週刊循環経済新聞(2007年12月10日)
木材情報299 同業他社からの材確保で事業成長


 木くずチップの商いは、売り手市場に変わったのは間違いない。マテリアル利用でユーザーが広域的に営業をかけ、チップ購入価格の値上げや、運賃負担を申し出るケースが増えている。このような営業は商社経由ではなく、ユーザーからチップ業者へ直にアプローチすることが多い。
 しかし、流通実態は単にチップ業者や商社が、引き取り条件のいいユーザーを優先的に選ぶというものでもない。業歴の長いチップ業者は、3~4年前までの受け皿不足の時代に、ユーザーの理解や信頼関係を構築することで、何とかチップを流通させてきた。
 その時の恩義があり、時代が変わったからと供給先や調整役の商社を安易に変えると、ユーザーから信頼されなくなる。もっともジレンマもあり、新興のチップ業者は従来の商いに縛られないから、条件のいいユーザーを遠慮なく選び、ユーザー側も有力な営業開拓先に位置づける。
 需給関係が逆転したが、遅かれ早かれ、チップの購入価格の上昇は避けられない。今後はこれまでの信頼関係と費用対効果のバランスをにらみながら、流通経路の見直しがすすめられていく。
 チップ業者側の課題は、確実に廃材確保の1点に絞られている。埼玉県のクワバラ・パンぷキンは、自ら建物解体と中間処理を兼業で行い、同業他社の排出側の要望に添う形で、解体工事業者からの受け入れにも力を入れている。埼玉県騎西町に2つのチップ施設を構え、2001年以降、廃木材の取り扱い実績が年々伸びている。2004年度は8,852トンと初めて8,000トンを超え、木材のユーザー開拓がすすみはじめた2005年度は9,651トン、2006年度は1万4,552トンと急成長を遂げ、2007年度はチップの調達競争の激化と夏以降の急激な建設不況を受けながら、1万6,800トンの実績見通しを示している。2008年度以降は年間2万4,000トンの実績目標を掲げている。

 

※建築業界は小規模・零細な業者の数が多いので、しばらくは既存のチップ専門業者や廃棄物処理業者が生き残れるはずです。合理的な経営判断の中に占める「しがらみ」の比率がどう推移するかがこれまでの関係を維持するカギになります。


週刊循環経済新聞(2007年12月3日)
木材情報298 需要あっても廃材量増えない


 中国の内需拡大で同国の住宅需要が増大し、内装に使う化粧木材の消費量も急速に伸びているという。元々国内の森林資源に乏しく、調達方策の1つとして日本の木造建物の解体材などから出る古材が着目された。
 国内は移築やインテリア&エクステリア、店舗装飾などでわずかな需要があるのを除くと、古材は今でも廃棄物扱いだ。金額は下がり気味だが、チップ業者などが処理料金を徴収した上で受け入れ、チップに加工した段階で初めて製品として流通する。
 しかし、今のところ無垢の柱・梁に限定され、流通ルートも限られているものの、中国輸出だと解体工事業者や処理業者は古材を有償売却することができる。売値も上昇機運にある。当初は近畿地方でしか事業化されていなかったが、水面下で各地に輸出計画が持ち上がっている。近い将来、廃プラスチック類と同じような道筋を歩むことになりそうだ。
 チップ需要についても、未だにバイオマス発電施設の新設や新設計画が後を絶たない。受け皿の整備が進む一方で、チップ施設を含めて木くずを受け入れられる中間処理施設も増えている。
 それでも肝心の廃材は現状の解体などの建設系や製材・木工系、パレットなどの物流系に頼るだけでは供給が増えない。間伐材などの有効活用もまだ検討が始まったばかりで、事業化は仮に実現しても数年先になりそうだ。
 特にマテリアル利用で目立つが、チップの需要家のなかには購入価格を上げるところが目立ってきた。チップ業者はわずかなら処理料金を下げて廃材を調達することも可能になるが、同業者間の競争が厳しく、このままだと事業運営のひっ迫が当面続く。
 個々の業者の中には独自のアイデアで、これまで利用できなかった廃材の活用を図るケースも出てきた。

 

※中国の森林資源が乏しいのは事実ですが、需要がどの程度あるのかはよくわかりません。住宅の内装材に無垢の柱や梁が使われているらしいので、将来の動向を探るにはまず実態を調べる必要があります。

最終更新:2007年12月20日 16:29