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始皇帝陵シナリオ4-神武と楊汀

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hachu

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始皇帝陵シナリオ#4-神武と楊汀


槍スキルで有名な黒殺門の話です。
江湖七大門派が丁度SRO中国キャラの7種のスキル系列一つ一つに対応しているみたいです。
今回も固有名詞が多かったんですが、何故かみんな括弧書きで漢字が載ってたので翻訳楽でした。(楊汀とか炎火客とか)
炎火が普通だと塩化と訳されてしまうのでその辺が楽になりました。
そこでふと思ったんですが、64曲刀の塩化火焔神刀って炎火火焔神刀の間違いですよね。確かに火が2個並んでて字面が悪いとは思いますが。



白麗が現れる前、世間には親友同士である二人の青年がいた。
神武と楊汀という二人の青年は江湖で名を上げている黒殺門の弟子であり、年の若さにもかかわらず門外に敵なしの実力を持っていた。
周りの人々は彼らのうちどちらかが門主になると考えてお互い競争させるようにしていたが、幼ななじみだった彼らの友情は容易く崩れるものではなかった。その上神武は楊汀の妹月影の恋人であり、彼らは家族のようなものであった。
しかしそんな彼らにも違いがあった。それは出身の差である。
神武は巷で有名な居酒屋の息子であった。彼は幼い頃から何ひとつ不自由なく過ごし、賢さで周りの人々の人気を独占していた。黒殺門に入った理由もただ武術一つぐらいは学んで厳しい世間の中で身を守らなければならないという父の心配によって始めたのである。
一方、二卵性双生児として生まれた楊汀と月影兄妹は、生まれるとすぐに黒殺門の前に捨てられて夜露にうたれながら泣いていたところを、黒殺門食堂の女が見つけて拾ってきた子である。彼らは歩けるようになると食堂の仕事を手伝いながらつらい生活をしたが、孤児出身の彼らが生き残るには仕方が無かった。子供の頃から肩越しに黒殺門の修練を見て学び、それなりに実力をもった楊汀は、入門できる歳になるとすぐに試験に合格し、黒殺門の弟子になった。うんざりする食堂の仕事から脱して人間らしい暮らしができるようになった。
一人だけ食堂の仕事から抜け出した楊汀は、いつも月影にすまないと思っていたが、彼女はそんな楊汀に笑顔を見せ、自分は大丈夫だから修練に没頭するよう言い、怪我するほどにはがんばりすぎないよう逆に心配して見せた。

神武はまさに天才であった。彼は常人が一年かかる修練をひと月もせずに自分のものにし、師の奥深く複雑な術理もすぐに理解し、皆を驚かせた。しかし天性が怠け者であり、不自由なく暮らしていた彼はいつも修練をサボり、実力はそんなに早く成長しなかった。
神武のような天性の才能は無かった一方、楊汀はとても努力家であった。落伍するとまた食堂働きになるかもしれないという思いがいつも彼を悩ませ、一日でも門派の中で地位をあげ、月影を楽にさせようという考えが彼を少しも余裕を持たせなかった。楊汀は他人が寝る間も食事の時も時間を惜しんで修練をしていた。そんな彼の努力の結果同じ歳の子供よりも優れた実力を持ち、かれをますます輝かせた。

神武と楊汀が初めて出会ったのは毎年行われる黒殺門内部の武術大会であった。お互い違うクラスで修練をし、顔を見ることすらなかった彼らは、普通十歳を超えると出場できる少年部大会に八歳で他の少年を追い抜いて出場資格を得、二人は決勝にて対面することになる。
神武は負けず嫌いで相手を倒して決勝まで来て、楊汀は武術大会で優勝すると門派で認定を受けることができるので相手に勝って決勝に上ったのである。
二人の実力は五部であった。到底少年部大会では見られないような実力を見せて二人は対決したが、簡単には判定が出ず、半日後同時に疲れて倒れてしまった彼らの勝負は引き分けに終わる。
その後彼らは実力を認められて青年部へと移り、二人は同じクラスで生活をすることになった。
楊汀は初め神武が嫌いであった。怠け者でありながら天才であり、金持ちの息子なので不自由を知らずに暮らす彼の姿は楊汀には妬みと怒りの感情しかもっていなかった。
しかし性格が良くて誰かが自分を憎むことを嫌がる神武は楊汀と親しくなるために絶えず努力し、その結果二人の仲は進展していった。
そんなある日楊汀の服を取り揃えてやってきた月影の姿に神武は一目ぼれをする。
そのときから楊汀と親しくなるために最善の努力を尽くした神武は数年後、最高の親友と共に月影という美女と付き合うことにも成功する。

そんな親友同士であり実力をも取り揃えた二人の若者はある日黒殺門主に呼ばれる。
彼らを呼んだ黒殺門主は、最近江湖七大門派の一つ火霊宮が何者かによって襲われ、建物が燃えて多くの弟子が死に、門主と数人の長老のみが何とか生き残り滅門の危機に陥っており、黒殺門と火霊宮は長年のあいだ友人同士のように親しく過ごした門派であるので火霊宮の危機を見てみぬ振りはできず、現在黒殺門で一番実力の優れた二人のうち一人が弟子を連れて火霊宮を助けようと思うと話した。
その話を聞いて楊汀の頭には多くの考えが交錯した。もしも自分が火霊宮に行けば月影の面倒を見る人がいなくて心配であり、神武と自分のうち黒殺門に残る人が門主になる可能性が高いという考えに返事を躊躇していると、神武が前に出て自分が火霊宮へ行くと自ら志願した。
神武は楊汀がそこへ行けば月影の心が痛むだろうし、自分は門主の座に欲が無かったので二人の兄妹のために自分が火霊宮へ行くことが皆の幸せを守ることだと考えたのである。

こうして神武が火霊宮へ去って5年の歳月が流れた。
多くの門派の助けによって火霊宮は以前の姿を取り戻し、多くの弟子は黒殺門へと帰ったが、火霊神宮の力強い気功術に惹かれた神武はもう少し火霊神宮を磨くことにした。
元々門派の技術は門派の弟子でなければ絶対に教えてもらえなかったことであるが、神武は火霊宮再建の最大の助けになった黒殺門の弟子であり、位置を知れば十を知る彼の明晰さにほれた門主が彼を自分の弟子にしたので彼は火霊神宮を学ぶことができたのである。
歳月が経ってそれぞれ炎火客神武と黒殺龍楊汀という別号を持ち、首脳として江湖を号令するようになった二人であったが、二人は相変わらず仲がよく、神武と月影の間も深くなっていった。

そんなある日黒殺門に一団の刺客が攻め寄せてきた。何を狙って侵入した資格化は分からなかったが、彼らの実力は高く、七大門派の中で一番の実力を持つ黒殺門の弟子でさえ苦戦した。
刺客の侵入のために門内は騒がしくなり、侵入者の報告を聞いた楊汀は、弟子が苦戦しているという話しに自分が直接刺客を相手することにした。
楊汀が現れると刺客は待ち構えていたように楊汀に向けて集中攻撃を始めた。しかし彼の襟一つこすれる前に刺客の半分以上が楊汀が使った一度の黒殺槍術に倒れた。しかし彼の強さを見せ付けられてからも残りの刺客はたじろぎもせずに攻撃を続けたが、お茶を一杯飲む間もなく彼らは一人を残して全員死に絶えた。
その生き残りも実力で生き残ったのではなく、刺客の正体を知るために楊汀が片足だけ斬って生かしておいたのである。しかし足が切られてもその刺客はにやりと笑い、紙一枚楊汀に投げつけて自決してしまう。
楊汀は紙を広げてみると全身に稲妻のようなものが駆け巡った。紙には「妹を生かして欲しくば誰にも知らせずに一人で酒場へと訪ねて来い」という文が書かれ、月影が心配になった楊汀は彼女を探して駆けつけた。
長い間探した楊汀は市街に倒れている月影を見つけた。彼女の首には小さな暗器が打ち込まれ、毒が塗られていたようで彼女は中毒で気を失っていた。
楊汀は彼女を宿所へ移し、毒を治療するために近くに住んでいる漢方医とみなつれてきた。しかし彼らは全員月影の毒が何か分からず、そんな間にも月影の容態はますます悪くなっていく。
話を聞いた神武も黒殺門に戻り、月影の毒を治療するために噂を頼りに探したが、彼女を治す方法を知る者はいなかった。
楊汀はこれらが自分を狙った落とし穴だと思った。自分のために罪のない月影が苦しんでいる姿を見ていると心が避けそうであった。しかし彼は落とし穴だと知っていても最後の希望に賭けて、神武にさえ黙って約束どおり酒場へと訪ねる。
楊汀が酒場に入ると店員が一番内側の部屋へと案内した。敵の攻撃があると緊張した状態で部屋に入った彼はがらんと開いた部屋に疑いを感じる。
楊汀が部屋に入ってしばらくすると、名医黒衣人が部屋に入ってきて、自分の呼び出しに応じた感謝の言葉を述べた。
激怒していた楊汀は黒衣人の挨拶が終わるとすぐに彼を捕まえて、槍を首に突きつけて解毒剤を出せと脅した。しかし彼は楊汀の勢いにもたじろがず、たんたんと彼を眺めて要求を聞き入れれば解毒剤を渡すという提案をした。
選択は無かったので楊汀は彼の提案を聞くと、それは黒殺門主を暗殺せよということであった。
楊汀は黒衣人の要求に驚いた。楊汀が父のように仕え、今の自分を作った恩人である方を殺せというのは彼には大きすぎる要求であった。しかし悩む時間は無かった。
この時間にも死んでいく月影を思うと楊汀はその要求を受諾し、彼に先に解毒剤を渡せといった。
黒衣人は解毒剤の一部を彼に渡し、これをのめば妹の命が一週間延びるので一週間以内に門主を殺して戻ってくればその時に完全な解毒剤を渡すといって去っていった。
酒場を出た楊汀は黒衣人からもらった薬を持ってすぐに月影の宿所へと戻った。気を失って苦しんでいる月影に薬を飲ませると、月影は苦痛が薄れたようで呼吸が楽になり、青白かった顔も少しづつ血色が戻っていった。薬が効果があると楊汀は喜びの涙を流した。
しばらく後楊汀が帰ってきたという神武が部屋に戻ってきて、容態が安定した月影の姿を見て楊汀と同じく喜んだ。しかし、彼女の状態が良くなったにもかかわらず暗い顔をしている楊汀に何か心配事があるのかと聞いてみたが、彼は疲れているだけだといって席を外した。
神武は何か引っかかるものがあったが、目前の喜びのためにそのことはすぐに忘れてしまった。

続く
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