【黒いフランスの旅:グアドゥループ/マルチニック島】
第5話)早すぎるぞ!グアドゥループの夜

《フランス領カリブ旅行記|グアドゥループ島|マルチニック島》

とある昼過ぎ、島の北西部にあるラム酒博物館に行ってみることにした。ポワンタ・ピートル郊外の空き地がバスターミナルになっていて、目指すバスは意外に簡単に見つかった。乗車すると、バスには普通ありえないものが搭載されていることに気がついた。巨大スピーカーである。大人一人分はあろうかと思われるそのスピーカーは、走りだすと大音量でご機嫌な音楽を流しだす。トロピカルな車窓に、チャッチャカ♪ チャッチャカ♪ と陽気なサウンドがバスの中を充満し、とってもいい気分。

路線バスに積まれた巨大スピーカー
路線バスに積まれた巨大スピーカー

島ではバスに乗ると見知らぬ乗客どおしでも、とりあえず「ボンジュール(こんにちわ)」と挨拶を交わす。始めは少し戸惑った僕だがすぐに慣れ、人が乗るたび当たり前のように声を交わすようになった。

しばし郊外を抜けると、あたりは一面のサトウキビ畑に変わる。思えばこの島にこれだけ多くの肌の黒い人たちが住んでいるのもこの作物のせいだ。その昔、遠くアフリカから奴隷として強制移住させられた人々の末裔がこの島の住民なのだ。

ラム酒博物館はそんなサトウキビ畑の奥にある古い精糖工場跡に建てられていた。ノスタルジックな蒸留器具やら島の歴史写真が展示されていてなかなか興味深い。

ラム酒博物館
ラム酒博物館

ひととおり見学した後バスで街に戻る。例によって乗り込む人には「ボンジュール」と声をかけるのだが、、、

 「ボンジュール?、ボンソワールだろ」

えっえっ、時刻は未だ午後3時半で、陽はまだ明るいのに 「ボンソワール(こんばんわ)」だと。これはどういうことだ!

気づくと人々の挨拶はもう完全に「こんばんわ」に変わっていた。島の夜はこんなに早いのか!

ポワンタ・ピートルの街に戻ると時刻はまだ4時過ぎだというのにシャッターを閉めだす店がもう出始めていた。そして6時になったら未だ明るいのにほとんどの店がシャッターを閉めてしまい、あっという間に人っ子一人いなくなってしまった。やがて陽が沈むと街は一気にゴーストタウンと化す。なんて薄気味の悪い。

仏領カリブ・グアドゥループの首都ポワンタ・ピートルb
目抜き通りも、すぐに人通りがなくなるポワンタ・ピートル
仏領カリブ・グアドゥループの首都ポワンタ・ピートルb

急に「夜は出歩くな」と言った宿のオヤジの言葉を思い出し恐くなってきた。気づくと僕の他に出歩いてるのには、なんとなくヤバそうな浮浪者風だけになっている。もう宿に戻ることにしよう。

明るいうちは風光明媚な南国の街なのに、夜はこんなふうになるなんて聞いていないぞ!というか、観光客はリゾートに泊まるのがお約束で、街中うろつくような貧乏旅行者はお呼びじゃないよ~んと言われてる気がする。。。。

(続く)


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最終更新:2016年08月27日 17:13