口となっている。

ここの北側の回廊、屋上がチャイハネになっており、広場を眺めながら優雅にお茶が楽しめる。いつもツーリストで賑わっている人気スポットだ。もちろん僕も屋上に上がってティーブレイクと洒落こんだ。

隣の席では西洋人が一人、ぼこぼこ水タバコをくゆらせていた。随分イラン化した西洋人だなぁと思っていたら向こうから話しかけてきた。僕が日本人だとわかると、「私はトルコ人です。」と日本語で返ってきた。なるほどトルコ人なら水タバコも慣れたものなのだろう。それにしてもなんで日本語ができるのだろう?と思ったら「あはは、実は妻が日本人なんですよ。」だと。

こんなところで外国人と日本語で会話するとは思わなかったぞ。さすが世界の半分エスファハーン、いろんな人がいるものだ。

しばし彼とおしゃべりするとトルコ人氏は去っていった。すると店の従業員がやってきて団体客が来るから席を替われと眺めのいい席を追い出される。

しかたなく斜め前の席に移動して2杯目のチャイを注文する。はたして、その移動した席にも、いたいた。変なヤツが。

 「あなた日本人?」

さっきのトルコ人よりもっと使い慣れた日本語で一人のイラン人が話かけてきた。

彼の名はアキバ氏。「アキバさんと呼んでください」だと。日本人みたいな名前じゃないか!アキバさんは「僕はテヘラン嫌いだよ、だってウザイじゃん」などとのたまう。おいおい「ウザイ」なんて日本語知ってる外国人初めてだ。

アキバさんはトルコやイランなど中近東と日本とで主に絨毯などの貿易をしているのだという。

「こんな話、この辺りのお店の人に聞かれるとマズイけど、日本語ならわからないからいいか」といつしか絨毯業界の内幕話へと進んでいった。

「トルコで売ってる絨毯ね。あれはほとんどイラン製なの。でも彼らはトルコ絨毯がNo1って言って売ってるけど。あれ大嘘」

「絨毯屋に入るとね、この絨毯の絵柄の意味はああだこうだって説明されるでしょう。でもね、あれもみんな嘘。だって絨毯作ってるのは田舎の女の子だったりするじゃない。子供は意味なんて知らずに織ってるんだから。お店の人がね、客に会わせて絵柄のストーリーを作ってるの。」

「この辺りの絨毯屋の作戦知っています?彼らはねぇ、最初は物を売ろうとしないの。でツーリストの泊まってるホテルと出発日を聞きだして、出発の前日から攻勢をかけるんですよ。」etc, etc

確かに周りのボッタクリ絨毯屋に聞かれたら、「営業妨害だぁ!」とぶん殴られそうな手口が次々と明かされていく。まあ日本語だから周りのイラン人にはわからないけど、いつかばれたらヤバイぞ、アキバさん。そのうち袋叩きに会ったなんてことの無いように気をつけてね。

ともかくさすが、世界の半分。いろんな人がいてもちっとも不思議ではないのだ。

(続く)


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最終更新:2016年08月27日 10:15