『セガガガ』超ロングインタビュー
ゾルゲール哲 氏 vs 電撃オンライン編集部

 プレイヤーはセガの経営者となって、与えられた三年の間にシェア100%、つまりゲーム業界制覇を目指すというトンデモないゲーム『セガガガ』。このゲームが、2001年5月31日に店鋪販売を開始したことを記念して、電撃オンラインでは開発者にインタビュー取材を敢行いたしました! この、ぶっとんだコンセプトのゲームが生まれるまでの経緯や、開発中のアブナイ裏話を完全掲載しちゃいます! 長文注意!!

【ゾルゲール哲氏】
 『セガガガ』の生みの親。企画は当然のこと、キャラなどのイラスト製作からプロデュースまで、トータルに開発に参加。この人がいなければ、『セガガガ』が生まれなかったといっても過言ではない。ちなみに余談ではあるが、本作の広告費は、氏が着用している特製マスク(3万円)のみとの話。

代表作:『ドラゴンボールV.R.V.S』

●涙! 『セガガガ』はこうして誕生した!

――発売からかなり時間が経ってはいますけれど、まずはあいさつとして…、開発おつかれさまでした! 開発中のイヤなコトなんかもそろそろ忘れてきた頃だとは思いますが、開発中のコトをいろいろとほじくりかえさせていただきますので、よろしくお願いいたしますね。では、さっそく月並みな質問かもしれませんが、開発に着手されたのはいつ頃からだったのでしょうか?

ゾルゲール哲(以下ゾル):最初に企画があがったのが、1999年のお正月。それでプレゼン(会議での発表)をしたのが、その年の1月中旬かな。そのときのプレゼンでは、いっしょに『スペースチャンネル5』なんかもやってましたよ。社長がまだ中山さんの頃ですね。プレゼンの評判はすごくよくて、人気は高かったんですけど、企画が企画だけに誰も本気にしてくれなかったようで…。プレゼンが終わったら、みんなゾロゾロ帰っちゃうんですよ、何事もなく。ですから、「この企画はマジなんです」って認識させるべく、もう1回プレゼンをやりました(笑)。そんなこんなで、実際に開発がはじまったのは1999年の秋ですね。いろいろありましたよ…。

――ゲームのコンセプトからして反響がかなりありそうなのは、よくわかりますが…。具体的にはどんなカンジだったんですか、その反響というのは?

ゾル:ゲーム中のオープニングと雰囲気的に同じようなモノをビデオで作って、プレゼンで流したんですけど、コレが馬鹿ウケで! みんな「オッケ~オッケ~」ってカンジで、ウケは最高でした(笑)。とはいえ、誰もこれが本気だとは思っていなかったみたいで。だから、オレはプレゼンの席でウケを取りにいったようなもので、「企画を通す」という本来の目的とはまったく違った方向での反響がありました。「おもしろい! おもしろい! じゃあね~」って言って、みんなそのまま帰っちゃった。よかったんだか悪かったんだか。最初にビデオを見せられて、本気の企画だと信じてくれる人は、あんまりいなかったですね。

――プレゼンが同時期だった『スペースチャンネル5』なんかは、もうかなり前に発売されてますよね。そう考えると、開発がかなり遅れたようで…。それにしても、"ドリームキャストの生産中止"などのセガの一連の出来事と、『セガガガ』発売の時期ってのが、いろんな意味ですごく合っていましたけど、もしかして何か狙ったトコロがあったりのです? なんて勘ぐりたくなりますけど。

ゾル:当初は、2000年の秋頃には発売できるかな、というペースで開発を進めてたんですけどね。出来上がったモノを会社に持っていって「出来ました! こんなカンジです」って見せたら、みんなが真っ青になって…。それからまた紆余曲折があって、スケジュールが順調に遅れていきました(笑)。発売日を2001年3月29日に決めてくれたのは、ヒットメーカー広報の笹原くんです(※1)。最初は「なんでそんな時期に売るんだよ」って意見も出たけど、みるみるうちに会社(セガ)が傾いていってねぇ。まるで『セガガガ』の発売日に合わせたように…(苦笑)。え~、まとめますと、特に狙ってやったというワケではなく、開発中にいろいろな問題が起こったり、事態が変な方向に転んだりする度に、『セガガガ』が何かしらウマイ目を見る! そんな不思議な運命の巡り合わせがあって、これはすべて仏様のお導きかな、と。信仰の毎日でございます(笑)。
※1 発売日が決まった理由
 まず、D-Direct専売ということで、受注期間をきちんと取る必要があったんですよ。あとは初回限定版を作ろうという話がありまして、ユ-ザ-に納得してもらえるクオリティの高いモノをちゃんと作るには、どれぐらい時間がかかるかを計算し、それを踏まえた上で発売日を考えたら、あのタイミングになりました。(ヒットメーカー 広報企画室室長/笹原拓氏)

● 涙! 『セガガガ』はこんなコンセプトで作られた!

――『セガガガ』は、セガを立て直そうというぶっとんだ設定のゲームですが、最初からこういう設定のゲームを作るつもりだったんですか?

ゾル:不思議なことでねぇ。企画書に書いたコト100%そのままが、なぜかできてしまったという。…今でも「よく途中で止まらなかったなぁ」と思っていますね(笑)。

――これもやっぱり仏様の御加護なのでしょうかね(笑)。そもそも、こういう設定にしようと思われたきっかけは何だったのですか?

ゾル:何か1つのアイデアがあって、そのアイデアを具現化するべくお金や人などの工面をつけて作りましょうっていうのが、そもそものゲームの作り方だったんですけど、最近ではそういう作り方が成立しにくいんですよね。本当にそのアイデアがゲーム化するに値するモノなのか、という検討の基準のハードルがすごく高くなってしまって。作りようがないんです。そこで、GOサインを出させるためには、相当の変化球を投げる必要があるだろうと考えまして、こういうインパクトのあるコンセプトのゲームを作ろうと思ったわけです。

――コンセプト自体は変化球かもしれませんが、ゲームにまつわる業界を包み隠さず、ストレートに表現しているあたりはある意味、直球といえますよね。

ゾル:こんなゲームを作っているわけで、開発現場ではいろんなトコロから冷たい視線をいつも感じてましたから…。これでテキトーなことやったら許されないでしょ。会社とか上司とかじゃなくて、身の回りの親しい人に「おいおいテキトーなモノつくってんじゃねーよ、なに半端なことやってるんだ! このヤロー」って言われちゃうので。こういったゲームを作りましたけれど、オレはもちろんオレの周りにいる人たちにとっては、飯のタネじゃないですか。飯のタネをセルフパロディという形で人前に出す、それは決して茶化していいことじゃないと思ったんで、企画自体は変化球でもいいけど、実際にその変化球で語ることは、変に細工せずに直球でいこうというところはありましたね。でも、これがもしも最後まで茶化したモノだったら、プレイヤーのみなさんは画面にコントローラぶつけてますよ(笑)。まあ、ある意味賭けではあったんです。これだけ全部茶化しておいて、でも最後にグルっとひっくり返って、ちょっとでもマシな結論が出せないかな、みたいな。そういった意味では、最終的に変化球の中でも語るべき部分は直球になってますし、結論もうまくまとまったのでは? と思っていますので、自分では満足していますね。

――うーんとても深い。深すぎます! ゾルゲールさんカッコイイっす! 感動しました! さて、「企画自体は変化球だ」というお話ですけど、「時が未来」という設定も変化球を投げやすくするためでしょうか? 実際の年代、2001年とかの方が感情移入しやすく、すんなりゲームの世界に入れていいように思えたんですけど…。なにか2025年じゃなきゃいけない理由があったのかなぁ、と。

ゾル:2001年とかだと「これは誰それのことを批判しているんじゃないの?」と、言われる可能性があったので、関係者がみんないなくなっているであろう年代に設定して、「これは未来のお話です」と言い訳しようと思っていたので…。25年も経っていれば、ひょっとするとセガもないかもしれない、それならいいだろうって思いで(笑)、2025年にしました。やっぱり2001年のセガを舞台にしちゃうと、現実っぽくなっちゃうんですよね。そういった現実のドロドロしたところをあんまり見せたくなかったから、アニメにしたり工夫したんですけど、それでもかばいきれないだろうと…。うっかりすると、感動はできるけどベタなモノになってしまうか、ふざけたモノにしかならないと思ったので、ほどよい風化作用として、25年ぐらい経っていればいいんじゃないか、と。とはいえ年代については、ちょっといいかげんで、実は途中までは2015年だったですけど(笑)。

――え?

ゾル:ステータス画面に表示したときに、1だと少し幅が狭かったので、2にした方がいいだろうというごくくだらない理由で、2015年から2025年に変更しました(笑)。

――がははは(笑)。あ、今の笑い声で思い出したんですけど、この『セガガガ』というタイトルって、いったいどんな意味があるんですか? このタイトルを初めて聞いた時、正直な話「インパクトがある変な名前」って思ったんですけど、どうしてこういうタイトルをつけられたんです? 実はこの4文字にすごい秘密が隠されていたりします?

ゾル:実はキーをうっていたら、多く打っちゃって…もちろんウソですよ(笑)。まあ、いろいろ理由はあって、開発中には『セガつく』でもいいんじゃない? みたいな話があったんですが、それだと別の会社(スマイルビット)さんの作品になっちゃう。やっぱりセガが題材であること、あと名前の語感として、すごく変なことをやっているという雰囲気があって、しかもあわよくば壮大なイメージが出たりせんかなと…。

――欲張り~。

ゾル:はっきりしたことはもう覚えてないんですけど、企画段階の一番最初のイメージノートとかを読み返してみると、『セガセガ』とか『セガガガ』とか書いてあったので、たぶんこの辺の言葉が変なふうに脳細胞につながって『セガガガ』ってタイトルになったんじゃないかと思います。特に秘密は隠されていませんが、企画書に書いてあった言葉が、そのままタイトルになったという意味では珍しい例ですね。

●涙! ある意味セガじゃなければできないゲームだった!

――『ファンタシースター』とか、『ゴールデンアックス』とか、ゲーム中では、歴代のセガハードのゲームが実際に開発できますよね。ファンにとってはかなりうれしい演出なんですけど、開発できるゲームをセガの往年の作品にしようというのも、当初から考えられていたアイデアで?

ゾル:それはちょっと微妙でしたね。オレはマニアなんですけども、一般的なユーザーが、こういったことを喜んでくれるかだろうかって、迷っている時期がありました。ただ、"ゲームを作るゲーム"っていうのは、『セガガガ』が初めてじゃなく、過去に何本かあるんですけど、すごく苦労してシミュレーションをやって、見たことも聞いたこともないゲームができても、思い入れないから、あんまりうれしくないんですよね。でも、『スペースハリアー(※2)』ができました! ってなると、やっぱりグッとくるでしょ?
※2 スペースハリアー
 1985年にセガがアーケードで発表された3Dシューティング。大型稼動匡体として話題を呼んだ作品で、Mark3、セガサターンなどの歴代のセガハードに移植されている。鈴木裕氏が手掛けたことでも有名で、ドリームキャストの『シェンムー』にも収録されており、遊ぶことができる。

――やっぱり実名の方がウレシイですよね、ファンにとっては。

ゾル:で、オリジナルをいくつか入れようと思いまして。編集デザインという部署に歴代ゲームのパッケージが保管されているという話を聞いて、行ってみたんです。すると、誰も見たこともないようなピッカピカの「MarkIII(※3)の」ソフトのパッケージがズラーと並んでいるのを見た途端、「これは何が何でも絶対入れるだろッ!」ってことになって(笑)。
※3 MarkIII(マークスリー)
 SG-1000、SC-3000の次に発売されたセガの3台目のハード。周辺機器で拡張可能だったFM音源を内蔵した、マスターシステムもある。ちなみに海外のみで発売された、マスターシステム2というモノも存在する。

――(笑)マニア魂に火がついたんですね。

ゾル:当時、まだゲームが形になってなかったにも関わらず、毎日編集デザインに行って、部屋の端っこでガッコンガッコンとパッケージをスキャンしてました。たぶん、あれは絶対、怪しい人間だと思われてましたね(笑)。

――ゲームでは「SGー1000(※4)」とかの作品も開発できますよね。それを考えると、かなり古い作品のパッケージも残っているようですね。

ゾル:そうですね。でも、ホントはSGのソフトをもっと入れたかったんですが、さすがにもうほとんど処分しちゃったということだったんで…。そんなわけで、開発できるゲームは、Mark3以降のソフトが多くなっちゃってます。まあ、SG用のソフトでも個人的な思い入れの強い『占いエンジェル キューティー』なんかは、どうしても絶対に入れたっかったので、無理矢理入れましたがね…。
※4 SG-1000
 セガが家庭用として発売した、初のコンシューマゲームマシン。デザインの 変更と付属品が追加されたSG-1000II。パソコンとして使用可能なキーボード一体型のSC-3000もある。

――そう言えば『セガガガ』で最初に作ったゲームが、『占いエンジェル キューティ』でした(笑)。

ゾル:あれはオレの心の中のハズレソフトのナンバー1だったので、最初に仲間になるディレクターが一番最初に作るようにしました。なので、何も知らずにプレイすると、『占いエンジェル キューティー』を作るようになってます(笑)。

――そういうカラクリだったのか…。そうそう、開発と言えば、キーワードから開発できるソフトを想像するのが楽しいですよね。思わぬソフトができたりして…。

ゾル:キーワードを考えたのは、あまりセガの古いゲームを知らない人で…。単なる印象だけで考えているから、ああいうキーワードが出てくるんですよ。あれ、ゲームを知ってる人が考えていたら、もろヒントになっちゃって、つまらなかったでしょうね。

――でも、すごいですよね。どんなソフトでも開発の仕方次第で150万とか売れちゃいますから。

ゾル:そのヌルさがいいですね。「ゲーム業界の夢をもう1度!」みたいなカンジで。なんかユーザーの人で『占いエンジェル』をテレビアニメ化して、137万本売ったって人がいましたし(笑)。実は開発当初「どうせゲームなんだから、何作っても10万本いっちゃおうぜ!」ってことで、100万本なんかも当たり前だったんです。でも、それだとゲーム性が維持できなくて。逆に1万本っていう設定だと、現実のソフトの売り上げみたいで。この前某誌の売り上げランキングを見たら、『リボルト(※5)』471本とか書いてあって…むーん。で、結果的に夢いっぱいの数字にしてしまいました(笑)。
※5 リボルト
 2000年の夏に発売された、ラジコンカーを題材にしたレースゲーム。 価格は3,800円。

――開発できるソフトって、かなりたくさんの数ありますが、よく考えてみると、基本的にセガのゲームなんですよね。

ゾル:基本的にはセガの作品です。でも、スキャニングしていて思ったんですけど、ホントにソフトの数はすごいですよね。ナムコさんなんかでもあんなにいっぱい持ってないんじゃないですか。あれだけザクザクとソフトを資産として持っているのは、セガしかあり得ないと考えると、「やるじゃん!セガ」と思いましたね。

――ソフトの数の面だけじゃなく、それ以外の部分でも、やはりセガだからこそ出来たってのはあるかなという気がするんですが。

ゾル:そうですね。正気とは思えませんものね(笑)。こういうコンセプトのゲームを出してしまうこと自体…。

――冷静に考えて、他のハードメーカーさんがこういうゲームが作れるかっていうと難しいですよね。

ゾル:1つすごくがんばってるのがあって、ジャレコさん(現パシフィック・センチュリー・サイバーワークス・ジャパン)の『ゲーム天国(※6)』。オレはすごくマニアだから、"ポニーチェンジャー"っていうのは、ちゃんとグっとわかるんだけどねぇ。普通のユーザーは「誰もわかんねぇだろうな…」って。その点、セガはいいなぁと思いましたね。「R-720(※7)」っていうのに、みんながピンと反応してくれますから(笑)。
※6 ゲーム天国
『エクセリオン』『プラスアルファ』『モモコ120%』などの歴代のジャレコ作品のキャラクターが登場するSTG。もとはアーケードの作品だが、セガサターンやプレイステーション(一部システムを変更)にも移植されている。ちなみにポニーチェンジャーというのは、ジャレコが製作した両替機のことで、ゲームではボスとして登場している。
※7 R-720
『セガガガ』の中で登場する架空の大型ゲーム匡体の名前。現実にR-360という大形ゲーム匡体があり、それをパロッている。

●涙! 往年のキャラクターはこうして登場した!

――アレックスキッド(※8)が出てくるのには、ビックリしましたね。なにせメガドライブの『天空魔城』以来ですから…。

ゾル:昔のセガのイメージキャラクター、アレックスキッドは絶対入れたかったのでね(笑)。現在のイメージキャラクターは「ソニック」なんですけど、オレにとっては今でもアレックスキッドっていう気もするんです。すげぇ一生懸命がんばってるんだけど、明らかに方向性が間違っていて、「これからはこのキャラで、世界を目指します! ちなみに好物はおにぎりです」。世界を目指しているくせに、「おにぎり」なんて日本人にしかわかんない食べ物を堂々と謳っている(笑)。不思議なローカルさがありますよね。おまけに会社でバックアップしていたもんだから、作品は6本あるんですよ。しかも最初は主演だったのに、版権問題でこじれたゲームの、主人公の代役として入るようになって…。
※8 アレックスキッド
 本名はアレックスキッド・オサール。『セガガガ』の中では、ゲーム屋の店長だが、各主演作品(下記参照)では明るく勇敢な王子として、国の平和のために戦っていた。ソニック以前のセガのマスコットキャラクターで、グッズなども販売されており、走るカンペンケースはマニア垂涎のグッズ。

主演作品
●アレックスキッドのミラクルワールド(MarkIII)
●アレックスキッド ザ ロストスターズ(MarkIII)
●BMXトライアル アレクッスキッド (MarkIII)
●アレックスキッド イン シノビワールド(マスターシステム 海外版のみ)
●アレックスキッド イン ハイテクワールド(マスターシステム 海外版のみ)
●アレックスキッド 天空魔城(メガドライブ)

――…そんな悲しい過去があったんですね…なんかしんみりしちゃいましたね。えー。話題を変えて…。もちろんソニックも登場していますよね!

ゾル:中裕ニさんに直談判したら、「使っていいよ」と。こういう企画が通ったからには、イメージキャラクターがアレックスキッドからソニックに至った経緯を押さえないと。しかも、そこにドラマがないとイカンだろうってことで、ゲームではああいう形にしました。

――アレックスキッドが38歳にはショックでした…。

ゾル:オレも計算してみたら、すごいショックで。「うわ~っ、あらビックリ」といったカンジでしたね。そう言えば、ゲーム中には声が入ってるじゃないですか、アフレコする時に絵がなくて、「38歳なんですけど、かわいい男の子なんです」って説明したら、すごく声優さんが困ってしまって。最終的に「運の悪いピーターパンみたいな声」でと、お願いしたんですけど、なんか『サクラ大戦3』のロベリアのしゃべり方にソックリらしくてね。意外なところでロベリアがしゃべってるって、ウワサになってるみたいですよ。でも、そういう反響からわかったんですけど、意外とアレックスキッドのことを知っている人が多かったですね。「まったく知らない、これ誰だ」とか言われたら――まあ、少しは言われたんですけど(笑)――、どうしようかと思っていただけに、かなりたくさんの人がわかってくれて、うれしかったですね。

――またアレックスキッドの話に戻ってしまいましたが…、アレックスキッドと言えば、『ミラクルワールド』が頭に浮かぶんですけど、今考えると、すごいゲームでしたよね。

ゾル:(『アレックスキッド ミラクルワールド』のソフトを手にとって)セガならではの負けん気がこもっている作品ですよね。「マリオのマネじゃない。うちはボタン配置が逆だ」とか、最悪のオリジナリティを発揮していて…(笑)。あと、苦労してステージの最後までたどりついくと、ボスとジャンケンで勝負するんだけど、これがイベントじゃなくて、負けると死んじゃうですよ。これが不評だったので、続編の『天空魔城』では、相手の手のうちが見えるアイテムが新たに追加されたんだけど、かえってわかりづらくて負けちゃう(笑)。おもしろいゲームだけど、なんかすごいよね。

――あと「アソビン教授(※9)」も出てきますね。あれなんか、かなりマニアックなので、知ってる人もかなり限られてくると思うんですけど、反響はありましたか?

ゾル:ごく一部からのごく小さな声だったんですけど、手応えはすごかったです。「オレは間違ってなかったんだ」って実感しましたねオリジナルのイラストが残ってなくて、説明書からわざわざスキャニングして、色をペタペタ塗って作った甲斐がありました。ちなみに「ゲームズ博士(※10)」も出したかったんですけどね。まぁ、この辺りのキャラがわかってくれるユーザーがいるっていうのは、やっぱりセガならではだと思いましたね。
※9 アソビン教授
 セガ・ゴールドカードリッジの説明書に登場する謎のウサギ。ゲームの攻略法を教えてくれるのだが、「敵はうまく倒そう」といったように、全体的にアバウトで役に立たない。
※10 ゲームズ博士
 SGー1000、SCー3000用の説明書に登場する謎の博士。アソビン教授同様、わかりきったゲームの攻略法を伝授してくれる。



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年09月04日 16:03