【タイの真中辺りを行く】
第4話)タークのお祭りは巨大な学園祭?

《タイ旅行記|ターク|メーソット|スコータイ|ピサヌローク》

タークの観光案内所(か何かだったと思う)
タークの観光案内所(か何かだったと思う)

偶然訪れたタークの街はお祭りの真っ最中だった。夜になると、街の中心の広場から河原にかけての広大な区域に仮設舞台があちこちに設置され、歌謡ショーやら舞踏ショーが繰り広げられる。ムエタイ(タイボクシング)の屋外リングには大人たちが群がって歓声をあげる。戦っているのは少年ボクサーだが、観客の大人たちは賭けをしているのでその熱気は凄まじい。

無数の屋台がステージやリングを取り囲むように埋め尽くす。炭火であぶられる鶏鳥の香ばしい香りがあちこちから漂い、食欲をさそう。辺りは人、人、人の大洪水でものすごい活気だ。ドッドーン、ドッドーンと夜空に花火が打ちあがり、大歓声がこだまする。

ところでこのお祭りをよく見てみると、比較的大きなブースは公的機関が多く出展していることに驚かされる。むろん企業の出展もあるのだが、学校や病院などの参加ブースが意外に多いのだ。そのせいだろうか。巨大なお祭りにも関わらず、何かとても素人くさい感じがプンプンする。どこかで体験したような感覚、、、そうだ、これは学園祭のノリだ。

でも本気度が違う。例えばある大学はライブハウスを出店していた。バンド演奏を聞かせながら、ステージ前のテーブル席で客にビールを提供している。日本の学園祭でヘナチョコサークルがたこ焼き売るのとは気合の入り方が違う!

そんなステージが何校分もあるのだから大したものだ。

僕はとある屋外ステージカフェに入ってみた。そこもどこかの学校が出店しているようで、ウエイター・ウエイトレスはみな制服を着た中学生くらいの子供である。が、この子供たちの働きぶりはどうだ。きちんと客の注文をとってきびきびとテーブルからテーブルを飛びまわり、ちゃんと集金までする。これが日本だったら「子供に商売させていいのか!」って教育団体が怒鳴り込んでくること間違いなし。

でも、よく考えてみると、机の上の勉強よりも、このタイの学校カフェの方がよっぽど実社会を勉強できるのではないかなぁ、そんな風に思ってしまった。

次に僕は、女子高のブースを探してみた。すると、、あったあった。さてさて、そこでは何を売っているのだろうと覗いてみると、何と原宿あたりで売ってそうなクレープ!僕は甘ったるいクレープなど日本で絶対に食べることなどないのだが、ここは試さざるをえない。

よく見ると看板には「เครปญี่ปุ่น(クレープ イープン)」と書いてある。「ญี่ปุ่น(イープン)」とは日本のことだ。つまりはオシャレの象徴がญี่ปุ่น(イープン)=日本なのだ。

ということは、日本人がおフランスに憬れるように、タイ人は日本にぞっこん。すなわち、日本人である僕は、ここタイでは、日本でのパリジャン並みに憧れの対象であるに違いない。よっしゃー!女子高生と仲良くなれること間違いなし!

 僕   :นี้อะไร(ニーアライ)(これは何?)」と分かっていながら尋ねる僕。

 女子高生:เครปญี่ปุ่นค่ะ(クレープ イープン カッ)(日本のクレープよ)」

 と想像どおりの答え。しめしめ。僕は好きでもないクレープを買って、、

 僕   :ผมเป็นคนญี่ปุ่นครับ(ポム ペン コン イープン クラップ )(僕日本人なんだ。)」と切り出す。

さあどうだ、これで女子高生たちは「キャー、ステキー 日本人だわー(ハート)」と大騒ぎするに違いない。ふふふ。

 どれどれ

  ん?

 女子高生:คนญี่ปุ่น(コン イープン)? จริงหรือ(チン ルー)?(日本人、本当? ウソでしょう?)」

あれれれ、おかしい。こんなはずではないはずなのだが、、、

やはり僕の日本人離れしたルックスが災いしたのだろうか? 結局、女子高生と甘い仲にはなれず、ただ口の中にクレープのしつこい甘味だけが残った。トホホ~。

(続く)

※注)現地の人との会話は、カタコトのタイ語と身振り手振りでなされました。当然のことですが、意思疎通には誤解や曲解がつきもので、実際はこんなにスムーズに会話が交わされたわけではありません。


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最終更新:2016年08月26日 21:42