しろいえきたい - ジョジョの奇妙な聖杯戦争

219 名前： マロン名無しさん 2006/04/17(月) 23:40:19 ID:???

　遊園地の片隅、券売機の横、そこに一人の男がいた。彼は刀を構えて、佇んでいた。
「・・・・・そろそろいいでござるかな。人はおらぬが・・・まあ、問題ないであろう」
『・・・・そうか。貴様、そんなことが俺にできると思っているのか？』
「・・・できるかできないかの問題ではござらぬ。やらねばならぬのだ」
『・・・・・そうか。ではやるぞ』
「うむ」

「さて、ここに取り出したるは霊峰筑波の蝦蟇より作った油！これを紙に染み込ませて、刀で斬る！
すると奇妙奇天烈この通り、ほれ！」
　小次郎はパタパタと扇で掌を扇いだ。すると、賽の目に切り刻まれた紙片が舞い散る。
　
　拍手は起こらなかった。
　する人間がいなかった。
　犬が一匹、口の中でくちゃくちゃと牛のように音を立てた後、欠伸をしてどこかに立ち去ってしまう。
「ううむ・・・やはり修行が足りぬのか・・・もっとこう、如何にも桜吹雪といった風情に・・・」
『・・・小次郎よ』
「なんだ？」
『俺は風聞に聞いた、というか前にもやらされたのだが、これは『奇術』であって『業』ではないのではないか？』
「・・・な、なぬう！？では自分の修練は無意味だったというのか！？」
『少し考えれば分かるだろう・・・・』
「そ・・・そんなことを言われても、何か働かなくてはまた何か家で酷い目に・・・・・」
「・・・・何をやってるんだかな」
　突然、誰もいないはずのベンチから声がした。

220 名前： マロン名無しさん 2006/04/17(月) 23:50:57 ID:???

「き・・・貴様はアーチャー！？」
『なぬ！？』
　咄嗟に、小次郎とアヌビスの闘気が、澄み渡った。背中から物干竿を抜き、二刀の構えを取る。
「おいおい、そういきり立つな。幾ら人気がない、とはいえ、ここで戦ったら、凄まじい被害になるぞ。貴様とて、バカではないだろう？」
「ふむ・・・一理ある。だが、ならば逆に問うが、訳もなくサーヴァント同士が会うこともないであろう？何を企てている？」
「ううむ・・・ほれ、なんだ。何故だろうなあ？」
「は？」
「そう、辻褄が合わない話ではないか？」
「はあ・・・？」
「いや、エンリコ・プッチがな。時間を稼げ、というのだ」
「それで？」
「いや、それだけだ。辻褄が合わない話だろ？」
「合わんなあ」
「それだけだ。じゃ、もう合うこともないだろうな」
「？」
「・・・・・早く起きた方が身のためだぞ」
「はあ？」


　暗転

221 名前： マロン名無しさん 2006/04/18(火) 00:17:29 ID:???

『・・・・・・おい、小次郎、起きろ！起きろといっているのだ！』
「・・・・・・・・は！？ここは！？」
　そこでようやく小次郎は自分が置かれている状況に気がついた。体中を、白い粘着質の液体が覆っている。
「く・・・これは！？」
『おそらくホワイトスネイクとやらの能力！この液体は胃液と同等の溶解度を持っているぞ！俺達は絶ッ・・・・・・・対に逃げられん！』
「ではどうやって逃げるのだ？」
『だから絶ッ・・・・対に逃れられんのだ』
「・・・・・・・・・・・・・もう駄目だ」

「ほれ、見られいアヌビス。これが最後に我々が見る光景だ」
『悪いが俺には視覚はない。感覚で受け取ってるだけだ。というか最後に見るのはトイレのタイルか？』
「そうだな・・・・・・・」
『そうだ・・・・・・・』
「・・・・・・・・・・」
「なにをやっているんだ？」
　突然、頭上から聞き覚えがある声がした。
「お・・おおお！吉良殿！」
『何でここに来たか言う前に、早く俺達を助けろ！』
「ふうむ・・・またサーヴァント連中が何か始めるのかな、と思って見に来たが・・・まあいいか。助けよう。キラークイーン！」

222 名前： マロン名無しさん 2006/04/18(火) 00:18:31 ID:???

「いやあ、吉良殿、実にかたじけない。実に助かった」
　二人で丘の上の屋敷への家路に向かいながら、話し込んでいた。
「ふう・・・次からきをつけてくれよ・・・ほら、まだうまくあるけないだろう。肩を貸そう」
「いやはや、すまんでござるなあ。うう、まだ白い粘液が・・・・・」
「・・・・・ところで、なんであんな場所にいたんだい？」
「いや、それはもう、お家の為に、あ」
　と、吉良邸の玄関が、音を立てて開いた。 でてきたのは・・・勿論・・・・キャスターというわけで。
「お帰りなさいませ～、吉良さ・・・・・・・」
「いやあ、実に面目ない。この通り敵の攻撃に・・・・・・・・・」
　混乱。男二人肩貸しあって歩いて、全身白い粘液つけて。
「ん？どうしたのでござるか？・・・ちょ、その目の色は、うは、ちょっと」

爆音

頑張れ小次郎！！　いつか強敵がまともに戦ってくれるその日まで！