生ごみ処理の現状

作成:足立(06.06.20

追加:足立(06.06.22

●生ごみの分類

 生ごみは発生段階ごとに(図1)のように分類することができる。製造段階においては、食品製造業等から加工食品等において生ずるジュースの絞りかす・野菜くず等の加工残さが発生し、流通段階においては、卸売業等から売れ残り・廃棄食品や廃油・液体の廃棄物・ピット汚泥等が発生する。消費段階においては、一般飲食店等から調理くず・食べ残しや廃油・液体の廃棄物・ピット汚泥等が、家庭から調理くず・廃棄食品が発生する。

 これらの生ごみは、廃棄物処理法上、食品製造業から発生するものは産業廃棄物に、食品流通業及び外食産業から発生するものは主に事業系一般廃棄物に区別され、家庭から発生するものは家庭系一般廃棄物に分類される。

図1 生ごみの分類

資料 環境省

●排出状況

一般廃棄物に分類される生ごみは、家庭から排出されるもの及び食品流通業及び外食産業から排出されるものがあり、それぞれ前者は家庭系一般廃棄物、後者は事業系一般廃棄物に分類される。平成12年度における一般廃棄物の総排出量は5236万トンであり、そのうち、3299万トンが家庭系一般廃棄物、1780万トンが事業系一般廃棄物となっている。このうち生ごみの占める割合は、家庭系で1256万トン、事業系で576万トンとなっており、一般廃棄物全体に占める生ごみは約34%となっている。

 事業者から排出される生ごみ(食品廃棄物)の平成16年度における総排出量は1136万トンとなっている。そのうち産業廃棄物に分類される生ごみは490万トン、事業系一般廃棄物の分類されるものは646万トンとなっている。

グラフ1 生ごみ発生量の推移

出所:環境省・農林水産省資料等から政策投資銀行試算

グラフ2 食品産業廃棄物の年間発生量の推移

参考 「食品循環資源の再生利用等実態調査報告」(農林水産省統計部)

●処理の現状

平成14年度の生ごみ全体の処理状況は、焼却・埋立処分量が1,681万トンで全体の約78%となっている。家庭から排出される生ごみは可燃ごみの約3割を占め、その99%以上は可燃ごみとして焼却処分されているといわれている。また、事業所から排出される生ごみは、約5割が単純焼却または埋立処分されているおり、毎年少しずつではあるが焼却・埋立処分される割合は減ってきている(グラフ3)。残りの5割はほ再生利用されている。また、グラフ4を見ると毎年、再生利用の割合は高くなっているといえ、焼却・埋立処分から再生利用へという流れが、少しずつではあるが進んできているのではないかと思われる。また生ごみの焼却については、生ごみが水分を多く含んでいることもあり、焼却温度を下げてしまうため、有害なダイオキシンの発生に関係するなどの問題もいわれている。

次に、再生利用の状況をみると、広島県の家庭系生ごみのリサイクル率は約2%となっている。一方、事業者から排出される生ごみのリサイクル率は45%(表1)と家庭系生ごみと比べ、相当程度高いリサイクル率となっている。これには事業系生ごみが特定の場所から大量に排出され、また、その組成も比較的一定なのに比べ、家庭系生ごみが各家庭から少量ずつ排出され、その組成も複雑であることなどが、リサイクルが進まない原因の一つであると思われる。

 また、表1を見ると食品製造業(72%)、食品卸売業(41%)、食品小売業(28%)、外食産業(17%)という順にリサイクル率が低くなってきていることが分かる。これは、家庭系生ごみのリサイクル率が低い理由と同様のことが言え、食品製造業から排出される食品廃棄物(産業廃棄物)は、その排出が工場等から行われることもあり、再生利用を行うのに十分な量の確保が容易に行うことができ、また、その組成も一定の安定性を有していることと比べ、食品流通業、外食産業から排出される食品廃棄物(事業系一般廃棄物)については、多数の排出場所から少量ずつ排出されるという形態を有することに加え、その組成面においてもかなりの複雑性を有することが理由であると考えられる。

グラフ3 食品廃棄物のうち単純焼却・埋立処分されたとみなされる量の推移

参考:「食品循環資源の再生利用等実態調査報告」(農林水産省統計部)

グラフ4 食品循環資源の再生利用実地率の推移

参考:「食品循環資源の再生利用等実態調査報告」(農林水産省統計部)

1 食品循環資源の再生利用

年間発生量(万トン)

再生利用等の実施率

発生抑制(%)

減量化(%)

再生利用(%)

再生利用の用途別割合(%)

肥料化

飼料化

油脂及び油脂製品化

メタン化

食品製造業

490

72

5

5

62

55

42

3

0

食品卸売業

75

41

6

2

33

42

57

1

食品小売業

260

28

4

1

22

41

49

9

1

外食産業

310

17

3

1

12

45

40

13

2

食品産業計

1,136

45

4

3

37

52

43

5

0

参考:平成17年食品循環資源の再生利用等実態調査結果概要(農林水産省)

<参考文献>

1)広島市家庭系生ごみリサイクル研究会中間報告書(2006.3

2)「食品循環資源の再生利用等実態調査報告」(農林水産省統計部)

3)平成17年食品循環資源の再生利用等実態調査結果概要(農林水産省)

4http://www.env.go.jp/recycle/waste/conf_raw_g/01/mat03.pdf


最終更新:2006年06月22日 13:59