【おっかなびっくり、リオの休日】
第10話)丸秘? リオの夜
《ブラジル旅行記|リオデジャネイロ・セントロ・コパカバーナ・ファベイラ・マラカナァン》
コルコバードの丘やパォン・ジ・アスーカルなど超有名な観光スポットからの眺めが素晴らしかったのは今さら僕がここに書くまでもない。明るい太陽の下、コパカバーナを散歩しているだけで最高に幸せな気分になれる。初日に嫌なことがあったにもかかわらず、その後はリオの魅力に取り付かれてしまい、結局1週間ずーとリオにいついてしまった。そしてもう今夜でリオも最後だ。
コパカバーナ大通りに一軒の怪しげな店を見つけていた。数日前から気になっていたのだが、えい!もう今夜が最後だ。思いきって行って見よう。僕は盗まれても差し障りがない程度の現金だけを手にして、その怪しげな店に向かった。時刻は夜の10時過ぎ。店の前にはいかにもといったどぎついネオンに灯がともっていた。
さあ、店の前に着いたぞ。勇気を出して入って見よう!
でも、中々足が前に進まない。僕は一息深呼吸を入れて、店の看板をもう一度眺めてみる。すると「エントラーダ、フランサ」と書いてあった。「エントラーダ」は入り口とかそういう意味だ。「フランサ」は何だろう。きっと英語の「フランクリー」とかそう言う意味に違いない。つまり「お気軽にお入りください」と書いてあるのだろう。
僕は看板のポルトガル語を自分の都合のよいように勝手に解釈した。「『お気軽にお入りください』と言われたら入るしかないじゃん。僕のせいじゃないも~ん」って気分になるから、不思議なものだ。僕は堂々と店の中に入ってみた。
薄暗い店の中には、客なのか用心棒なのかよく判らない目つきの鋭い男たちと、拍子抜けするくらい気弱そうな店の親父がいた。ここでは英語はほとんど通用しない。なんとか親父から聞き出した店のシステムはこうだ。まずFICHAと呼ばれるコインを買う。そしてそのコインを機械に入れると、とーてもイイものが鑑賞できるというシステムだ。むろんコインの枚数に比例して鑑賞時間が決る。
僕は帰りのタクシー代を残して、現金をコインに変えた。親父は僕をとある電話ボックスのような個室の中に連れて行き、電話機のような機械にコインを入れるよう教えてくれた。一体なにが起こるのだろう。僕は入り口のドアを閉めた。暗い個室の入り口と反対側には閉められた窓がある。
僕はコインを入れた。
すると、なーなんと! 窓が開いた。そして窓の向こうではナオミキャンベルも真っ青のスタイル抜群の混血ねーちゃんがセクスィー水着でダンス遊ばされておりまするではございませんかぁぁぁ。
おおー腰をくねくねしだしたぞ。
これはスゴイー、
スッゲー(あんな格好やら)
スッゲー(え”~、こんな格好やら)
スッゲー(おお、そんな格好も!)
おお、こっちに来るぞ、
カムオ~ン!!
もう18禁ものだぁぁぁ
あ”っ!!
ガッシャ!!
↑↑↑
(突然シャッターが閉まる音)
僕:「え”?????????」
なんと、もうちょっとと言うときにコインが切れてしまった。鑑賞窓はすりガラスの扉に変わってしまい、中は見えなくなっていた。唖然とする僕……手持ちの現金は少ししか持ってきていなかった。しばし残りのタクシー代をコインに変えたい誘惑に駆られたが、ここはグッと我慢をするしかなかった。
それにしてもあのコインの切れた瞬間、僕は生まれて一番の間抜け顔をしていたに違いない。
僕のリオの休日はなんとも情けない形で終わってしまった。トホホ~
最終更新:2016年08月24日 08:24