【奥林匹克・足球観戦記@人民国】
第5話)民主主義

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いよいよ日本vsオランダ戦の日を迎えた。スタジアム前の警備は前日にも増してものものしい。武装警察の隊列が会場周辺を行進する。うわ、装甲車だ。オリンピックって軍事マニアにはこたえられないイベントじゃん。

スタジアム前の装甲車

無論今日もチケットは持っていない。でも、もしかしたらスタジアムの売り場で少しは残っているかもしれない。ゲート南口の奥にチケットセンターを見つけ、そこに入って行こうとしたら、ボランティアに阻止された。

 ボランティア: 「ここから先はチケットがないと入れません。」

なぜチケット売り場の外側にチェックポイントを設ける。当日券買えないじゃんか!

 僕 : 「チケットセンターに行きたいのです。」
 ボランティア: 「オフィシャルチケットは売り切れです。プライベートで買ってください。」

 僕 : 「プライベート?」
 ボランティア: 「あそこに居ますよ」

大会公式ボランティアは堂々とダフ屋を指さした。こ、こんなことでいいのか中国!

そもそも今回のチケット販売システムは多いに憤ることが多い。基本的にチケットの8割が中国在住者向けに販売され、残りは海外のツアー客にしか販売されない。つまり海外の個人ツーリストが購入するシステムが初めからほぼ0なのだ(申し訳程度の例外はあったが、、、)。

要するにチケットは人民が楽しむために販売され、外国人はオマケで楽しめば、ってスタンスなのだ。

ともかく定価150元のA席を200元也で"プライベートに"ゲットし、スタジアムに入った。さすがにオリンピック、スタジアムは超満員である。青シャツの日本人サポーターは少数派で、主流はオレンジのシャツを着た人民国のオランダサポーターだ(抗日サポーターと言うべきか)。

瀋陽スタジアム
瀋陽スタジアム

僕が"プライベートに"手に入れた席は最前列の特上席だった。だが、回りは人民だらけで、青シャツは僕一人。この試合、日本が勝ったら僕はタダでは済まされないかしれない。

あ。両国選手の登場だ。「よく聞け人民!オイラは両チームと同じ飛行機に乗って来たんだぞ」と自慢したいのだが、そんな話を聞く相手もなく、そもそもよく考えればそんことが自慢になるかも怪しい。

今日のオランダの出来は悪い。勝たねばならない試合だった。だが日本代表は不可解なPKを取られ、幸か不幸か、僕の運命はタダで済まされることで済んでしまった。

虚無感、、、

試合後、天津で知り合ったKさんと再び落ち合って、トボトボとスタジアムを後にする。オランダの勝利に大喜びの人民たちは満足そうであった。

南口ゲートから出口を見ろした瞬間仰天した! 出口前の広場は帰路につくヒト・ヒト・ヒト、いや人民人民人民で埋め尽くされていた。

人民人民人民

いったいこのオリンピック、中国人民のためにチケットが売られ、第3国の試合ですら、中国人民が楽しんでいる。

僕は人民の海を前にKさんにつぶやいた。

 「これほど民主的なオリンピックってないよね?」

 「どうして?」

 「だって『人民の、人民による、人民のための、オリンピック』だったじゃない」

Kさんは小さく苦笑した。

(続く)


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最終更新:2013年02月12日 19:53