【おんぶにだっこ・マダガスカルの旅】
第6話)板切れの使い方

《マダガスカル旅行記|モロンダヴァ|アンタナナリヴ|ペリネ自然公園》

アンタタナリヴ2日目、今日は郊外に足をのばしてみることにした。20kmほど北にアンブヒマンガという、マダガスカル初代王朝の王宮が残っているというので訪れてみる。

アンブヒマンガ-マダガスカル
アンブヒマンガ

アンブヒマンガ行きのバスは、アンブディブナ・バスターミナルから出ている。アンタタナリヴ市内には地下鉄とか電車とかいった外国人にもわかりやすい交通機関は存在しない。普通のタクシーか、タクシーベーと呼ばれるミニバスに乗るしかない。まあ時間もあることだしここはタクシーベーとかいうのに挑戦だ!

独立大通りの一角にタクシーベー乗り場はあった。路線ごとに行き先を掲げたミニバスが何台も行き交い、あたりは喧騒に満ちている。さて、バスターミナル行きはどれだ? 僕は「アンブディブナ(AMBODIVONA)」と書かれたミニバスを探した。

あっ、あれかな? 近寄ってみるとそれは「AMBOHIDAHY(何と読むのだ?)」行きであった。じゃ、これれか? うむむ「AMPEFILOHA(これも何と読むのだろう?)」だと。 え、いったい「アンブディブナAMBODIVONA)」行きはどこにあるのぉぉ??

行き先が書いてあるから安心と思ったのが甘かった。マダガスカルの地名はアンタナナリヴを筆頭に「アンたらかんたら」という地名が異様に多いのだ。瞬時に行き際を識別するのは困難きわまりない。結局「アンブディブナ(AMBODIVONA)」行きを見つけるまで、たっぷり30分かかってしまった。

タクシーベーの車内-マダガスカル
タクシーベーの車内

やっとのことで見つけたアンブディブナのバスターミナル行きタクシーベーだったが、あいにく車内は満席だった。大型バンを改装した車内は、中央の狭い通路を挟んで、小さな二人掛けの座席が左右に二列ずつ配置されている。できるだけ多くの客を詰め込めるようシートの前後間隔は限界まで縮められ、乗客はみな体を小さくして座るのだ。僕は腰をかがめて中央通路の狭いスペースで踏ん張っていた。すると、

 「お前、これを使え」

と車掌が小さな板切れを手渡した。「これを使え」と言われてもいったいどうしろというのだ。ボケっとその板切れを手にしていると、通路側に座っていた左右の乗客二人がそれぞれお尻を浮かしだした。なんだろう?と思っていると、板切れの両端をそれぞれの座席の端に架け、中央通路に橋を渡した。なるほど!板切れ一枚が補助席に早変わり。なんとも経済的な知恵である。

そんな超エコノミーシートに腰掛け、しばし揺られると、ミニバスは市場の前を通りかかった。そこは夥しい数の人・人・人で埋め尽くされ、こうなると車は人が歩くよりもゆっくりと進むしかない。とまあ、こんな調子なので、街からわずか2kmのバスターミナルにたどり着くまで1時間近くかかってしまった。やれやれ。

こちらは長距離バス-マダガスカル
バスターミナルの長距離バスと人力タクシー
マダガスカルのタクシーは人力?

バスターミナルには、近郊に向かうものから遠方に行くものまで、多くのバス会社が乗り入れていた。マダガスカルでは、たとえ長距離路線といえども日本のような大型デラックスバスなど夢見てはならない。今乗ってきたミニバスを一回り大きくしただけのバンが堂々と長距離バスとしてまかり通っているのだ。今日の目的地アンブヒマンガまでなら約1時間だからどうということはないが、もしバオバブ街道のモロンダヴァまでこれで行っていたなら、丸一日この狭い車内で修行しなければならない。飛行機で行って良かったぁ、と実感する。

アンブヒマンガまでは超エコノミーシートのお世話になることもなく普通に座って行くことができた。初代王朝の王宮はさぞかし荘厳なものなのだろうと予想していたが、本物は見事なまでに慎ましくて、ちょっと拍子抜け。まあ、あたりの景色は抜群だったので、一日の過ごし方としては悪くない。帰りは同じコースを逆に辿ってアンタナナリヴに戻った。

街からたった20kmを往復するのにフツーの乗り物を使ったものだから恐ろしく時間がかかってしまった。明日はリヴァさんたちと再び合流してペリネ自然公園に行くことになっている。もちろん車は貸切だ。やっぱツアーは楽でいいなぁ、とすっかり根性なしになっている僕だった。

(続く)


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最終更新:2016年08月27日 16:05