食事療法の基本方針-規則正しい日常生活を送ることを基本に、きちんと自己管理を行うことが大切です-


慢性膵炎の食事


◆アルコールは厳禁

アルコールは膵臓に障害を与えますから厳重に禁止します.カフェイン飲料,香辛 料は膵液分泌を亢進させるので制限します.
タバコに含まれるニコチンが胃酸の分泌を高めて刺激を促すので、喫煙も控えるように心掛けましょう。

◆食事回数と1回の食事量に注意

1日3回規則正しく食事をとることを原則とします.胃酸分泌を促進しないように,1回 の食事量を多量にせず,3食均等とします.

◆炭水化物(糖質)中心の低脂肪食

基本的に食事は炭水化物(糖質)中心の低脂肪食とし、必要なカロリーは糖質で補うようにします.
たんぱく質は、脂肪の少ない魚、肉を選び牛乳、卵も症状を見ながらとりましょう。
料理をするにあたっては、揚げる・炒めるよりは、茹でる・煮る・蒸すといった調理法を選びましょう。
膵臓の炎症により消化酵素の生成、分泌が低下して食物の消化が悪くなるので、消化のよい食品を選びましょう。

◆膵臓病に適した一品料理

 かゆ.うどん.そうめん.トースト.ちり鍋.卵白茶碗蒸し.茶碗蒸し.湯豆腐.煮魚.刺身.塩焼き
 とりささみのスープ煮.炊き合わせ.ヨーグルト.ミルクセーキ.お浸し.おろし合え.茶巾絞り
 コンポート.フルーツゼリー.ドロップ.ウェハウス

急性膵炎の予後


◆脂質は急性期,回復期を通じて制限します

脂質は膵臓を大きく刺激し、膵液の分泌を促しますので、期間を通じて制限します。
内臓機能回復を促すために”良質の”たんぱく質を徐々に増やしていきます。脂肪の少ない魚、肉を選び牛乳、卵も症状を見ながらとりましょう。
脂質制限分は、膵臓に負担の少ない糖分で補っていきます。

症状の回復度合いを見ながら、流動食から三分粥~五分粥~七分粥~全粥と移行していきます。
味に変化をつけるために十分に煮たりゆでたりした消化の良いものを副食としてとります。

完治後は、油物を控え食べ過ぎないように量を控える他は特に制限は必要ありません。ただし、アルコールは厳禁です。

全摘術後の予後(糖尿病合併)


◆エネルギーを十分に確保し,低血糖を防止します

真性の糖尿病と異なり,まず十分なエネルギーを確保し,低血糖の防止が第一です.
糖質 280g以上,たんぱく質75g以上,脂質35g以上を目安に,1日のエネルギー1, 800kcal以上を目標とします。

◆むかつきや下痢を起こしたときは大量摂取や常用を避けます

植物油や乳化されたマーガリン,クリーム,マヨネーズなどから使い始めていきます.
脂っぽいフライ,てんぷら,うな ぎの浦焼きなど一度にたくさん食べるとむかついたり,下痢を起こしたりします。
牛乳, クリーム,チーズなどは個人差があり,場合によっては下痢を誘発することもありますの で,常時使用することは避け,献立の中で一つの素材として使用するのが無難でしょう。

◆たんばく質を白身魚や鶏ささ身肉に限らず,いろいろな動物性食品からとります。

たんぱく質は良質のたんぱく質を含む魚,肉類,卵などの動物性食品からとりましょう.
白身の魚,鶏ささ身肉だけに偏ることなく,多種類の魚,肉では牛肉も豚肉(いずれも, ヒレ,もも)も良好です。ただし,調理方法の工夫が必要で,蒸す,茄でる, 煮る,ムニエル,網焼きなどは食べやすい料理です.

◆生卵の使用を避けます

鶏卵はプロテインスコアが高く,少量でも栄養効果があります。ただし,生卵の使用は避けましょう。
豆類は皮に繊維が多く消化は悪いのですが,加工された豆腐,生揚げ、高野豆腐,油揚げ 、湯葉などは繊維がほとんどなく,消化のよい食品です。

◆硬い繊維や繊維の多い食品は避けましよう。

硬い繊維のものや繊維の多い食品は、かすが多く,腸の粘膜を刺激したり,また腸内細菌 によって発酵し,下痢を起こします。繊維を多く含む食品としては,いも類(とくにさつまいも),ごぼう,れんこん,たけの こなどの根菜類,ぜんまい,わらびなどの山菜,しいたけ,しめじなどのきのこ類,豆類 ,海藻類などです.甘いお菓子も腸内発酵をおこし、下痢の原因となります。




外部リンク


献立表


レシピ




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最終更新:2008年04月17日 08:10