【寒いぞ!冬のモロッコ旅】
第2話)一人時間差攻撃

《モロッコ旅行記|マラケッシュ|ワルザザード|ラバト》

初日のホテル探しに苦労したおかげで思わぬ発見があった。オテル・ソントラルなる安宿で格安ツアーを募集していたのだ。行き先はマラケッシュから一番近い(といっても200km先)砂漠の街、ワルザザード。途中、世界遺産のアイント・ベン八ットゥなる土造りの要塞も訪れるワンディツアーだ。

ワルザザードの要塞-モロッコ
ワルザザードへのツアーに申し込む(写真はワルザザードの要塞)

これは時間の限られた僕みたいな旅行者には助かる。そのアイントなんとかに個人でいこうとしたら、ワルザードに泊まってそこから車をチャーターしてとややこしいことになるので、今回の旅行では諦めていたのだがいきなり予定変更!オテル・ソントラルには満室で泊まれなかったけど、もちろん宿泊客以外もツアー参加はOK。宿の主人に聞くと明日の朝7:00にホテル前に集合とのこと。僕は早速お金を払って申し込んだ。

翌朝、目覚まし代わりに持ってきた携帯のアラームが6:00に僕をたたき起こす。マラケッシュの冬の朝は恐ろしく寒い。おまけに泊まったオテル・アドラルは清潔なのはいいのだが。いかんせん安宿、お湯が出ない。正確にはシャワー使用時にお金を払ったときだけ出るのだが、朝、顔を洗うときにいちいち金など払いたくない。修行僧の心意気で洗面をすませ、身支度を整えた。寝ていた守衛を起こし鍵で閉まった門を開けさせ、集合場所のオテル・ソントラルへ向かった。

マラケッシュは7:00前だというのにまだ太陽は顔を出していない。暗く狭い小道を震えながらトボトボと歩き、オテル・ソントラルに着く。ああ寒い。とりあえずレセプションの中に入ろう。 ん? あれ。 オテル・ソントラルの扉は鍵がかかって硬く閉ざされている。どういうことだ。ここは本当にツアーの集合場所なのだろうか。さては新手の詐欺か。前金で支払った250ディラーム(約3,250円)は騙し取られたというのか。きぃー!

ともかく扉を叩いてみる。するとオテル・ソントラルの守衛が出てきた。

 僕 :「ここはツアーの集合場所ですね?」
 守衛:「ウィ」

 僕 :「もう7時じゃないですか?」
 守衛:「ノン!」

 僕 :「え!」

 守衛:「イレ シザール」
 僕  (えーと、イレ シザールは、えーと、あ「今6時」って言ったのだ。あれ6時!)

 僕 :「ノン!セッタール(ちがうでしょ、7時じゃない?)」

僕は堂々と腕時計を差し出して守衛に見せてやった。時計の針はちょうど7時を指していた。 指しているはずだった。 指すべきなのだ。 アレレ。 6時を指しているではないか~。 どういうことだ。モロッコでは得体の知れない強力な磁力が働いて時間をもゆがめてしまうというのか。そんなはずはない。確かに僕は6時に携帯の目覚ましをセットしたのだから今は7時のはずだ。どうして腕時計と時差があるのだぁ。

あっ!思いだした。

腕時計の方はモロッコ時間に合わせて1時間遅らせておいたのだが、携帯の時計は乗継地のパリ時間のままだったぁ。つまり僕は6時に起きたつもりで、本当は5時に起きてしまったのだ。

しかたなく、僕は泊まってるホテルに一旦引き返した。またも守衛を起こして門を開けてもらい、自分の部屋に戻る。守衛は2度もたたき起こされてとても不機嫌そうだ。

ああこれが本当の時差ボケってやつだ。自分に一人時間差攻撃をかけてしまうなんて情けない。。。

(続く)


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最終更新:2016年08月24日 10:38