【お正月はハ○イにキマリ?-海南島の旅】
第5話)鹿回頭(ルーハイトウ)の滑らない滑車

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リゾート地区の三亜(サンヤ)は宿代が高い。そんななか格安の藍天旅舎(ブルースカイ ホステル) はフトコロの寂しい旅行者の強い味方だ。生憎シングル部屋が満室でトリプルしか空いていなかったが、それでも一泊26ドル(約2,400円)はありがたい。

藍天旅舎(Blue Sky Hostel)
藍天旅舎(ブルースカイ ホステル)

とりあえず宿に荷物を置くと、僕は近くの鹿回頭(ルーハイトウ)公園に向かった。そこに何か特別なものがあるというワケではない。ただ山の上にあって眺めが良いというだけである。だが、旅行者から金を巻き上げるのは簡単なことだ。観光客という人種は、高い所があると昇らずには居られないと言う単純な習性を利用すればよい。そして、残念ながら僕もその例外ではなかった。

鹿回頭(ルーハイトウ)公園は地図上では藍天旅舎(ブルースカイ ホステル)から歩いて行けそうな距離に見えた。しかし実際は起伏の富んだ山道を歩かねばならない。

 プッ、プー!

警笛を鳴らして一台の三輪タクシーが寄ってきた。

 「鹿回頭(ルーハイトウ)に行くのか?」 
 「そうだよ」 

 「5元(約72円)でどうだ」 

周辺のリゾートな雰囲気にオイラのサイフの紐も心も緩んだのか、山道を歩くのがかったるくなって5元で手を打った。 

三輪タクシーは、公園の表側入口をすっ飛ばし、裏側の入口で停まった。そこは奇妙な乗り物の搭乗口になっていた。何やら遊園地のジェットコースター風の乗り物がある。

 「ここで85元(約1,220円)を払いなさい」

と係りの人が言う。 

随分高いなと思ったら、公園入場料45元(約650円)に、山頂まで行く「滑車」というジェットコースタ-風の乗り物(これは滑り降りるのではなく登り用だが)の料金40元(約570円)が加算されていた。

 「歩いて昇るから45元だけ払う」

と主張したら、あっさり否定された。仕方なく85元払って、滑車にのる。

滑車1
チャチな「滑車」で山頂に昇る

普通のジェットコースターと違って進行方向の逆向きに座り、「滑車」は一直線にギアレールを伝って、ゆっくり昇って行く。プラスチック製の安物のソリに車輪を付けただけの不安定な「滑車」はレールの継ぎ目で大きくガタつき、妙なスリルが味わえる。まあ、昇るためだけの「滑車」というのも珍しいので良しとしよう。

山頂にたどり着くとそこからは三亜の市街や海岸が360度見渡せなかなかのものであった。なるほど海岸地区はハワイっぽい。でも市街地方面はビーチと港湾地区が混ざって、こりゃやっぱりハ○イだ。

鹿回頭(ルーハイトウ)眺望1
鹿回頭(ルーハイトウ)公園山頂からの眺望

しばし景色を楽しんだ後、山道を徒歩でくだり、表側の公園出口を目指す。一瞬、例の滑車で裏側の公園出口に降りようかとも思ったが、ギアレールの上をゴトゴト揺られて降りるだけなら面白くなさそうなので歩いて景色を楽しむことにした。

蛇行した山道をトボトボ降りてゆく。もうすぐ公園出口というところで、ゴトゴトゴトーと何やら滑り降りる音がし、「キャー」と歓声が続いた。なんだろうと思って声のする方に向かうと、トロッコの線路がある。

ふたたびゴトゴトと音を響かせ、青いものが線路の上を通過していった。見るとそれは例の「滑車」ではないか。「滑車」は下りは直線コースではなく、山腹を蛇行するコースをたどって、ジェットコースターとして楽しめるのであった。しまった! こんな面白いことになってるのだったら下りも「滑車」で降りたのに。

滑車(下り)
ゴトゴト音をたてて滑り降りる「滑車」

しかし今から下りに乗るには、山頂まで歩いて登り返さねばならない。それにもうだいぶ日も陰ってきたのであきらめた。

なんだかスキー場にきてゴンドラで山頂まで来たのに、スキーで滑らず歩いて降りてきたような空しいモヤモヤ感だけが残ったぞ。悔しいぃぃ!

(続く)


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最終更新:2016年08月27日 08:45