【寒いぞ!冬のモロッコ旅】
第6話)大晦日のジャマ広場は大賑わい

《モロッコ旅行記|マラケッシュ|ワルザザード|ラバト》

マラケッシュの街の中心ジャマ広場はいつも大道芸人たちで活気に満ち溢れるている。蛇使いや猿回し、わけのわからん占いババア。あちらこちからアラブの笛太鼓が鳴り響き、止むことをしらない。その賑わいは大晦日が近づくに連れいっそう増していった。

広場では軽業師たちが見事なアクロバット芸を繰り広げる。くるくるくるくるバック転を繰り返す少年たち。あっという間に空中に飛び上がり人間タワーの完成だぁ。これを某飲料メーカーの宣伝部の人が見たら、次のN焼系CMはモロッコ編がオンエアーされること間違えなし。で、思わず写真を撮ったらしっかりお金を請求されてしまった。

ジャマ広場の大道芸人-マラケッシュ
ジャマ広場の大道芸人

広場は夕方になると一大屋台食堂街へと変貌する。羊肉のバーベキューの煙であたりの視界は一気にゼロとなる。香ばしい焼肉の他に、タジンと呼ばれる土鍋料理もポピュラーだ。肉と野菜をサフラン風味で煮込んだ料理はセ シ ボン!
ジャマ広場は夕方から巨大な屋台村へと変貌する-マラケッシュ
ジャマ広場は夕方から巨大な屋台村へと変貌する

大晦日の夜、僕は広場に繰り出した。新年まではあと2時間ほど。表で年越しを待つのは寒いのでカフェでしばらく休憩する。すると背後から「O・I・SHI・I?」と声が聞こえた。 「オイシイ?」えっ日本語? でも日本人の姿はない。変だ、空耳か? しばらくすると「ニホンジンデスカ?」と声をかけるフランス人男がやってきた。

こちらが多少仏語が分かると知ると、会話(と言える程、実際のレベルは高くないが僕的に気分は会話なのでそう記述させていただく。文句を言わないように!)は仏語になってしまった。で、なんとこの男、長野で英語の教師をしているのだと。なんでフランス人が英語教師なのかよく分からんが、日本にいたのでそれで日本語を多少知っているのだ。で、奥さんは日本人とのこと。

しばらくするとその奥さんが戻ってきた。するといつの間にか、英仏日3ヶ語がぐちゃぐちゃのわけの分からない会話が始まってしまった。うーん何だか気分はグローバルな国際会議だ。でも話題は「どこに住んでるの?」といった極めてローカルな内容だけなんだけど、、、、

で、ともかく「そろそろカウントダウンが始まるかもしれないから広場に行ってみましょう」ということになった。

あと5分で2004年が始まる。広場には大勢の人が集まって足の踏み場もない。でも、カウントダウンと言っても誰が音頭を取るというのだ。ここには電光掲示板でクロック表示なんて気の利いたものなどありわしない。誰の時計を基準にカウントダウンすりゃいいの?

そんな細かいことにはお構いなしに、モロッコ人たちは勝手にそれぞれのグループで盛り上がっている。2分前(僕の時計で)になったらもうあっちこっちで花火が打ちあがりだした。

   「BONNE ANNE!(ボナネ~!)(新年おめでとう)」

   「BONNE ANNE!(ボナネ~!)(新年おめでとう)」

いったいいつ年を越したのか、全くけじめの無いままいつの間にか年が明けてしまった。
BONNE ANNE!(ボナネ~!)(新年おめでとう)」とあちこちで祝いの言葉が飛び交う。

   「ムッシュー、BONNE ANNE!(ボナネ~!)

おや、知らないモロッコ人が声をかけてきた。あっ、よく見ると初日のホテル探しの時に僕ににウンコのようにまとわりついてきた男ではないか。あの時はうっとうしいと思ったヤツだが、今は何故か会えて嬉しい気がしている。不思議だなぁ。

(続く)


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最終更新:2016年08月24日 10:42