京都市ごみ有料化シンポジウム報告

2006年9月24日、京都市のごみ有料化をテーマとして、環境安全センターで開催したシンポジウムの記録です。



開催趣旨

京都市では、ごみ収集・リサイクル品収集が10月から有料化されます。毎年10億円ほど集まると推計される手数料は、ごみ減量やリサイクル推進のために利用することが掲げられています。具体的には、コンポスターの配布や、ごみのカラスよけネットへの補助金などの使途が提案されていますが、ほかによいアイデアはないものでしょうか。 他ならぬ私たちが出すお金です。「10億円をどう使ったらいい社会になるのか」、いっしょに考えてみませんか。どんな意見でも歓迎です。

シンポジウム内容

■日時:2006年9月24日(日)13時30分〜16時
■場所 京都商工会議所ビル
■内容
(1)報告:有料化検討の経緯と用途について
瀬川道信氏(環境局循環型社会推進部循環企画課長)
(2)私が考える10億円の使い道
(ワークショップ)
(3)シンポジウム
各テーマにおける意見の報告とコメント、意見交換
コメンテーター:山川肇氏(京都府立大学人間環境学部講師)

報告概要

シンポジウム参加者は定員80名のところ、約50名の参加があった。シンポジウムの内容は、前半、京都市(瀬川道信環境局循環型社会推進部循環企画課長)により、ごみ有料化の経緯が説明された。後半は、10億円の使い道に関して、参加者に付箋紙に意見を書いてもらい、壁に張り付けた8つのテーマごとに模造紙に貼ってもらい、テーマ担当者が参加者の意見をまとめ発表するという形のテーマワークを行った。
前半の京都市による有料化の経緯の説明では、環境局職員の不祥事や有料化自体に納得していない参加者などにより、意見が飛び交う場面も見られた。後半のテーマワークでは、混乱もなく参加者から多くの意見を出していただくことができた。

京都市からの報告に対する質疑応答

Q.手数料収入は、市の一般会計に入るのか?それとも特別会計に入るのか?(現状の環境局に資金を投入するのは、効率的に使われない心配があり、環境局への不信から反発があるのではないか?)
A.一般会計に入ってから、環境局に配分される。

Q.減量、有料化などをめぐる議会や当局の動きが市民には見えにくい。どう考えるか。
A.市では情報提供・相談の窓口を設置している。ごみ減量推進会議への参加なども機会としてもらいたい。

Q.京都市の出す費用等のデータは信用できない。北部クリーンセンターでは、半日で一日分の作業が終わると聞いている。(無駄があるのではないか?)
A.北部クリーンセンターは、メンテナンス時を除いて24時間無休で運転している。

Q.一袋あたりの手数料はどのようにして決めたのか?
A.有料化を実施した他都市をサンプルに、料金と減量効果の関係を参考に決めた
。料金が一定のレベルを超えると、料金が増えてもほとんど減らなくなるという傾向がある。

Q.有料化にあたって、社会的弱者への配慮が必要ではないか?
A.今後、老人家庭の排出するおむつなどを考慮して、一定の指定袋を無料配布することを検討する。

Q.観光地では、大量の持ち込みごみに困っている。一方で、テロ対策などのせい
か、ごみ箱が減っており、ごみがますます散乱している。ごみ袋の無料配布だけでは済まない。どう考えるか?
A.一方で、ごみ箱を撤去してほしいという要望もある。地域毎に具体的な意見をもらいたい。

Q.ごみを減量した人には手数料を払い戻して、還元してはどうか。
A.減量すれば指定袋の購入枚数が減らせるので、実質的には還元(報奨金)になると考える。

Q.市内でも一部地域は定点収集だが、各戸収集の地域もある。これは不公平ではないか?
A.定点収集か各戸収集かは、道路幅員や回収効率など様々な要素を考慮して決めている。変更することも可能なので、各地域のまち美化事務所に相談してもらいたい。

Q.収集員の対応が一定していない。ごみを回収してもらえる場合もあるが、そうでない場合もある。どうしてか?
A.一袋あたりの重量が片手で持てる範囲でない場合には回収しないなどの、収集にあたってのルールがある。「京のごみ減量辞典」を参照してもらいたい。

Q.現業職員を2分の1に削減することが検討されているが、削減の対象となった職員は、今後どうなるのか?
A.現在、検討中である。

Q.マンションに住んでおり、管理費を通じて既に許可業者に手数料を支払っている。このように許可業者にごみを出しているマンション住民に対してはどう考えるか?
A.管理組合等を通じて、許可業者から市の直営収集に切り替えてもらうことは可能である。


ワークショップで出されたアイデア・意見

1.生ごみの処理

○報奨制度
・生ごみを出さない家庭には賞金をあげる
・目標の20%削減達成の世帯は無料にする

○分別の徹底
・生ごみを必ず分別すれば重量的に3分の1になる
・生ごみ分別家庭は登録制にして、専用車で回収に行き、バイオマス工場へ

○生ごみ処理機
・生ごみ処理機付きのシステムキッチンを開発

○ディスポーザー
・ごみのほとんどが生ごみだと聞きました。生ごみを細かくして下水に流すディスポーザーというアメリカから機械があります。マンションなどで使われている場合は浄水装置が付けられているところがありますが、普通の家などに付けられている場合は浄水装置は付いていないのがほとんどです。有料化すると増えるのではないでしょうか
・単体ディスポーザーの禁止

○処理の工夫
・バイオマス特に昆虫(ハエ)を使うと6日間で処理可能

○バイオリサイクルの推進
・バイオリサイクルを推進すること
・バイオリサイクルの推進
・生ごみの有効利用をする。生ごみの量は3分の1から40%はある

○バイオガス・エタノール
・バイオガスの取り出し、エネルギー回収の本格実施、回収はポリバケツ排出、回収車は平ボディー社にタンクを回転させるアーム付
・生ごみメタン発酵事業化と燃料電池
・生ごみをはじめとする有機性廃棄物はメタンガス化して新しいエネルギーとして利用する
・生ごみ分別が確立できたら市でバイオマス工場などを作り、自動車燃料に利用する

○動物のエサなど
・生ごみだけ回収後、肥料、動物のエサを作る
・昆虫の排せつ物は畑の肥料、幼虫は鳥、魚のエサになる
・処理方法は電気製品による、EM菌による、ミミズのエサに、その他農地に

○堆肥化と利用
・堆肥の買い取り
・家庭で作った堆肥を農家で使えるようなシステムを作る
・生ごみコンポストの普及、庭のない家庭は公園や街路樹を育てる肥料にする
・生ごみを堆肥化し、農家へ。給食食材のリサイクル構築
・肥料にして小、中学校の校庭を芝生に
・街路樹のある緑地帯を畑にする
・農林部と連携して市民農園を作る
・お百姓さんに指導をお願いする
・ネギ、ハーブ、花などを植える

○その他
・食物を無駄にしない、スーパーでの過剰宣伝にまどわされず、いるものをいるだけ買うという節約の心を育てる
・ごみ、環境教育
・不祥事の温床にならないようにしっかり監視する


2.分別・リサイクル推進

○リサイクルスポット
・ごみ収集ステーション配置の最適化計算
・地域リサイクルスポットの建設、維持
・資源ゴミステーションの地図作製

○分別の見直し
・他の自治体では時々聞くが、もっと細かい資源の分別収集を京都もしてほしい。地道なことにお金を使ってほしい(土日に小中学校の校庭を利用し、地域の人の手も加われば今よりも住民同士でゴミのことなど話す時間も自然と増えると思う。地域にステーションを作ると京都の場合道がどこも狭く、人間関係を悪くしそうだから)
・現在分別収集されている缶、ビン、ペットボトルが同じ車に収集されるとき、「ガシャンガシャン!」と割られながら収集されている。本当にあれで有効にリサイクルされているのかいつも不安。皆がわざわざ手間暇かけて分別している資源を無駄なくリサイクルできるシステムを確立するためにもっとお金を賢く使ってほしい
・缶、ビン、ペットボトルは別々に収集し、その費用にあてる
・缶、ビン、ペット3分別回収、混合回収の効果、費用比較

○家庭ごみ以外の分別リサイクル
・事業系ごみの分別リサイクル
・クリーンセンター持ち込みごみの分別リサイクル

○衣服、布類のリサイクル
・衣服リサイクルの促進会の開催費用にする
・衣服、布類のリサイクルルートを作る

○リサイクル品の情報をもっと流す
・あげる人ほしい人の情報をテレビで
・新聞の広告

○分別回収後の施設
・分別回収後の選別施設を独自に整備し、可燃ごみの減量をはかる財源に使う

○施設見学
・リサイクル施設の見学費用に使う
・ごみ処理施設の見学会を実施する
・20才の選挙権取得時に処理施設見学を義務づける
・ごみ処理場の見学

○名前を書く
・ゴミ袋の上に名前を書くこと

○相談窓口
・相談窓口を各区のまち美化事務所、区役所に設ける
・相談時間は年中無休、朝8時〜夜8時とする
・24時間地域に設置

○啓発
・学校教育の充実
・まち美化事務所、収集作業員に市民啓発をしてもらう
・休日、夜間にも啓発活動を行う
・障害者、外国人向けの丁寧な啓発を行う
・マンション住民への何らかの啓発方策
・住民票移動時のごみ事典、最寄りごみ・資源ステーション地図の配布
・住民の意識改革


3.不法投棄

○収集方法散乱対策
・散乱ネットだけでは防護できていない。集塵箱設置できるところはする(行政設置)

○事業者と市民との協力
・世界一美しい京都、市民との協働
・不法投棄対策として産業界への協力
・環境意識の向上ため啓発機会を設ける
・公共の信頼性の回復

○経済的インセンティブ
・大型ゴミの手数料を無料にする
・不法投棄を発見し、通報した人に謝礼金を支払う

○調査
・不適正処理の実態把握
・実態調査、市民との協力


4.事業者との協力

○社会的責任
・事業者、市民、行政が本音で話し合える場作り
・事業者へのアンケート実施
・CSR、情報公開、環境マネジメント
・業者回収で分別とリサイクルができるのか?
・民間古紙回収量の正確な把握

○生産段階
・生産段階でのごみ削減
・ごみにならない製品の開発、報奨金
・リユースペットボトル入りお茶の開発(京都ブランドのお茶を)
・リサイクル技術の公募

○サービス
・野菜のプラスチック容器を店に返せば再使用してもらえるようになってほしい
・コンビニのごみ箱を点婦負に設置するための回収費用にあてる(不法投棄対策として)
・リユースびん商品購入、マイバッグ持参を積極的にすすめる。その景品を収集袋にする
・レジ袋を断ったときの特典をもっとよくする(今は1回5円程度)ため、店舗への協力要請に使う

○その他
・生活ごみだけでなく廃棄物全般を京都市のクリーンセンターで公正な価格をもとに門戸を開くことが高度処理につながる

5.有害物

○調査する
・製品等のライフサイクルアセスメントを行う
・有害性を低減するためのメーカーとの共同研究を行う

○市が回収システムをつくる
・乾電池・塗料・ボンベなどの有害物専用の回収車を導入する
・有害物の収集・処理システムをつくる
・有害物を回収する日を設ける

○メーカー・販売者責任の徹底
・メーカー・販売者の責任で店頭での回収をするシステムをつくる
・メーカーの社会的責任(CSR)の取組を推進する
・有害なものを使用しない製品を開発する
・家庭に有害物・危険物を入れない
→メーカー・流通への指導
・市で回収しない危険物について市内販売店に通知・指導する

○デポジット制の導入
・鉛バッテリー等のデポジット制を試行する


6.市民の参加・協力

○行政の信頼回復
・情報公開を徹底する
・使途を市民がチェックする
→市民が自分でチェックするのは難しいので、公認会計士に監査してもらい、分かりやすくプレゼンテーションする

○使途に対する市民アイデア募集
・手数料収入の一定部分の使途を「市民提案枠」として事業アイデアを公募する

○回収の拡充 �地域で一緒に取り組む
・廃食油の回収を拡充する
・共同菜園、共同コンポスターを設置する
・分別収集において小中学校の庭を利用し、地域住民が作業・交流する
→地域住民の間でのコミュニケーションの充実

○人材育成
・地域減量推進員を育成する


7.持続可能な社会に向けて

○環境教育
・環境学習の機能(人員・施設等)の充実
・学童・家庭向けの減量方法の教育
・教師のための研修会

○環境まちづくり
・自転車をどこでも借りて、返せるシステムをつくる
・公共交通の運賃補助に充て値下げする
→市民に広く還元しつつ、CO2削減

○税・補助金:経済的インセンティブ
・リターナブル容器の業者・利用者に報奨金・補助金を出し、ワンウェイ・リサイクル容器に対し競争できるようにする
・排出権取引を実施する
→指定袋を一定数無料配布し、余ったら足りない人に売れるしくみ(民間で取引できるので行政コストも押さえられる)
→産業廃棄物にも応用できる

○有料化で増えるごみの対策 �総合的対策
・レジ袋をごみ袋に使っていた人は、指定袋分のごみが増えてしまう
→レジ袋対策が必要
・減った分のごみはどこに行っているのか? �調査が必要


8.その他

○ごみの収集・処理サービスの向上
・収集作業員、補助員(啓発、相談など)を増員する
→職員の賃金アップ、環境雇用の拡大
・臭気の少ないパッカー車を開発・導入する

○ごみ処理事業財政の見直し
・ごみ処理費用の詳細項目にわたるベンチマークを行う(他都市との比較)
→情報提供にも関連

○市民への情報提供
・ごみ処理コストはどれだけかかっているのか?
・ごみ減量達成状況グラフを役所前に張り出す
・京都市中央卸市場から排出されるごみは一般廃棄物か?産業廃棄物か?
→法律・解釈を整理して分かりやすく市民に示す
・大量に排出される発泡スチロールは焼却処理されがちであるが、リサイクルすることも可能である
→リサイクル技術・ルートについての情報提供
・リサイクル施設、処理施設の見学を充実する

○社会福祉の充実
・観光地・公共施設等のトイレをバリアフリー化する
・障害者、高齢者に対して、ごみ手数料を無料にする
・美術館・体育館の利用料金を無料にする

○観光地としての魅力向上
・観光地のトイレの充実
・観光地等におけるごみ回収を強化する
・観光客の排出するごみは事業系ごみか?特別な区分として分別の受け皿づくりなど対策を行う

○その他のアイデア
・環境関連の国際会議を誘致する
・市民税を減税するなど減税に充てる

○その他の意見
・10億円では不足する
・ごみを減らせば支出も減らせ、10億円ぐらい浮かせられる
・既存事業に充てるのは単なる増税である
・横浜市では有料化せずに34%削減を達成した
→有料化以外にも減量方策はある
→減量のために有料化するという論理だけでは、受け入れられにくい
・資源ごみは有料化すべきではない


山川講師のコメント

「生ごみ処理」について

生ごみの処理のあり方は、食の循環につながるテーマである。京都市では、「京のアジェンタフォーラム」という市民グループやNPOが連携して、「食の循環ワーキンググループ」を設置して、地域の中で有機物の循環を行っていこうと取り組んでいる。このような取組を発展させることができればよいのではないだろうか。

「分別・リサイクル」について

分別に関連して、先ほど、京都市の瀬川氏からは、資源ごみを分けずに混合回収することで輸送エネルギー、CO2排出も少なくて済むというご意見があった。私は、ある程度は分けたほうがよいという立場である。確かに、分別・回収を細かくしていくと、輸送エネルギーも、コストもかかる。一方で、リサイクルが進むことで、トータルでエネルギーや社会的なコストが減らせる可能性もある。また、市民がごみを再び資源にできるまで分けていく。そういうことを続けていくことが、長期的には発生抑制につながっていくのではないかと考える。現段階のある部分のCO2排出が増えるということだけでなく、総合的な評価、判断が求められるのではないか。

「有害物」について

有害物の問題については、市民や自治体が困難な分別・処理をしなくても済むように、生産者側の責任で、有害物の少ない製品づくりに転換していくことが必要だと考える。
しかし当面、第一歩として、販売店に京都市が「有害物を含むものは受け取りませんよ」と意思表示をするということは、市の条例の範囲でもできるのではないか。何をもって有害物とするかという定義の問題もあり、市民の意見に出ているような様々な調査も必要になってくる。お金が必要であれば、こういうところに使っていくことが求められるのではないだろうか。

「不法投棄」について

有料化を進めると、不法投棄が増えることが懸念される。不法投棄を見つけて通報したら賞金を出そうというアイデアが出されている。このような、金銭的なインセンティブをもたらす方法は、効果もかなり大きいのではないかと考える。ただし、制度の運用や報奨金の支払いなど、施策に必要な費用も大きなものになる。


「事業者との協力」「市民の参加・協力」について

一点目は、人づくりに金を使うということが市民の参加・協力に関するアイデアとして出てきたが、これは是非考えていただければと思う。たとえば、徳島県上勝町では、公募で専門のコーディネーターを募集し、その人を中心に様々な主体の協力関係をつくっていくということに成功している。このように、「京のアジェンダフォーラム」などのNPOに、コーディネーターを委託することなども、使途として考えられる。そして、事業者と市との間で協定を結んで、リサイクルや発生抑制に取り組むなどの方法もある。このような恊働へ向けて、地域の住民、事業者、NPOが話し合いの場を持つ。そのためにお金を使うということである。
二点目も市民の参加・協力に関連して、お金の使い道を市民がチェックするというアイデアが出てた。市民一人一人が使途をチェックするというのは、非常に難しいので、会計監査事務所などにきちんと監査してもらい、市民にわかりやすい形で公表してもらうということにお金を使うということも考えられる。
有料化しても単に不法投棄などに流れてしまうのではないかと意見に関連して、もしかしたら結構海外にいっているのではないかという話もある。収集量が減った分で、リサイクルに回っているところもあると思われるが、海外などで処理される場合、現地の環境汚染などの問題が引き起こされている可能性もある。


「持続可能な社会に向けて」「その他」について、最終コメント

私は、ごみの有料化の研究をしている。本当に有料化でごみが減るのか。実は不法投棄されているだけではないのか、と思いながら研究を始めた。調べていくと、収集されなくなったごみが実際どこにいくのかよく分からないところもあるが、全てが不法投棄されているわけではなさそうである。確かに、有料化の導入で不法投棄の量も増えるのだが、不法投棄量の増え方からだけでは、収集量の減り方が説明しきれない。実態は、どこに行くのかよくわからないけれども、有料化によって傾向としてはごみが減るようだ。
二つ目に、有料化の意義として、減量につながるという直接的な効果だけでなく、ごみとその処理のあり方のことを、市民が考え直すきっかけになるということが重要なのではないかと思う。
三つ目に負担のあり方の論点である。ごみをたくさん出す人もいる。一方、一所懸命にごみを減らしている人もいる。しかし、税金の支払いは、ごみの出し方では変わらない。200億円ぐらい処理費用がかかっているという話があったが、ごみを多く出すほど、市民全体の負担が大きくなる。しかし、個々の住民のごみの量で支払いが変わらないのなら多く出した方が得となる。これは不公平なのではないか。
このような考え方に対して、生活環境を守る立場からは、不法投棄を防いだり、衛生的な環境を守るためには、市民全体で広く負担する形で税金により処理する必要があるという考え方もある。しかし、税金をいくらか投入するにしても、ごみの手数料が0円というのは、やはり先に述べたように不公平ではないか。上下水道や電気については、使用量に応じて負担するしくみとなっている。
また、製造段階で減量を促すためには、生産者も処理費用を負担すべきだという考え方もある。確かに、生産者負担とすることで、生産段階での環境配慮設計のインセンティブとなるが、排出段階で分別・回収など消費者の協力を促すためには、消費者に対しても別途インセンティブが必要になる。
このようにして見ると、ごみ処理の費用負担には、生産者が負担する部分、市民が税金として均等に負担する部分、市民が排出量に応じて負担する部分がある。それぞれがどの程度の割合を負担するのが、持続可能な社会を目指す上で望ましいのかということになってくる。
このようなシンポジウムや、有料化をめぐる議論が、様々な視点・考え方から、ごみの問題と取組のあり方を捉えるきっかけとなればと考える。

文責:山本将


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最終更新:2006年10月05日 12:27