週刊循環経済新聞(2008年9月29日)
木材情報328 廃材ダブつきはもうない


 「東北で廃材がダブついている地域はもうない。需要家は越境して確保しているのが現状だ」(某チップ生産者)。
 東北地域の7月の新設住宅着工戸数は前年同月比8.2%減の4,645戸。地域別では青森県55戸(6.6%減)、岩手県713戸(36.9%増)、秋田県431戸(14.3%減)、山形県692戸(7.5%増)、福島県1,034戸(7.7%増)となっている。
 大手燃料需要家が工場の点検を行うため集荷を停止していたものの、新規施設の稼働もあり、木材需要はこの1か月あまりで23万トン以上増加した。このため周辺地域の動向にも影響。新規需要のない青森、岩手、群馬、新潟などの価格上昇につながっているという。東北のある関係者は「1県を除き価格は完全な有価物」と口にする。特に燃料需要家は本業の如何に関わらず「対石炭価格からみて廃材の集荷は強気の傾向が続く」との見方がされている。
 原料需要はさらにひっ迫した状況だ。どのメーカーも生産のため一部で「白チップ」などを投入しているという。廃材についても価格を上乗せ、低品質物の受け入れなどを進めているが「燃料需要に引きずられることは否めない」(某メーカー工場長)という。
 こうした状況のなかで、チップ生産者は「今年の冬は昨年以上にひっ迫するだろう」という厳しい見方をしている。

 

※本当に白チップを投入しているか確かめる必要があります。RPFの生産量が次第に伸びていますし、他にも燃料になりうるバイオマスはあるはずです。「循環的な資源利用」にはきちんと統計を整備が不可欠でしょう。


週刊循環経済新聞(2008年9月22日)
木材情報327 景気減退 ギャップ顕著に


 「改正建築基準法の影響が続き、景気は後退局面で需要だけが増加。廃木材の分散傾向も進んでいる」
 チップ業者、需要家を問わず関係者はみな近況をこう語る。需給ギャップは各地で顕著となっているが、これまで低止まりながら比較的需給状況が安定していた北海道も例外ではなくなっている。
 道内の産業廃棄物の排出量(02年度)は4,106万1,000トン。このうち木くずは2%の70万3,000トンで建設分野からは45万8,000トンを占める。残りは製造工場などから出る端材となる。循環資源として539トンが道内に搬入されている。
 一方、国交省が発表した08年7月の新築住宅着工戸数は前年同月比19%増の9万7,212戸、着工床面積は同15.9%増の806万1,000平方メートル。ともに13か月ぶりの増加となった。だが昨年7月は改正建築基準法の影響から着工数同23.4%減、床面積同23.3%減となっていた。
 その中で、道内だけをみると今年7月の着工数は同5%減の3,688戸、着工床面積は10.6%減の31万平方メートルに落ち込んでいる。
 帝国データバンクが調査した全国の景気動向調査によると5年3か月ぶりの低水準(30.3ポイント)となった。道内は、道北大手建設会社の破産などもあり基幹産業の「建設」「農・林・水産」が低迷したことから過去最低を更新(26.7ポイント)している。
 こうした状況下で、木くず需要は各省庁関連や道の補助を受けて施設の整備が進められており、把握できるだけでも今年度中には年間30万トン以上の増加が見込まれている。熱・暖房供給会社、クリーニング会社、温泉施設やホテルなどでも化石燃料の代替が進む。各施設とも数千~1万数千程度を利用する計画だ。未利用材のペレット化、建材利用の計画もある。ある関係者は「潜在的には60万トン程度の需要はあるのではないか」と話す。
 需要増加と比例して、価格でも今年1~6月で2回相場が上がったという声も聞かれている。
 積雪の影響から解体材の発生が鈍る冬場を前に、どの業者、需要家も蓄えをしたいところ。だが「一昨年どころか前年同月比でも十数%減という印象」と語る関係者もいる。

 

※2009年になってから振り返ると、すでに2008年には景気後退が鮮明だったことが伺えます。木くず需要は公共事業による底上げがあって生じていますので、いずれポテンシャルがパッタリなくなる時期が来ると思います。


週刊循環経済新聞(2008年9月8日)
木材情報326 注目の協会独自指針 後半部分の詳細内容紹介


 前回、東海木材資源リサイクル協会(名古屋市、山口昭彦会長)が、愛知県の「再生資源の適正な活用に関する要綱」に基づいた「再生資源活用審査制度」を受け作成した、協会独自の指針の内容を紹介した。
 愛知県では、フェロシルト問題など産業廃棄物や製品の製造過程で生じる副産物が再生品として使用されるにあたり、生活環境保全上のトラブルが相次いでいる。それらの状況を受け、再生品などが市場に流通する前に、それらをチェックすることを要綱の目的とした。また、同要綱に基づいた制度では、再生品(再生資源を使用して製造した製品)を愛知県内で製造、もしくは愛知県内で排出または発生した再生資源をそのまま販売する場合、すべて届け出および審査の対象となる。すでに販売されているリサイクル製品も対象となるため、木くずチップも該当するとしている。
 協会独自指針の作成により個々の協会員の届け出は不要になる。その上で、日常的な協会員ごとの製品の品質管理などを徹底する内容となっている。
 例えば、製品の販売実績の記録保存については、「排出元の記録」・「販売先の記録」・「販売総量実績報告」に分類。履行状況の確認においても、定期的に分析検査を受けた木質チップの性状の管理の履行状況を年に一度、木質チップの販売総量を毎月協会に報告するなど、品質の管理徹底が担保される。また、協会員の行政への対応として、県が求めた場合、生産および保管施設の確認もしくは、必要な記録の調査または木質チップの提供などに協力するとしている。
 仮に販売ができない場合の措置として、協会員は販売することが困難になった木質チップについては、廃棄物の処理および清掃に関する法律に基づき適正に処理することと規定されている。

 

※審査制度は非常に大事ですが、違反しても罰則がないので実効性が伴わない可能性があります。木くずチップに六価クロムやヒ素といった有害物が含まれていても不思議はありませんし、データを改ざんした場合の対策は講じた方がいいでしょう。

最終更新:2009年04月01日 19:22