125 :スキだって初めて言ってもらえた:2009/08/27(木) 22:37:01 ID:wTFpAOX1
>>119見て鼻血出て、ついでに脳汁も出たようです。

短いけど投下
かじゅモモ。エロなしヤマなしイミなしオチなし
時間軸未設定。大会後だといいなぁ


 世界が夕焼け色に染まる放課後。
 鶴賀学園麻雀部が使っている教室。
 加治木ゆみは荷物を待てめていた。
 シンとした教室はどこか物淋しい。

 ゆみは提出物の関係で職員室に用事があったので少し席を外していた。
 その間に蒲原たち他の部員は先に帰ってしまったらしい。
 机の上に『鍵〆よろしくv *><*』の置きメモ。
 筆跡はたぶん蒲原だ。

 こういうのは部長が閉めるものだろうに。
 嫌なわけではないが、一人残されるというのは意外と寂しいものらしい。
 日暮れ前の学校は人の気も絶えて、静かすぎるくらい静かだ。
 ……少しセンチメンタルになっているのかもしれない。

 ……そう言えば、モモは?
 帰ってしまったのだろうか?
 ゆみが職員室に行く前には、ソファの上で寝ていたはず。
 今はソファの上はもぬけの殻だ。

 いつも二人で帰っているのに。
「帰ってしまったのか?」
 そんなはずはない、と思って声に出してみたが、返事はなかった。
 空しく響いた自分の声が廊下に反響する。
 思わず口をつぐんだ。

 日の沈みが早い。
 どんどん教室が陰に包まれていく。
 沈黙が痛い。
「……帰って、しまったのか」
 別になんの事はないはずなのに、胸が痛い。
 声を出すのが苦しい。
 でも声を出さないと自分が闇に飲まれてしまいそうになる。
 孤独に潰されそうになる。
 ――と。





「ここっす」
 後ろから抱きしめられた。


「モモ?」
「…………」
 ぎゅう。
 モモの腕に強く力が入る。
 抱きしめられる方は少し苦しいくらい。
 だけどその腕から、微かに震えてるのが伝わってきた。

「……どうした?」
 なぜか分からないけど、モモが怖がっている……泣いている?
 ゆみはできるだけ優しい声で聞いた。

「……気づいたら誰もいなくて、怖かったっす」
 小さな声に込められた非難の色。
「……」
「こわい……ゆめを、見たっす」

 誰もいなくなる夢。
 影が薄い自分は、もしいなくなっても誰にも気づいてもらえないんじゃないか。
 私がいなくても、誰も気づかないんじゃないか。
 知らぬ間に置いて行かれてしまうかもしれない。
 昔は毎日のように見ていた。
 最近は見ていなかったのに。


「目が覚めたら……誰もいなくて……先輩もいなくて……、」
「……」
「夢が怖くて……目が覚めて……一番に先輩を探したのに……」
「……」
「先輩が、いてくれたら……怖くなくなるのに……」
「……」
「いらなくなっちゃったのかなって、私」
「……」
「ほしいって言ってくれたのに……捨てられちゃったのかなって……私……」
「……」
「ずっと一緒にいろって……、言ってくれたのは先輩の方なのに……」
「……」
「わたし……ひとり、で…………」


「ああ……すまん」
 ぐすりと鼻をすするモモを逆に抱きしめる。
 震える体を、小さな頭を撫でる。
「…………許さないっす」
「うん」
「……ほんとに許さないっす」
「うん」
ずっと頭を撫でる

「すまん」
「……謝っても、ぜったい、絶対許してあげないっす」
「どうしたら、許してくれるんだ」
「………………キス、してくれたら、許してあげてもいいっすよ?」


 ――。
 硬直。思考。無問題。決定。
 躊躇はなく、かつて脳内で何度となくシュミレートしたように身体を動かして……。
「え……?」
 ぽかんとしたモモの顔が近付く。

 ガチッ。
 歯と歯がぶつかった。
「痛っ」
「っ。……すまん」

 仕切り直しせず、半ば押し倒すようにまた顔を近づける。
 ガタン。
 モモの足が机にぶつかって音を立てる。
 バランスを崩して、モモが机の上に尻もちをつくような格好。
 そのまま重なった。

 唇を重ねるだけのキス。
 だけどとても長いキス。

「ん……」
「……ぅ」

 唇が離れる。
 モモの顔が離れていく。
 今まで繋がっていた唇が空気に当たり、妙に乾いた気がする。
 ぺろりと舌で湿らせると、モモの味がした。

 モモは顔が真っ赤だ。
 紅と朱で染め上げられた世界の中でなお赤い。
 自分もきっと赤くなってるんだろうな、と思う。

「これで、許してくれるか」


「……ずるいっす」

 真っ赤な顔がふてくされた顔に。

「ファーストキスだったのに」
「……? 私もだが」
「あああだからそうじゃなくてぇっ」

 頭を抱えてきりもみするモモ。
 ぜーはーぜーはー。

「……ファーストキスは! 好きな人とって! 決めてたんす!!」
「私もだが」

 がばっと顔を上げるモモ。

「じゃ、じゃぁ……」
「うん、好きだよ」
 モモ。
 自分の名前を呼ばれたのが信じられなかった。
 どうしようもなくて、世界が滲んだ。

「え」
「な、なんでもないっす……うぅ」
 ダメだ。涙が止まらない。
 先輩がまたきゅッて抱きしめてくれる。
 先輩の腕の中は温かい。
 普段ならそれが安心なのに、今は涙腺を加速させる。
「まだ、怖いか」
「ち、違うっす」
「では、どうした?」
「えっと……先輩から、スキ、って。言ってもらうの初めてだったから……すごく、嬉しくて」
「……」
「ごめんなさい。やっぱり怖いかもっす。……その、これが、まだ夢じゃないかなって」
「夢じゃない」
「だったら」


 夢じゃないって、証明してください。
 もう一度のキスで。


 ――二度目のキスは、さっきよりも長く、深かった。


以上ですorz

エロ入れようか最後まで迷ったけどとりあえずエロなしで。中途半端な脳汁でごめんなさい。
かじゅモモは素敵すぎる

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最終更新:2009年08月31日 17:23