【アミーゴの国を行く・メヒコ旅行記】
第5話)サッカー大国・メヒコに学べ?

《メキシコ旅行記|グアナファト・ケレタロ・モレーリア》

さて、ここらで現地で食べたメキシコ料理についてまとめてみよう。

外国に行ってみるとガイドブックにある料理はひととおり試してみたいと思うのが人情。たいてい料理に関する一覧が載っているものだが、レストランにあるメニューと本の料理名が一致するのは2割くらいしかないのが実感ではないだろうか?

まあ膨大なその国の料理の全てを限られたガイドブックのスペースに載せることは不可能だから2割も一致するほうがすごいことなのかもしれないが、ともかく多くの場合、見知らぬ8割のメニューの中から選ぶことになる。その国の言葉を多少知っていればどんな料理か想像もしやすいが、スペイン語の知識がほとんどない僕は全くの勘に頼るしかない。

運がよければ珍しいおいしい料理にありつけるが、下手すると全然違う物が運ばれてくる。

ある時ちょっと消化の良いものが欲しくてスープを頼んだ、多分 SOPES がスープだろうと思って頼んでみると、出てきたのはトルティーヤ(トウモロコシの粉で作ったギョーザの皮状のパンみたいな物。メキシコ人の主食)に肉やら野菜がたっぷり乗ったヘビーな代物だったりする。

SOPESと頼んだらこんなものが出てきた-メキシコ
SOPESと頼んだらこんなものが出てきた。

それはさておき、メヒコといったらタコスである。日本のメキシコ料理屋ではタコス様が一品料理としてうやうやしくテーブルに供されるが、実は本場は違っていた。タコスは屋台のスナックなのだ。市場の端によくタコス屋台がでていた。巨大なジンギスカン鍋のような凸型鉄板で、肉、野菜、チョリソなどの具材を炒め暖めておき、注文が入ると鍋の凸部でトルティーヤ(タコスの皮)を暖め、好みの具材をはさんで、はい一丁あがり。それに生ライムをギュッと搾ってサルサソースを効かせる。アツアツのタコスの皮は表面はパリっと、中は適度なもちもち感があって、それが中の具材にマッチして大変おいしい。これが4個で30ペソ(300円)しないのだから、もうブラボー!である。

本場のタコスは屋台の鍋で作る-メキシコ
本場のタコスは屋台の鍋で作る
タコスの本場風-メキシコ

市場のB級グルメで感動したのは、ソパ・デ・マリスコと呼ばれる海鮮スープである。トマトスープにシーフードと野菜がたっぷり。そこに刻んだアボカドが入っているのがメキシコ風。チリの辛味に生ライムの酸味を効かせ、なんと香草パクチーを振りかけていただく。どこかで食べたことのある味、そうこの辛味と酸味はトムヤムクンだ。パクチーを散らすところまで一緒ではないか。アボカドが入ってちょっとマイルドな味に仕上がっているのもナイスだ。

ソパ・デ・マリスコ-メキシコ
ソパ・デ・マリスコ

普通の食堂ではチキンのローストなどが定番のようだが、ちょっと小洒落たところになると、チョコレートソース!のかかったチキン(ポーリョ・エン・モーレ)とか、甘い松の実ソースのかかった巨大なピーマンのひき肉詰め(チレ・エン・ノガータ)なんかもあったりする。機会があったらぜひお試しを。

チキンのチョコレートソースがけ
チキンのチョコレートソースがけ

そして忘れてならない料理のスパイスは音楽である。メヒコは流しのミュージシャンが人々の集まるところに必ずいる。見事な演奏を効かせるものもいれば、中には小学生の笛並みに下手なヤツもいるが、それでも堂々と「金をくれ!」とソンブレロを差し出す。なのでちょっとしたテーブルチャージが余計にかかるが、それはそれでよしとしよう。

さて、大衆食堂ではたいていテレビが置いてあった。流れているのは音楽番組かサッカーである。メキシコはW杯を2回も開催したサッカー大国で、リーガ・メヒコも大人気である。ある日の番組は国内有数の人気チーム・グアダラハラとチアパスの激突だった。劣勢のチアパスが奇跡的な先制ゴールをグアダラハラゴールにぶち込んだ。

TVを見ていた周りのメキシコ人も「こりゃ意外!」って顔をしたいたが、ブラウン感のなかのチアパスの選手とサポーターの喜びようは半端ではない。

得点をあげたFW(フォワード)の選手が一瞬クローズアップされたあと、カメラは
チーバスのGK(ゴールキーパー)の奇妙なパフォーマンスを捕らえた。

 そして、僕は絶句した。

なんと得点をあげたチームのGKが覆面レスラーのマスクをかぶってフィールドの中央に躍り出たのである。パフォーマンス用のマスクを隠し持っているなんて、お前は日本ハムの新庄かぁ!それに得点を決めたのはFWで、GKのお前ではないだろう。

 なんという目立ちたがり精神!

しかし、このぐらいの自己主張がなければ世界のサッカーシーンで生き残ってはゆけない。プロレスはサッカーと並ぶメキシコの国技である。国技+国技。これは2倍のパワーを発揮するに違いない。わがジーコジャパンもサッカー大国メキシコに学ばねばならない。

 そうだ!ドイツW杯の秘策を思いついた。

まず、中村俊輔がゴールを決める。すると、すかさずGK川口能活がパンツを脱いで相撲のまわし姿で歓喜のパフォーマンスをするのだ。

これなら「+国技」のパワーでブラジルを圧倒することも夢ではない?

(続く)


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最終更新:2016年08月27日 16:58