桐朋高校の合格者はほとんど桐朋高校に進学しない-高校受験事情

 

桐朋高校の合格者は

 

 ほとんど桐朋高校に進学しない!?

 入試データから読み取れる桐朋高校の入試事情・・・合格者の4人に1人しか進学せず(2010年4月 広報部)


 Q.桐朋高校の入試状況を見たら、定員が50名なのに合格者を170名以上も出していますが、これはどういうことでしょうか?実際は定員以上の人数が桐朋に高校から入学しているのですか?(中3男子)


A.おもしろいところに気がつきましたね。最近の桐朋高校(東京都国立市)の入試状況をちょっと見てみましょう。

2009年 募集50名 受験219名 合格171名 倍率1.28
2008年 募集40名 受験260名 合格143名 倍率1.82
2007年 募集40名 受験207名 合格128名 倍率1.62
2006年 募集40名 受験194名 合格126名 倍率1.54
2005年 募集40名 受験253名 合格108名 倍率2.34
2004年 募集40名 受験224名 合格118名 倍率1.90
2003年 募集50名 受験178名  合格99名 倍率1.80

見てわかるように、桐朋高校は毎年、募集人数よりも多めに合格者を出しています。なぜかというと、桐朋高校に合格した受験生が全員入学するわけではないからです。桐朋高校に合格しても、別の高校が第一志望で、その高校に合格したら、桐朋高校の合格は辞退します。ですから、高校側があらかじめ合格者を多めに出すのです。

この入試状況の表を見ると、あることに気がつきます。何かわかりますか?桐朋高校の合格者人数が毎年増えているという点です。これは何を意味するのかというと、桐朋高校に合格しても、桐朋高校よりも行きたい高校があるので、辞退する受験生が増えていることを意味します。もっとはっきり言ってしまえば、桐朋高校の魅力が落ちている、人気が下がってきているということです。

桐朋高校の人気が下がってきた一番の原因は、都立高校人気です。桐朋高校と西高校や国立高校といった都立の有名校と比べた場合、都立有名校のほうが魅力だと感じる受験生がほとんどなのが現状です。最近では、国分寺高校や立川高校といった都立2番手校にも相当数蹴られているようです。


桐朋高校の人気低下の他の原因は以下のようなものです。

◎浪人率が極めて高い

→桐朋高校は4年制高校と揶揄(やゆ)されることがあります。どういうことかというと、普通の高校は3年間で卒業だけれど、桐朋高校は浪人するから4年制というわけです。もちろん浪人はどの高校でも一定数いますが、桐朋の場合はそれが突出していることに特徴があります。2009年度の現役進学率は44%で、卒業後の半数以上が浪人で予備校という進路になります。お隣の都立国立高校が現役進学率70%ですから、相当な差があります。保護者や受験生としては、高い高校の授業料に加えて、卒業後の莫大な予備校費用まで負担するのは大変です。

◎大学受験にあまり熱心でない
→桐朋は校風が自由放任と言われています。自由で気ままなのですが、大学受験の指導があまりないため、結果として大学受験は予備校に依存せざるを得ない状況です。近くの予備校は高1から通う桐朋生で溢れているのにはそんな理由があります。

◎大学合格実績が都立トップ校の圧勝
→桐朋高校の高校入学組の大学合格実績は、いわゆる都立のトップ校(日比谷・西・国立)にはまったく及ばず、立川高校や国分寺高校などの都立2番手校と同じくらいといわれています。なぜかというと、桐朋高校からの東大合格者は、ほぼ全員が中学入試から入った中高一貫生だからです。
東大に限らず、医学部やその他有名国立大もみんな同様の傾向です。そもそも、高校入試では都立西高校や都立国立高校の残念組の入学が中心なので、高校入学組の実績が良くないのは当然かもしれません。高校入学組だけを抽出すると、都立国立高校にはまったく敵いません。

◎中高一貫校であること
→高校受験から高校に入学する場合、中高一貫教育を行っている学校に高校から入学するのと、高校単独校のどちらのほうが良いかといえば、絶対に後者の高校単独校です。ましてや高校からの入学者の少ない学校の場合、なおさらです。
桐朋高校は内部生280名に対して高校入学者はわずか50名。これでは、充実した高校生活が送れるとは言えません。桐朋に限らず、中高一貫校の高校入学者で学校生活の不満が全体的に高いのも気になります。高校単独校のほうが、充実した学校生活が送れるのですから、桐朋高校の入学希望者が減るのは必然でしょう。

 

◎桐朋高校の大学合格実績の大幅な低下

→桐朋高校の2010年度の大学進学実績は、過去最低を記録していて、過去最悪であった08年をも下回っています。全盛期の東大合格者の3分の1以下にまで落ちてきています。桐朋高校の大学合格実績を支えているのは、中学入試から入学する中高一貫生ですが、中学入試においての偏差値が急落しています。2010年の桐朋中学校の偏差値は57にまで下がりました。ここ5年間で4~5ほどの下落です。高校入試で優秀層が都立トップ校に抜けることや、中学入試でも学力上位層が年々抜けていることを踏まえると、今後もさらに大学進学実績において低迷することが避けられられないでしょう。偏差値的には、いっきに東大合格者数が1桁にまで下がる可能性もあります。もっとも、大学合格実績など関係ないという受検者層もいます。

 

◎中高一貫生の保護者と高入生の保護者は仲良くならない!?

→「学校図鑑」という中学受験生向けのサイトに、桐朋中学校についてこんな記述がありました。「高校から入ると中学上がりの保護者と仲良くなる機会が少ない(引用)」詳しい事情は知らないのですが、やはり中高一貫生が大部分で、高校から入学する生徒はほんのわずかですから、かかわる機会が少ないということでしょう。せっかく入学したのにもったいない気がします。お隣の都立国立高校は、保護者の活動も非常に強いことで有名で、PTA主催の旅行があったり、国高祭にはほとんどの保護者が見学に来て、ある方いわく「国高祭ほど保護者がたくさん訪れる文化祭は見たことがない」そうです。

 

◎その他の問題

外部サイトのこちらをご覧ください。こうした問題が騒がれたことも、人気低迷の一因かもしれません。

 

最終更新:2010年05月09日 17:42