【黒いフランスの旅:グアドゥループ/マルチニック島】
第10話)旅の終わりの憂鬱
《フランス領カリブ旅行記|グアドゥループ島|マルチニック島》
旅の終わりはいつもあっという間にやってくる。また飛行機を4便乗り継いで帰らねばならない。
「日本から来たのか?」
パスポートコントロールの若い係官が話しかけてきた。昼過ぎのフォール・ドゥ・フランス空港は乗客もまばらだ。
「旅はどうだった?」
僕以外に出国手続きをする人がいなかったので、日本からの珍客は絶好の暇つぶし相手であった。
「何でマルチニックに来たんだい?」
「島の音楽が好きだったからだよ。ほら見て。」
僕はカリさんツーショットのデジカメ画像を見せてやった。
「おお、シューペール!(凄いじゃん!)」
係員はびっくりしていた。島のスーパースターとツーショットなど、現地の人だってそうかなう事ではない。ふふふ。
出国スタンプを押してもらうと、広い待合室に人は20人程しかいなかった。こんなスカスカなら生真面目に出発2時間前に空港に着く必要もない。やや時間をもてあました僕は、旅の小遣い帳などを整理してみた。
えーと、宿泊代が30ユーロ2泊と85ユーロが一泊、それから50ユーロが、、、、あれ、宿泊だけで合計295ユーロ。それって円換算すると、えーっと、、、おぎょぎょ! 49,000円!!!! ちょっ、ちよっと待った。それだけじゃないぞ。空港からのタクシー代と船賃で130ユーロはかかっているはずだから、これで、21,000円! それに毎日の食事代やら何やらで、合計すると、えーと、合計すると、、、、え"っ、、、、ああもう嫌だぁ! そんなの知りたくな~い。
1ユーロ=約165円と超ユーロ高の07年春。それは頭ではわかっていたし、決して贅沢をしたつもりはないのだが、安く済ます手段が少なかったこともあって、ともかく知らぬ間にお金が湯水のように消えていた。
本国と遠く離れていてもここはフランス、インフラは整っている。ついついカード払いしてしまったせいないのか、あるいは島の気候が東南アジアのようで、なんとなーくサイフのヒモ感覚がアジアしていたせいなのか、ともかくこんなに使っていたとは!
帰国したらカードの請求書におびえる毎日が続きそうである。トホホ~。
最終更新:2016年08月27日 17:21