【やっぱりボラれた-ベトナム旅行記】
第10話)ベトナム5番目の世界遺産
||ベトナム旅行記|ハノイ|フエ|ホイアン||
ホイアン、ここは小さな街だがとてもいいところである。トゥボン河の三角州に開けた古い中華風の街並みは、落ち着いて優雅ですらある。むろん観光地なので土産物屋とかは多いのだが、気彫りの民芸店、ベトナム絵画のギャラリー、古風なランタン屋とこれらが街の景観に見事に調和して作られ、まったく嫌味を感じさせない。夕方になると店先の色とりどりのランタンに灯がともりとても幻想的だ。
このホイアンの街並みは世界遺産に登録されている。ベトナムには4つ世界遺産があるが、北部のハロン湾を除くと、3つまでが中部ベトナムに集中している。昨日までいたフエの建造物群、今日到着した古都ホイアン、そして明日行く予定のミーソン遺跡群。気付けば世界遺産3連発であった。
翌日、ミニバスツアーでミーソン遺跡に向かった。ちなみにこのツアー、2ドルだと往復ともバスだが、帰りをボートにすると4ドルになる。ボートは帰路、伝統工芸村の島にも寄るとのことなので、ちょっと奮発してみた。
例によっておんぼろマイクロバスは旅行者を寿司詰めにし、ホイアンを出発、山へと向かう。2時間程でバスは遺跡群の入り口に到着した。あたりは静寂につつまれた高原だ。ここからはジープのピストン輸送で1km程また山奥に入り、さらに歩いてやっと遺跡群にたどり着く。
ミーソンは滅亡したチャンパ族の遺跡である。今の大多数のベトナム文化が大きくは中華の系統なのに対して、チャンパはインド系の文化なのであろう。遺跡の中にはアンコールワットなどで見られるふくよかな人物像のレリーフが施されていた。
しばし静寂の中での遺跡散策を楽しんだ後で一服していると「どちらから来られたのですか?」とОL風の日本人から声をかけられた。日本人なのに、彼女は連れの外国人女性とのおしゃべりに流暢な英語も操る。
僕 :「あのー留学されてましたぁ?」
OL風:「いいえ、でもちょっと長い旅してるから、、」
僕 :「どのくらい旅行してるのですか?」
OL風:「う~ん、1年くらいかしら、、」
僕 :「1年!!」
彼女はお金が足りなくなるとアメリカに行き、アルバイトして、またアジアやヨーロッパを旅行しているのだという。世の中にはいろいろな人がいるものだ。
やがて遺跡群に雨が降ってきた。旅行者の一向は慌てて山を下り、それぞれのツアーバスに向かった。
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ところで、ベトナムといえば何はなくてもアオザイである。ところが、ハノイ-フエーホイアンと北から中部にかけ旅した今回、あのアオザイ乙女を全然といっていいほど見かけなかった。いったいどこに行ってしまったのだろう。前にベトナム南部を旅した時は結構見かけたのに。。。
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ベトナム最後の朝、ホイアンからタクシーでダナン空港に向かう。途中、車は人の多い通りで速度を緩めた。すると前方から、来た、来た、来た。アオザイちゃんである。それも集団で自転車に乗ってやってくる。ヒラヒラ、ヒラヒラ白いアオザイが風になびく。まるでモンシロチョウのようである。
が、至福の時間は短い。タクシーは一瞬で蝶々ちゃんの群れとすれ違ってしまった。
嗚呼!まだ帰りたくないよ~ん。
ユネスコよ、ホイアンやミーソンを世界遺産にしてもかまわない。でも何か忘れてやいまいか。ベトナムで5番目に世界遺産に登録すべきもの、それはアオザイ乙女ですよ。
次にベトナムを訪れるまで絶滅しないでおくれ、アオザイちゃん!
最終更新:2016年08月19日 00:17