【黒いフランスの旅:グアドゥループ/マルチニック島】
第8話)スーパースターと遭遇か?(1)

《フランス領カリブ旅行記|グアドゥループ島|マルチニック島》

午前中、山の中腹にある某植物公園に行ってみた。マルチニックは別名花の島と呼ばれている。その公園には島中の花が集めれていて大変綺麗なところだというので、バスに乗って曲がりくねった山道を進んでいった、20~30分ほどのバスの旅は景色が絶景で楽しい。

植物園に着いた。こんな不便な山奥にバスでやってくるのは僕ぐらいで、たいていの観光客は車でやってくる。この島では貧乏系旅行者を見かけない。そのかわりちょうど遠足で見学にやってきた島のガキどもと出くわしてしまった。ヤツらは美しい花々よりも僕のほうが珍しいらしく、「シノワだ(中国人だ)」と騒ぎたてていた。ウザいぞ、ガキども!ちゃんと植物鑑賞しとけっ。

植物園
ちゃんと植物鑑賞しろよ、ガキども!

園内は、花々ばかりでなく、珍しいハチドリまでが人間を全く恐れず飛び交っていた。空中でヘリコプターのように静止して飛ぶ鳥を僕は生まれて初めて見た。

花の島・マルチニックの植物園

さて、ひととおり植物園も見学したことだし、そろそろ街に戻るか。公園出口の土産物売り場では、僕の大好きな島のミュージシャン「カリ」の音楽が流れていた。僕は植物園の門を出て山道の端に腰掛け、気長に帰りのバスを待つことにした。まあ20~30分も待ってりゃくるだろう。

ところが、帰りのバスはなかなか来る気配を見せない。僕以外のリッチ系観光客たちは車で颯爽と出て行ってしまうので、ちと腹立たしくもあるが、まあ、この辺りは空気もおいしいし、慌てることはないじゃんと自分をなだめてはみるものの、一向にバスが来る気配がないのでちょっと心細くなっていた。

さて、こんな山奥ではあるが僕の腰掛けてる山道の反対側には、家の門らしきものがある。門の奥には結構大きな家が建っていた。きっとお金持ちの別荘かなにかなのだろう、こんな山奥に居を構えるなんてフツーの人間ならありえない、などと思いをめぐらしていたら、

 ウィーーン、ガッガッガッガー

なんとその家の門が電動で開きだした。おお!なんかカッコいいじゃん。やはり金持ちが住んでるのか!おやや、なんかレゲエ髪のオヤジが現れたぞ。何をするんだろう。ああ、車が来ないのを確認して車庫の車を外に誘導しているのか。車を運転しているのは若いお姉ちゃんだぁ。

 「お前はそこで何をしているのだ。」

と道で車を誘導していたレゲエ髪が僕に尋ねてきた。しめた!これはチャンス!うまく行けば街まで乗せてもらえるかもしれない。

 「バスを待っているのですが、なかなか来ないのです。」
 「そうか、じゃ乗ってくか?」

狙いどおりである。これはこれは天からの恵み。

 「メルシーボクー!」

と愛想を振りまきレゲエ髪の親父に礼を述べたのだが、うむむむ~、この親父の顔、なんか以前見たことあるような気がしないでもないなあ。

いずれにしても、こんな山奥に電動ドア付の立派な家に住んでいるだけでも、ただものであるはずがない。いったい何者だろう。。。

(続く)


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最終更新:2016年08月27日 17:20