【お正月はハ○イにキマリ?-海南島の旅】
第8話)海鮮三昧
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東洋のハワイと呼ばれる海南島であるが、その観光情報はおそろしく貧弱である。試しに某地球の歩き方をめくってみると、レストラン情報が一軒もないのに驚かされる。
ではレストランが一軒もないのかと言ったらそんなことはなく、むしろありすぎてどれにしたらいいのか困るくらいだ。とはいえ、ほとんどが中国人相手に商売をしているため、外国人旅行者は大いに苦労をする。料理や素材の名前から注文の仕方など様々なローカルルールが存在し、慣れないとハズレを引いてしまう。
海南省の省都・海口にも無数の餐庁(レストラン)があったが、川沿いの鐘楼の近くに「福泉美食園」なる海鮮料理屋を見つけたので行ってみた。店の前の水槽には様々な活魚が泳いで、大変美味しそうだ。だが、何を幾らでどのように料理して、と注文できるような高度な語学力は僕にはない。
でもこの店、壁に料理の値段が写真とともに掲げられていた。これなら僕にも注文できる。そこで魚のスープ煮っぽいシロモノ28元(約400円)也を頼んだ。
中国語が話せない僕は、こういう時の筆談用にメモ帳とボールペンをいつも携帯している。同じ漢字の国どおしであるものの、中国漢字は見たこと無いものが多い。先ほどの料理名も4文字なのだが、その中で知ってる漢字は「魚」のみであった。
さて、果たして料理が運ばれてきた。ガーン!洗面器一杯分はあるぞ!
中国で困るのは、一皿あたりのボリュームがやたら多いことだ。かの地で餐庁(レストラン)とは大人数で行くものとされているようだ。なにか一品頼んでも、一人ギャル曽根となって胃袋をフル稼働させねばならない。
料理はナマズのような白身魚を酸味の効いたスープでトマトを添えて煮たものだ。美味しかったのではあるが、さすがに洗面器一杯は飽きてしまった。それに海辺で川魚はちと期待ハズレ。まあ0対0のPK戦勝ちといったところであろうか。
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南部の三亜では海花路通り沿いに無数の海鮮レストランが並んでいた。ここでは高価な水槽の活魚のほかにも、手ごろな小魚が屋台に並べられて、好きな魚をその場で炭火焼きにしてくれる。これならハズレはない。
選らんだ魚は、独特のカレー風味のスパイスダレとともにグリルされ、それが上品な白身とマッチして大変美味しいかった。これはもう3-0の快勝である。
調子をこいて最終日も同じ海花路に向かった。ここ海南島には文昌の鶏・東山の山羊・加積の鴨・和楽の蟹という4大名物があるという。よく考えたら僕はそのうちの1つも食べていなかった。メニューを見るといずれも50元(約720円)前後と高価である。和楽の蟹などは「時価」である。
僕は悩んだ、せっかく島にきたのだから4大名物で1つを頼むとしたらやはり蟹だろう、でも「時価」だよ「時価」。考えてみたら一生のうちで「時価」という値段のついた食べ物を注文したことって無かったよな。ここは思い切って注文してみるか? いや待て待て観光宣伝文句に乗せられて軽率にお金を消費してはいけない。 何をいう「時価」なんて日本で注文することは一生ないだろう。ここで「時価」を注文しなかったら生涯後悔するかもしれないぞ?
様々な葛藤がよぎった挙句、思い切って一生一度の大勝負にでた。
「和楽の蟹をください」
すると店員は僕に水槽の前で蟹を選ぶよう促し、選んだ蟹を軽量する。単価45元に対して32という数値が伝票に書き込まれた。「なんだたった32元(約460円)じゃないか」僕は生まれて始めての「時価」に勝利した気がした。
蟹は見事な炒め物となって美味しく賞味させていただいた。
さてお勘定、と思って伝票を受け取り腰が抜けた。
蟹代 3.2x45=144元(約2,070円)ナリ
ええ、話が違うじゃん、とはいえ僕は中国語ができないので話は元々していない。相手の書きかけた伝票に勝手にOKしたから文句の言いようがない。
まるで、前半1-0で勝っていたのに後半終了間際に3点を失い、逆転負けを食らった06年W杯豪州戦の気分である。
どうやら100グラムあたりの単価が45元で、蟹の重さが320グラムだからこの計算になると説明されたようだが、オイラにその中国語は理解できない。中国の食事で勝利するために「中国語」は欠かせないようだ。
東洋のハ○イの旅はオイラに過酷な宿題を残して終わってしまった。
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最終更新:2016年08月27日 08:50