【アミーゴの国を行く・メヒコ旅行記】
第2話)グアナファト・音楽であふれる街

《メキシコ旅行記|グアナファト・ケレタロ・モレーリア》

翌朝目を覚ました僕は、早速街の探索をすべく散歩に出かけた。ここグアナファトはスペイン植民時代に世界の銀の1/3を産出していたという佐渡の金山も顔負けの鉱山の街だったという。でもその後産業が育たなかったため、街は中世当時の姿をそのまま留めて今に至たった。そのおかげで世界遺産に指定されたのだから世の中何が幸いをもたらすか分かったものではない。ともかく谷間に開けた石畳の街並みは砂糖菓子のようなかわいらしく、美しい。

グアナファトb
砂糖菓子のようなグアナファトの街
グアナファトa

ここはヨーロッパ?と思えてしまう程なのだが、大きく違う点がひとつある。それは人々の顔つきである。どこがどう違うのかと言われると、大変失礼ではあるが、特にメキシコ人の男のそれは、たとえ仲良く子連れで歩いているファミリーパパであっても、日本人の僕から見ると相当な悪人顔に見えてしまうのだ。簡単に言うとどいつもこいつも人相が異様に悪い!

メキシコは治安がよろしくないと聞いていたので余計悪人っぽく感じてしまうのであろうか? 実際のところグアナファトは人口16万人の田舎街なので治安は全然悪くなかったのだが、到着したばかりの僕は、朝だというのに道行くオヤジたちの人相にビクビクしながら歩いていた。

さて、朝の散歩も済んだところで朝食といきますか。とあるカフェで「クラシコ」とメニューに書いてあるセットを頼む。

 「クラシコ、ポルファボール」
 「セニョール、飲み物はコーヒーでいいかい?」
 「ああ、それでいいですよ」

そして運ばれてきたのは、お湯が入っただけのカップとネスカフェの瓶だった。インスタントがメヒコのクラシコ=伝統食なのかぁ。そりゃ少しトホホだぞぉ。

ピリッと唐辛子の効いたスクランブルエッグをパクついていると、なにやら音が聞こえてきた。

 ♪ジャンジャカ ジャカジャーン ~♪

おやや、朝っぱらから流しのギター引きが登場だ。まるで絵に描いたようなメヒコが早速初日の朝からお出ましではないか。

 ♪オララ~ララ~ オララ~ララ~ ♪

ソンブレロを被ったいかにもドン・タコスなギター親父は、僕の前にやってきて一曲歌いだす。おっ、これはシャッターチャンス到来。僕はすかさずデジカメを取り出し「パチリ」とやった、「パチリ」と。 ん?? おかしいカメラが反応しない。どーしたんだ。充電はしっかりしたはずなのに。あっ! メモリーカードが入っていない。うわー、記録媒体がなければデジカメなんてただの箱ではないか!

焦っている間にドン・タコスは一曲弾き終えソンブレロを取って一礼すると、おいらの前にそのソンブレロを逆さにして差し出した。要するにそこにお金を入れろということだ。

一枚も写真が撮れていないのにチップを差し出すのは納得がゆかんが、それはこちら都合というもの。仕方なく手元の小銭を差し出した。あのつばの大きいソンブレロという帽子は、実は集金にもってこいの便利ツールであることを初めて知った瞬間だった。

ともかくデジカメの記憶媒体を買わんことには。メキシコで最初の買い物は800ペソ(約8000円)もするメモリーカードとなってしまった。この最初の買い物が、結局メキシコ滞在中最も高い買物になってしまった。イテテテッ~!

グアナファトは不思議な街であった。鉱山の街だったため、坑道を利用した石造りの地下道が街中をぐにゃぐにゃ貫いている。なのでフツーに通りを歩いていると突如として何の脈略もなく地下道の出入り口が現れてくる。まるで立体迷路に迷いこんだ不思議な感覚になる。

この街で最もにぎやかなのはラ・ウニオン広場を中心とした一帯だ。広場の中心にはちょっとした演奏場があり、昼になると市民楽団と思われる吹奏隊が陽気なラテン音楽を奏でている。広場を囲んでオープンテラスのレストランがいくつも連なり、そこには4人組の楽団がギターをジャンジャカやっている。

レストランでは楽団がギターを奏でる-グアナファト
ギターを奏でる楽団、街をねり歩くマーチングバンド、、、
マーチングバンドが大通りを行進-グアナファト

そうかと思えば、遠くからドラムの音が聞こえてきた。何だろう?と思って駆けつけてみると、若者のマーチングバンドが大通りを行進していた。今日は特にお祭りの日でも何でもないのに。

グアナファト。なんだかそこかしこに音楽であふれる街だった。

(続く)


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最終更新:2016年08月27日 16:52