編集:足立将之(07/02/15)


(1)「公共」の考え方

 公共を共同体としての社会を統治するもの、あるいはその枠組みと定義すると、その主体には行政が想像される。社会の統治者が行政とはいっても、個々の住民が統治下にあるわけではない。制度上はあくまで主権は市民の側にあり、議会に送り込まれた代表者が社会を統治する形態となっている。そこで行政は施策を遂行する、社会の各構成要素を調整する、あるいは公共財を直接供給するといった役割を持った代理者と位置づけられる。

 したがって、公共と行政とはイコールではなく、公共を形成しているのは住民自身ということになる。行政による施策推進は、本来の主権者である住民が行政に対して付託したのであって、巨大化、複雑化した現在の公共の役割すべてを住民がすべて直接行うことは効率的ではないとの考え方に基づいている。こうした見方に立つと、行政への不満は「公共=行政」であるという一種の「誤解」とも考えられ、現実には不可能かもしれないが、本来は住民自ら解決しなければならないといえる。

(2)行政のとらえ方

 1997年に全国の都市自治体に対してアンケート調査「都市における廃棄物管理に関する調査」(全国669市への悉皆調査)を実施するともに、研究会を中心にして、中長期的視点からの廃棄物管理の方向を明らかにするため検討を行った(日本都市センター,1998)。調査結果の中から当時の市民参加に対する考え方を探ることにする。

 ごみの減量化やリサイクル推進など資源循環型社会の構築に関しては、約20%の自治体が市民を重要な担い手と考えている。市民発案型の市民、事業者、行政で構成する会議等を設けている市は約20 %で、それに類似する会議を設置している市を加えると約30%にのぼった。会議のタイプには、自治会や衛生協力員などの地域団体リーダーの連絡会議、資源回収実践団体の情報交換の場として設けているもの、シンポジウムやフリーマーケットなどごみ減量のための実践活動を推進する目的で設置されているもの、ごみ問題、リサイクルについての調査研究や行動計画を検討するために設置されているものなどがある。


最終更新:2007年02月15日 11:14