編集:足立(07/02/15)


(1)会社の沿革

 養殖漁業生産組合を母体として1974年に大阪府泉南郡岬町で設立された。当時は大阪湾で油が流出し、魚を市場に出しても売れず、漁業関係者にとっては死活問題であった。そこで、汚染原因の廃油や廃液を自分たちで回収、処理する事業を開始した。スタート当初は良質な廃油は再生業者に販売、粗悪な廃油は焼却を委託処理していたが、油を固化する技術を開発し、1983年には工場が完成した。一般ごみの焼却炉に一緒に入れて補助燃料として使っていたが、焼却灰の処理が問題となり、灰が原料となるセメント工場へ固形燃料を出荷するようになった。1985年にはスラリー状に燃料を改良し、1988年には大分県津久見市に中間処理工場を建設した。

(2)情報公開

1)ISO14001

 大阪府下の廃棄物処理業者では初めて19993月、翌年に大分の工場でも取得した。業界のイメージアップを図ることも目的の一つではあるが、一定以上の売上があるにもかかわらず認証を取得していない場合、外部からは不可思議に思われる状況になっていると判断した。認証取得の効果としては、①文書管理などによって業務改善、②責任を持って仕事に取り組む姿勢が社員教育につながる、があげられる。

2)環境・社会活動報告書

 2000年に産業廃棄物業界では初めて発行したが、2004年までは会社案内と環境活動報告に留まっていた。しかし、2005年には「企業の持続性」という観点から、従来の「環境活動」に加えて「社会活動」、「経済活動」の内容についても充実させ、「環境・社会活動報告書」とした。目的は、すべてのステークホルダーとのコミュニケーションを深め、信頼関係を構築し、お互いに社会貢献などを通じて、発展することとした。2006年には「一方的な情報発信」から、お互いに情報をやりとりする「双方向コミュニケーション」を実施し、事業活動の課題を継続的に改善する仕組みを採用した。なお、2003年から「東洋経済新報社・グリーンリポーティング・フォーラム共催 環境報告書賞」において、4年連続で「中小企業賞」を受賞しており、第三者からも一定の評価を受けている。

 環境報告書の作成にあたっては、本社と支社の製造、営業、管理部門などから最低1人ずつは集まり、1年交替で本社と支社が入れ替わりながら7人で担当。少なくとも56回はミーティングを開いている。

3)優良性評価制度

 同社のホームページには、産業廃棄物処理業者の優良性の判断に係る評価制度に基づく開示情報として、会社情報、許可の内容、施設及び処理の状況、財務諸表、料金、社内組織体制、地域融和が公開されている。すでに評価基準適合事業者として、山口県と三重県(特別管理産業廃棄物収集運搬業)、福井県(産業廃棄物収集運搬業)を申請し、産業廃棄物処理事業振興財団のホームページに他の業者とともに一覧表で示されている。なお、現在の制度は第三者による監査がなく、公開された情報への信頼性が担保できないことから、行政による定期的にサーベイランスを求めていた。

(3)環境コミュニケーション

1)見学者の受け入れ

 排出業者や業界団体といった「関係者」のほかに、行政、NGO、大学など様々な団体が来訪しており、同意の得られた分についてはホームページに名前が公開されている。小中学生は危険物を取り扱っていることもあって受け付けていないが、2006年からは社員の発案で出張授業に学校まで出向くことになった。

2)地域との話し合い

 大分工場では、3ヶ月ごとに行政(地域振興部長、環境課長、市民生活課長)、地域(生の原区長、公害対策委員2名)、会社(社長、支社長、地域対策室長)の3者にて開催している。協議会では、過去3カ月間の活動状況の報告と活動に対する意見交換、また行政、地域、当社それぞれからの要望事項などが主とした議題項目となる。

3)清掃活動

 本社では、工場に隣接する岸壁に多くの釣り人などがゴミを放置していくため、工場周辺美化の観点から毎日清掃を実施しており、年間400500リットルのゴミを回収している。また、浜工業公園~阪南1区岸壁までの港湾美化啓発活動にボランティアとして年に1回参加している。九州支社では、月に1回のペースで、工場下の国道502号線沿いの1kmの間を対象にゴミ拾いを行っている。また、地域交流会を工場敷地内特設会場において実施し、毎年8月の最終日曜日には、地域住民、臼杵市職員、野津商工会、老人クラブのメンバー、支社社員など総勢約150名でバーベキュー大会を開き、融和と親睦をはかっている。

最終更新:2007年03月14日 12:09