編集:足立(07/02/13)


1 行政

行政改革の一環で機関委任業務が廃止され、国の直接執行以外は自治事務と法定受託義務に振り分けられた。廃棄物処理法との関連では、事務の奥が機関委任であったが、地方分権推進委員会と厚生省(当時)との交渉で、法定受託事務とされた。このうち、2001515日に出された「行政処分の指針について(通知)」(環廃産260号)は、2000年に改正された廃棄物処理法の運用面でのフォローのために、国が打ち出したガイドラインといえる。行政処分に関しては、産業廃棄物業界の信頼性確保のためにも、情報の公開が社会的には求められている。

 2002年のアンケートによると、情報公開条例に基づいて開示請求を行った場合、行政処分と行政指導に関する対応は自治体によって異なることが示された。その時点では、北海道、秋田、兵庫、宮崎、沖縄では非開示とする理由がないとの反応であった。他には、行政処分の程度によって対応が分かれる東京、福井、広島、大分などがある反面、一部公開や非公開の立場をとる自治体として、神奈川、岐阜、香川などがあげられる。ネット上で行政処分を公開している自治体は、2002年には北海道、栃木、埼玉など7か所(報道発表を入れると9か所)にとどまっていたが、2007年には岩手や宮城など多くの自治体が加わり、28か所(外郭団体も含むと29か所)となった。地域別にみると、関東、東海、近畿のようにほぼ公開している自治体が大部分を占めているのに対して、東北の一部、北陸、四国・九州の大部分では未公開の方が多かった。

 なお、環境省には「産業廃棄物処理業・処理施設許可取消処分情報」のページがあり、事業者名、許可番号、都道府県・保健所設置市名で2002年以降に許可を取り消された業者を検索できる。自治体別の件数を表示すると、個別の情報公開しているページをリンクで示しているが、アクセスできない場合もあって情報が更新していないことが示唆された。200218日から2006712日までに処分を受けた業者数は全国で延べ2,985件で、そのうち445件(14.9%)を占めている。

2 処理業者

環境報告書を発行するなど、情報公開に関する取組に熱心な廃棄物処理業者がある一方で、なかにはホームページなどのメディアには情報が公開されておらず、業務内容がまったくわからない業者もある。業者によって対応が分かれる理由としては以下の3つの側面が考えられる。

①業者の立場

 廃棄物処理業者は、リヤカー1台の廃品回収から始めた場合もあり、古くからの慣習が色濃く残っている。近年は薄れつつあるものの、中には「昔気質」とでも言えるような考え方にとらわれ、情報公開に対する意識が低い。また、業界内での突出した取組が他社から疎んじられることをおそれる場合もあり、情報公開のリスクより非公開のセキュリティを選択する結果となっている。他にも情報公開やコミュニケーションの経験が少なく、意識や希望があっても実現しない業者もあると考えられる。

②制度的な枠組み

 環境省の優良性評価制度では、ホームページで情報開示の内容をチェックすることができるが、義務化されているわけではなく、当該処理業者が不法行為や不適正処理をその後行わないと保証するものではない。そういった位置づけのままであれば、業者にとってはコストをかけて情報公開するメリットが明確とはいえない状況にある。

図 廃棄物処理業者の情報公開に関わる要因

③周囲の環境

 排出業者の中でも、大手の場合はすでに廃棄物管理の観点から処理業者の選別を始めているが、中小はまだそこまで意識が高いとは限らない。一般市民にとっても、廃棄物処理業者はどちらかというと遠い存在で、周辺に居住する一部の住民を除くと情報公開への関心が高まる状況にはない。こうした周囲の環境を受けて、情報公開に向けた積極的な対応を取るまでには至らないと考えられる。

最終更新:2007年02月13日 10:04