【黒いフランスの旅:グアドゥループ/マルチニック島】
第2話)トランジット
《フランス領カリブ旅行記|グアドゥループ島|マルチニック島》
シカゴで乗り換え、マイアミに到着したのは夜の11時だった。翌朝8時のフライトに乗り継ぐのに、空港内で寝るのはさすがに厳しいので、あらかじめ日本からホテルを予約しておいた。8時発ということは2時間前に空港に行くとして、なんだかんだで朝5時には起きねばならない。実質ホテルの滞在は5~6時間程度だ。出来るだけ節約したいところだが、一番安い Rッドルーフ・インというホテルで一泊78ドル(約1万円)もする。わずか5~6時間で1万円の出費はかなり痛いが、他にオプションがない。
片道乗継3回4区間ずつ、つまり往復8区間もヒコーキに乗ることになる!!
乗継1:シカゴ 乗継2:マイアミ 乗継3:プエルトリコ
グアドゥループ島 マルチニック島
このホテルはシャトルバスの送迎付である。でも、一体どうやって迎えに来てくれるのだろう? きっと空港出口に専用のバス停でもあるのだろう、と思って生暖かさの残る夜の空港の外に出た。すると大きなバンがゆっくりと巡回しながら人々をピックアップしているのが目に入った。バンにはそれぞれのホテル名が書かれていた。そーか!巡回してるシャトルに勝手に乗ってけ、という仕組みになってるのだな。
しかし、Sェラトンだの、Hリデーインだの、有名どころのシャトルバスは本数も多くすぐ見つかるのに、Rッドルーフ・インはなかなか来ない。少々不安になってきたころ、やっとお目当てのシャトルやってきた。やれやれこれで今夜の寝床は確保できたゾ。
チャックインしたのはもう夜の12時だった。明日の朝は早い。僕は眠くてしかたなく、着替えもせずそのまま床に着く。そして気づくともう目覚ましがなって朝の5時だった。
早朝6時のシャトルバスで空港に向う。ホテルのロビーには同じように朝便に乗るであろう旅行者たちが大きな荷物を抱えていた。朝のシャトルは、昨夜のバン型ではなく、大型の観光バスだった。このバスは空港には直行せず、いくつか他のホテルを巡回して客をピックアップしていった。朝は乗客が少ないので、周辺ホテルと共同でこのようなシステムにしているのだろう。
バスは20~30分程周辺ホテルを巡回した。チェックインの時間が気になるが、まあまだ大丈夫だろう。ハイウエイの標識が『Airport』を示していたので、ここでバスは空港方向に曲がるのだろうと思ったところ、意外にもバスは標識と逆方向に曲がっていった。そして、ぐんぐんスピードを上げ、なんか市内を離れていく感じだ。これはおかしい!僕は念のため運転者にたずねてみた。
「このバスは空港行きですよね?」
「ノー!! オーランドだよ」
オ"っ オーランド だと! しまった! 間違ってフツーの観光バスに乗ってしまった!!
「停まって! タクシーに乗るから」
ぼくはバスを止めさせ荷物を降ろし、早朝のだだっ広いマイアミの大通りでタクシーを捜した。あっ!反対車線に一台いるぞ。これを逃したら飛行機に乗り遅れる。僕は必死で手を振りそのタクシーを呼び寄せた。
「空港まで、急いで!」
タクシーの中でも出発時間のことが気がかりで仕方なかったが、何とかギリギリ間に合った。
しかし、、、
ホテル代 一泊 78ドル
余計なタクシー代 35ドル
想定外の心労と狼狽 Priceless
随分、高くついたトランジットであった。
最終更新:2016年08月27日 17:18