週刊循環経済新聞(2008年3月24日)
木材情報309 燃料チップとその他燃料


 東日本では今年から来年にかけて、新規ボイラーの稼働がピークを迎える。
 本紙調査によると、今後、稼働予定のボイラーは9基で、7基がすでに稼働または今年中の稼働を予定している。このうち1基は自社製材所からの端材を使用するが、燃料用チップとして年間46万7,000トンが新たに必要となる。北海道については今年中にボイラー2基が稼働し、年間26万4,000トンの需要が生じる見込みだ。
 加えて先日、ある製紙メーカーの燃料担当者に聞いたところ、燃料高騰から一部の既存石炭ボイラーでも石炭から燃料チップに置き換わっているという。こうした動きやセメント炉での利用分を含めると、燃料用廃木材の需要実態はさらに増すことになる。
 バイオマスボイラーの多くは、NEDOの補助金を受けて建設されるため、混焼時のバイオマス利用率が設けられている。だが需要増加に加え、解体材の排出が少ないなか、ボイラー稼働のために各需要家は、規定以内で木質以外の廃棄物系燃料の混焼割合を増やすことを検討または実行し始めている。
 5月に本稼働を予定する北関東のある需要家施設は、燃料チップの供給を老舗チップ業者数社から受ける予定となっている。だがここにきて、当初予定していたよりも廃タイヤチップの混焼割合を増やして稼働に臨むという。
 また今年に入り、木質チップの燃料供給会社の設立を発表した北関東のバイオマス発電施設は、先日の中間決算で、発電ボイラーでの樹皮や間伐材、下水汚泥といった燃料の多様化を検討する必要があるとコメントしている。

 

※燃料多様化は進行中ですが、化石燃料の代替による効果を明確にする必要があります。もし効率が悪かったり、有害物質が排出されるようなら避けた方がいいと思います。特に下水汚泥の重金属問題は注意すべきです。

 


週刊循環経済新聞(2008年3月17日)
木材情報308 原料と燃料の差


 全国的に木質チップが不足するなか、当方区地域も例外ではなく価格の見直しが熱を帯びているようだ。
 一部の大都市圏を除き、これまで比較的、業者間の集荷競争が踏みとどまってきた地域だが、建築基準法改正の影響を受けた昨年夏以降、東北のチップ業者からは、「前年比3割減」という状況も耳にしてきた。特に太平洋側では、北関東の業者も交えた値下げによる集荷競争が行われてきた。現状ではある一定ラインで下げ止まっているという話も聞くが、依然として厳しい状況は続く。
 一方、燃料チップ、ボードチップそれぞれの値段は、ほぼ「固定相場」で取り引きされてきた。だが集荷が厳しいという意味ではユーザー側も同じだ。ここにきて東北地域の相場を決めるある大手燃料ユーザーが値上げに動き出したという。また今秋に新規稼働を控える別の燃料ユーザーも、東北から関東までの広範囲で積極的な営業を展開している。マテリアル材に比べ品質を選ばない強みを生かして集荷したい考えだ。
 そんな中で、あるボードメーカーも当分の間は上限を設けずに積極的な営業を展開する方針を固めているという。燃料用も集荷しながら、品質の劣るチップを製造工程に投入できるよう、ラインの見直しを検討し始めたということだ。
 ボード用、燃料用のどちらかを集荷するにしても、品質・価格の差がさらに近似してくることも予想される。ある業者は「体力があるだけに他のユーザーが引きずられるのでは」と語る。

 

※様々な資源と同様に木質チップの値上がりも避けられないと思われます。結果的にバイオマス発電業者の淘汰は仕方のないところでしょう。


週刊循環経済新聞(2008年3月10日)
木材情報307 需要と責任の間で


 関東では今春をめどに、木質チップの相場が動く可能性が出てきた。
 昨年6月の建築基準法改正の影響を受け、チップ製造業者はどこも集荷に苦労する状況が続いている。下期に入ってから、ユーザーあるいは商社との間で1キロ当たり数十銭程度の上げ幅で見直しが行われたが、「処理料金の下落がはるかに(上げ幅を)上回っている」(関東某チップ業者)。
 廃材が不足する現在、チップの販売価格は「距離」や「量」を考慮して個別交渉で決まるケースも増えてきた。その場合でも、各業者とも自社を基準に相場観をつかむ以外なく、同業他社を意識するあまり、売り手市場のはずがかえって相場を抑える結果となっていた。
 だがここにきて今年2月半ば、関東の大型バイオマス発電施設にチップを供給する有力業者同士が都内某所で会合を開き、大幅な価格の見直しを要求することが取り決められた。この要求は、廃材不足の状況下で相当量の供給責任を果たすためのものという。
 ある業者は、「これだけ有力業者が揃っておきながら『安定供給』ができないという状況だけは避けたい。そのために市場に見合った価格の見直しが必要」と口にする。
 ユーザー側も使用量確保のため、これまで段階的に価格の見直しに応じてきた。その結果、関東からは平均300キロ以上、チップが移動している。今回の交渉の結果次第では、価格相場並びに関東圏という近場のメリットから、チップの流れにも大きく影響を与えそうだ。

 

※書いてある会合はカルテルと誤解されても不思議ではないほど微妙な内容です。オープンな会合で木材チップの品質や規格などを話し合ったのなら問題ないはずです。

最終更新:2008年09月02日 16:52