見学記録
作成:野瀬光弘(5月23日)

対象:
近畿環境保全株式会社
〒520-3114 滋賀県湖南市石部口3-6-13
URL http://www.kin-kan.co.jp/index.html

○会社の沿革(ホームページより)
 昭和37年 西村商店開業
 昭和52年 近畿環境保全株式会社設立
 平成14年 石部リサイクルサンター開業
 平成17年 石部リサイクルセンターを分社し、(株)湖南リサイクルセンターを設立
 →業務の多様化によって社員の異動が面倒となったこと、産廃の処分許可に関する契約がしやすいことから分社化。

○事業の内容
 湖南リサイクルセンターでは産廃、本社の草津では一廃を取り扱っている。
 産廃は各種製造業者の工場、建設業者から受け入れている。前者の中味は様々、後者(建築廃棄物)の中味は混載(コンクリート塊、木くず、ガラスくずなど)が多い。工場からの産廃は手選別、破砕(30mm以下)ののちリサイクルできないものは最終処分場へ振り向けられる。建廃のうち、木くず、石膏ボード、アスベストは分けて処理しているが、残りは他の産廃と同様の扱いとなる。なお、建廃量は一昨年からかなり減ってきており、その理由としては本社管理で経費削減の要求が強いことが考えられる。
 廃プラ(発泡スチロール)は溶融処理を行ってから中国へ輸出。ペットボトルはフレーク状、PE、PP、ポリ乳酸(生分解性プラスチック)はペレット化してからいずれも国内のマテリアルリサイクルへ。このうちポリ乳酸はいったん乾燥させるという工程が必要で、ノウハウを持っている業者は他にいない。

○ISO14001
 取得のきっかけは取引している顧客からのすすめで、以前は必要性を感じていなかったが、社内の体制が次第に整ってきたことから乗り出すことにした。また、木野環境との出会いもISOの取得に影響した。4月26日には木野環境による内部監査にパスした。

○情報提供について
 ホームページは優良性評価制度の基準に合わせて情報公開したいと考えているが、今のところ排出業者からのニーズはない。むしろ同業者がホームページのコンテンツをチェックしているケースが多い。情報を公開することになれば、廃棄物のフローは明らかになるが、排出業者から要望があれば個別に情報を提供している。他には、会社のパンフレット、取得許可一覧表、主要な許可証のコピーを見学者には提供する。

○優良性評価制度について
 滋賀県は優良性評価制度をまだ導入していないことから、会社でもまだ取り組んでいない。排出業者から制度について尋ねられることはない。

○マニフェスト
 業者の中にはマニフェストすら必要ないということもあり、説得に当たらなければならない。1日に60~70枚取り扱っており、担当の職員は4人(他の業務と兼任)。電子マニフェストにも対応しているが、あまり普及していない。

○コミュニケーション
 湖南リサイクルセンターは工場が多く立地していることもあって、そもそも周辺地域に自治会がない。草津市にある本社は自治会と協定を結んでおり、焼却炉のダイオキシンの測定値を年に4回提出することになっている。焼却炉からダイオキシンが検出されてしまって操業中止となったが、特に住民からクレームが来たわけではない。

○見学
 地域住民が見学に来ることはないが、旧石部町の議員が来たことはあった。小中学生でも1クラス分くらい(30人まで)は受け入れる余地があるが、事故のリスクは心配で、これまでのところは実績がない。
 排出業者にはセンター内をすべて案内する。最終処分場は4~5か所と契約しており、排出業者のリクエストがあったら見学する。メインで搬入している処分場だけのこともあれば、すべて回ることもあって業者によって対応は分かれる。中には「アリバイ工作的」に、処分場の入口で写真を撮るだけの場合もある。

○感想 
 全体的に手堅く、きっちりと事業を推進しているような印象を受けた。施設の中では、発泡スチロールの溶融はこれまで見たことがなかったこともあり興味深かった。また、生分解性プラスチックのペレット化は他に手がけている業者があまりないらしく、特徴的と思われる。
最終更新:2006年05月23日 11:22