産業廃棄物処理の現状
作成:鈴木
編集:足立(06.06.02)



●産業廃棄物処理をめぐる環境

 一般廃棄物の焼却炉と同じく、産業廃棄物の焼却炉においても2002年12月よりダイオキシン規制が強化されたことを受けて、一部では焼却処理から撤退する事業者も見られた。
 全般的にみると、資源の有効利用が進展し、最終処分量は減少傾向にある。特に鉄くずやプラスチックなどのリサイクル市場が活性化しているが、その理由としてアジア圏の経済活性化によるリサイクル目的での輸出が増加していることがあげられる。日本企業の海外進出も進み、製品だけではなく、リサイクル資源も国際的に取引される状況となっている。
 一方で「暴力団にとって廃棄物処理業は、ヤミ金融に次ぐ収入源」とささやかれることがあるほど、不適正な処理が一部で行われている面はある。不法投棄などの事件は絶えない中で、2005年10月からは廃棄物処理の有料事業者の評価システムが稼動するなど、業界全体での優良化に向けた動きが始まっている。処理業者の中には、最大限の環境配慮をしながらリサイクル業に参入して事業を拡大していこうという動きもでてきている。


●2003年度の産業廃棄物処理の実態

 2003年度における全国の産業廃棄物の総排出量は4億1200万トンとなっており、一般廃棄物の約8倍に達する。ここ数年で微減傾向が見られる(図1)。
 産業廃棄物の排出量を種類別にみると、汚泥の排出量が最も多く、1億9,038万トン(全体の46.3%)であり、次いで、動物のふん尿が8,898万トン(同21.6%)、がれき類が5,925万トン(同14.4%)となっており、この3品目で全排出量の約8割を占めている(図2)。排出量が多い業種をみると、電気・ガス・熱供給・水道業が最も多く下水道汚泥などが排出されているほか、農業からは動物のふん尿、建設業からはがれき類や汚泥が対応している(図4)。
 最終的には、排出された産業廃棄物全体の49%にあたる2億183万トンが再生利用され、7%にあたる3044万トンが最終処分されている(図3)。



●産業廃棄物処理施設の動向

 最終処分場の新規立地は、立地手続きを強化された1999年度以降大きく減少しており、2003年度は24件のみとなっている(図5)。
 ただし比較的大規模の処分場が整備され、最終処分場の残存容量は微増傾向にある。リサイクルの推進等により最終処分量が大幅に減少していることもあり、残余年数は上昇している。



●産業廃棄物処理業の許可と処分

 産業廃棄物処理業は都道府県および保健所設置市から許可を受ける必要がある。この許可件数をみると、収集運搬が13%増えて18万5394件、処分業が4%増えて1万1054件となっている。このほかに特別産業廃棄物処理業の許可業者があり、合わせると延べ21万6939件となる。これは5年前と比べて、7割以上も増加している。
 ただしこれらの中で、工務店など工事によって発生した分を自ら運ぶためなどで許可を得ているものも多く、メインの業務として仕事をしているものはそれほど多くな
 一方許可を与えた都道府県は、適正な処理を行っているか立ち入り検査を随時行い、不適正なことが行われている場合には、行政指導、さらには行政処分などが行われることもある。
 2004年度に実施された立ち入り検査は約10万9000件、報告徴収は4万500件にのぼる。さらに行政指導が1071件、停止命令が出されたのは398件となっている。行政指導および停止命令については、それぞれ前年より5割程度多くなっている。



●最終処分量の把握の問題

 産業廃棄物の最終処分場については、環境省においても情報が把握できていないのが実態となっている。最終処分場の残余容量については毎年報告がされているが、あくまでも各事業者へのアンケート調査に基づいて集計しているもので、実態を反映しているのかは明らかではない。新規立地された容量、毎年埋め立てられる容量と比較すると、最終処分場に実際埋め立てられている量は、統計値より少ない傾向が出てくる。
 不法投棄の統計として示されている量は毎年約20~40万トンであるが、最終処分場の容量から算出される誤差の100分の1程度となっている。最終処分場に埋め立てられずに不適正処理されている可能性も指摘されている。







産業廃棄物処理の現状

 産業廃棄物は、主に事業活動に伴って排出されるごみで、廃棄物処理法で20種類が定義されています。このごみは、排出者が責任を持って処理をする義務があります。
 また、処理を委託する場合にも、産業廃棄物の運搬・処理の許可をもっている業者に出す必要があるほか、「マニフェスト」と呼ばれる伝票を発行し、きちんと処理がなされたのかを業者をたどって把握する義務もあります。


産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成15年度)

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=6519(プレスリリース)
http://www.env.go.jp/recycle/waste/sangyo/sangyo_h15.pdf(詳細版)
(環境省2005年11月8日発表)

最終処分場の残余容量

http://www.env.go.jp/recycle/waste/sangyo/sangyo_h15b.pdf
(環境省2005年11月8日発表)最終処分量が減少しているために、残余年数(あと何年処分場がもつか)は緩和されつつあります。

産業廃棄物処理施設(平成15年度)

http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=7016(プレスリリース)
http://www.env.go.jp/recycle/waste/kyoninka/kyoninka_h15.pdf(詳細)
(環境省2006年3月31日)
最終更新:2006年06月02日 15:55