【奥林匹克・足球観戦記@人民国】
第7話)階級闘争
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反町ジャパンが不甲斐ない闘いを続ける一方で、なでしこジャパンは快挙を成し遂げつつあった。強豪ノルウェイを5-1で撃破し、準々決勝に進出。今日8月15日に秦皇島で地元中国女子と激突する。
こういう展開になるなら、上海でなく秦皇島に行く旅程にしておくべきだったと後悔するが後の祭り。せめてここ上海にあってもTV観戦で応援だ。
オリンピック一色の中国は、食堂でも空港でも、どこでもCCTV(中国中央電子台)が何チャンネルも使って、オリンピックの様々な試合を放送している。ましてや中国vs日本の試合を放送しないわけがない。
しかしここで大きな問題が生じた。人民だらけのお店で青いシャツの日本人が無事で帰れるかという問題だ。やはりこういうときは同胞の多く集まる店に行くのが身のためだ。
上海には某日系クレジットカード会社のサービスデスクがあった。僕はそこで、
「日本人が集まる、TV観戦ができて、騒いでもOKなお店を紹介して」と頼み込んだ。
様々な観光スポットや高級レストランの紹介はお手の物のスタッフも、僕のリクエストには少々困ったようだ。「すぐには分かりませんの、少々おまちください。」とスタッフは何軒も電話して一軒の和食のお店を見つけてくれた。
「ここはカジュアルなお店なので、気軽に楽しめますよ。」
さすが、J●Bカード。成田空港でティッシュくれるだけがサービスじゃなかったのね。
夜9時のキックオフにあわせ、それまでは七宝(チーパオ)など、上海郊外の水郷スポットをふらふらし、予約を入れたお店に8時半ごろ到着した。
「予約した者ですが、、、」
「お待ちしておりました。どうぞ」 迎えたマネージャーはスーツ姿でキメている。あれれ、気軽な店ではなかったの? この店の雰囲気といったら西麻布や青山あたりにありそうな小洒落た創作料理って感じである
差し出されたメニューはいきなり400元(約6,000円)のコース料理!ちうごくでは一食10~40元で済ませてきたから(それでも十分まともな食事にありつけるのが中国)腰が抜けそうになってしまった。
「これなんかお勧めですよ」と高額な刺身料理を薦める店員。しまった。上海セレブには「気軽」な店でも、プロレタリアートのオイラには「最上級」の店じゃないか! とはいえ店を立ち去るわけにもいかない。
一番安い豆腐サラダと二番めに安い手羽先とウーロン茶(一杯30元もする!)を頼む。うっひゃー!
たしかに店内では大型スクリーンでオリンピックの日本の野球の試合を流していた。でもそれは環境ビデオとして音声抜きで、店の雰囲気づくりのために流している。スクリーンを熱心に見ている客は誰もいない。
客の大半は身奇麗ななりをした地元の上海人か、日本人駐在員だ。アディダスの青シャツに半ズボンとラフないでたちの僕は完全に浮いている。
そうこうしているうちに9時になった。さあサッカーだろうとスクリーンを見るが野球中継のままだ。おかしい!今日の女子サッカーは、地元中国が出る対日本戦だぞ!それをCCTV(中国中央電子台)が中継しないわけがない。恐る恐る店員に聞いてみると、
「うちのお店、中国のTVは映らないの、NHKの衛星だけね」
がーん!なんと人民国にいながらCCTVが見られないのである! 店員もこちらの意図を察知したのだろうか? あるいわ、店の階級に会わない下層民を排除したかったのか?
「そろそろシメのお茶漬けでもどうですか?」
結局、居心地の悪いまま200元近い大金を払った。「気軽なお店」は僕にとって全然気軽ではなかった。階級闘争に対する全面的な敗北感を感じ、店を出た。時刻は夜10時前。そうだこの近くにバーがあったけ、そこに行けばまだ後半戦が見られる!
西洋人客が多いこの辺りのバーではバスケットの中継が多く、女子サッカーを流しているバーはなかなか見つからなかった。やっとその一軒を見つけ、なんとか後半のキックオフに間に合う。おお1‐0で勝っているではないか。行け!なでしこ~。
試合は鋭い出足で日本が中国を圧倒していた。後半35分、長里選手の2点目が決まる。僕はアウェイの地にも関わらず思わず大声で歓声をあげてしまった。
「ヤッター!!」
地元従業員の冷たい視線が僕に集中した。
もしこのバーの客に西洋人が多くなかったら、今頃無事に帰国できていたかは定かでなかった。
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最終更新:2013年02月12日 19:53