足立将之(07/02/17)

 容器包装リサイクル協会のホームページでは、平成17年度から全国の再商品化事業を委託する指定保管施設ごとに、どの特定分別基準適合物(プラスチック、PETボトル、ガラスびん、トレイ、紙製容器包装)を保管し、どの再商品化事業者のどの工場で、どのようなリサイクル(コークス炉、高炉還元、材料リサイクルなど)目的に、どのくらいの量が、いくらで落札されたかが分かる表を公開している。今回、近畿地方に所在する指定保管施設の特定分別基準適合物プラスチックについて分析を行う。

 


1 落札価格とリサイクル目的の関係

平成17年度にはプラスチックの入札対象物の件数が17件だったのに対して、平成18年度は74件と増加した。両年度の落札価格帯ごとのグラフを作成するとグラフ1のようになる。平成17年度のグラフでは、7万~8万円台と10万~11万円台の2つの山ができているが、平成18年度は10万~11万円台の1つの山となっている。

 

グラフ1 落札価格帯ごとの件数

 

  このようにグラフに山ができる理由としては、7~8万円台の山は、コークス炉化学原料化あるいは高炉還元での落札、10~11万円台の山は材料リサイクルでの落札となっている(グラフ2)

グラフ2 落札価格帯ごとの件数(リサイクル目的別)


 また平成
17年度ではグラフの山が2つできていたことに対して、平成18年度では山が1つになっている理由としては、コークス炉あるいは高炉還元での入札から、材料リサイクルでの入札に変わってきた点があげられる。個別の入札をみると、平成17年度から平成18年度に11件の変更があり、変わらなかったのは2件であった(※)。

 

2 再商品化事業者について

 平成17年度に落札した業者は8社あり、平成18年度は11社となっている。コークス炉目的及び高炉還元目的での入札は、前年度から落札業者に変更は見られない。しかし材料リサイクル目的を見てみると、平成18年度に、新たに落札した業者が4社あり、前年に続いての落札を行わなかったもしくはできなかった業者が2社ある。

材料リサイクル目的で2期連続して落札した4業者の平均落札価格が107,069円であることに対して、新規に落札した4業者の平均落札価格が93,668円と、低く入札価格を設定していることがわかる(表1)。


表1 落札業者一覧

 

※再商品化事業者名について容器包装リサイクル協会ホームページでは実名公開している


 業者が入札価格を決める要素の1つとして、前年度の平均落札価格(表2)が推測できる。前年度の平均落札価格よりも低い価格で落札した業者は、翌年度は前年度よりも高い価格で入札を行い、その逆に前年度の平均落札価格よりも高い価格で落札した業者は、前年度の落札価格よりも、翌年度の入札価格は低くなる傾向がある。表
1の中で2期連続落札した業者7社中6社が、この傾向を示している。


表2 平均落札価格


3 そのほか

H18年度の近畿地方の指定保管施設での材料リサイクル目的での落札について見ると、L社とM社の2社(Aグループ)が平均落札価格が8万円台と他の6業者(Bグループ)の10万~11万円台に比べ大幅に低い落札を行っている。どちらの落札価格が適正な落札価格かは一概には言えないが、落札価格には、保管施設からの分別基準適合物の引き取りにかかる費用も含まれているため、Aグループは富山県、岐阜県に所在する業者であるため、近畿地方に所在する業社が多いBグループよりも、本来入札価格は高くてもおかしくない。

 また、落札数に注目すると、本来、入札価格が安いAグループの業者は多くの指定保管施設で落札しているはずであるが、H18年度の落札結果を見ると、それとは逆で入札価格の高いBグループが多くの指定保管施設で落札している。

 以上の結果、Bグループの入札を行っている地域の指定保管施設には、安い入札価格をつけるAグループのような業者が参入するのを拒む何らかの力が働いているのではないかと考えられる。


表 平成18年度の落札結果

 

最終更新:2007年05月10日 12:06