ジョジョの奇妙な聖杯戦争

ある日の空条家・・・?

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203 名前: マロン名無しさん 2006/03/24(金)13:43:47ID:???
>>34の続き
その晩のこと。

「ホリィは本当に料理が上手い。この煮物など感嘆物です。」
箸を握りしめながらうっとりとするセイバー。

「うふふ、その煮物は夫と承太郎の好物なのよ。
 私のパパはセイバーちゃんと同じイギリス育ちで、和食が苦手だったけれど
 気に入って貰って嬉しいわ。」

「祖国の料理など、この料理に比べたら暖炉の煤以下です!」
強く主張するセイバーであった。

(やれやれだぜ・・・)
和気藹々している2人を眺めて肩を竦める承太郎。
食事中だと言うのに帽子は被ったままである。
ちなみにホリィは、セイバーは「ジョセフの友人の孫娘」であり
日本に短期留学中である、と説明されている。

(・・・それにしても朝の敵が気になるな。結局最初の一発だけで音沙汰が無い・・・
 あの距離からあのパワーで攻撃できるスタンドは通常考えられない。
 サーヴァントによる攻撃となると、やはり敵はアーチャーか。厄介だな・・・何か手を考えねーと・・・
 索敵も『スタープラチナ』の目視だけではキツいな)

「そういえばセイバーちゃんってボーイフレンドは居るの?」
承太郎が考え事をしている間に2人の会話はどんどん横に逸れていた。
しかも承太郎の好みではない分野に。

「いませんが・・・」
セイバーがなんとも複雑な表情で答える。
剣の英霊も承太郎と同じく色恋沙汰は得意とするところではない。

204 名前: マロン名無しさん 2006/03/24(金)13:44:40ID:???
「あら、そうなの?セイバーちゃん可愛いのに・・・そうねぇうちの承太郎とかどうかしら?」
セイバーが顔を赤らめる。
「いや・・・その私は騎士・・・ですから」

(お袋め・・・)

セイバーの話を無視してまくし立てるホリィ。
「承太郎ったら、女の子にはモてるらしいんだけど、本人に全然その気が無くって・・・
 女の子と親しく話すのもセイバーちゃんが始めてだったりするのよ。
 承太郎はこう見えて、心のやさしい子だからとってもオススメよ?」

満更でもないのかセイバーの顔がどんどん赤くなる。
全てを無視してひたすら食べる承太郎。

(全く・・・それどころじゃ無いんだがな・・・しかしこの煮物は旨いな
 この煮物はお袋にしか作れないだろうな。
 
 お袋にしか作れない煮物?
 お袋は今日は親戚の家に泊まってるんじゃあなかったか?
 急に恋愛の話を始めたのも不自然だ。もう少しお袋は慎み深いところがあると思うんだが・・・
 何だかおかしい・・・違和感が抑えきれない・・・
 まさかこれは俺が見ている幻覚か?
 
承太郎が眼を醒ますと、どろどろになった部屋にセイバーと承太郎が倒れていた。
「やっと起きてくれましたね・・・太郎」

『風王結界』の風で承太郎の帽子が吹き飛んでいる。
その衝撃で起きることが出来たようだ。

「我々は敵の『スタンド攻撃』を受けているようです。そして幻覚を見せられていた。」

→to be continued
247 名前: マロン名無しさん 2006/03/24(金) 15:58:44ID:???
>>204の続き
「私のクラス・セイバーのスキル・耐魔力は『スタンド攻撃』にも多少の効果があるようです。
 恐らく、そのお陰で太郎より先に覚醒することが出来た。」

どろどろになった空条家の台所で、半ば溶かされながらセイバーが説明する。
「なるほどな・・・助かったぜ・・・」
「絶望的な状況に変わりありませんが・・・ありがとう」
セイバーが微笑する。

「セイバー、体は動かせるか?」
『スタープラチナ』を出してスタンドの動きを確かめながら承太郎が聞く。

「無理ですね・・・風王結界の封印を解いて風を起こすのがやっとのようです。」
「そうか。よし、なら武装を全て解除しろ。」

「え?」
困惑しつつ、鎧を解除し『風王結界』を納めるセイバー。

「今のスタープラチナでは鎧を付けたままのお前は『重い』んでな」
そう言うと、承太郎は『スタープラチナ』でセイバーを掴んで投げた。
「オラァッ!」

生身では小柄な女の子に過ぎないセイバーは数メートル投げ飛ばされ、部屋の外に落ちる。
「よし、やったな・・・俺をひっぱってくれ・・・脱出しよう。」


「脱出するとはな・・・この『ホワイトスネイク』の幻覚から」
そう呟いて消えた影があった。

248 名前: マロン名無しさん 2006/03/24(金) 15:59:31ID:???
「恐らく、これは朝の攻撃の奴だろう。アーチャーのマスターによる『スタンド攻撃』だ」
「アーチャーですか。遠距離攻撃を得意とするクラスとなると・・・厄介ですね」
外に身を晒さないようにしながら会話する。当然狙撃を恐れてのことだ。

「このまま家に閉じこもっていても埒があかない。撃って出るべきです」
「だがな、俺のスタンドもお前の宝具も射程が短いのが弱点だ。
 唯一対抗できるのは『約束された勝利の剣』くらいのもんだが・・・あれはな」
「ええ、燃費が悪い。今の私の魔力では1,2発が限度でしょう。
 しかし、相手の位置さえ掴めれば一撃で決めることができる。」

承太郎は少し考えて答えた。
「やれやれだ・・・それ以外に手は無いか。」

外に出た二人は互いを背にした体勢を取った。
承太郎は『スタープラチナ』の超視力で、セイバーは持ち前の動体視力と直感で周囲を警戒している。
「太郎、敵サーヴァントの正体はわかりませんが、我々を一撃で倒しきる程の宝具は一撃一発しか放てないはずです。
 恐らく連射は不可能だ。魔力が持たない。」
「解った。」

そう承太郎が答えた瞬間、高速で物体が飛来した。
セイバーが手にした『風王結界』で弾き飛ばす。
「太郎!敵の姿が見えましたか?」
「いや、駄目だ。撃った後移動しているのか・・・捉えきれなかった」
「敵は剣のようなものを射出しているようです。注意を」

今度は『スタープラチナ』が弾く。
「このスピードなら対応できるな」
攻撃を捌き、位置を探りつつ移動する。

249 名前: マロン名無しさん 2006/03/24(金) 16:00:06ID:???
二人が敵の攻撃に慣れを覚え始めた頃、
セイバーに向かって二十の宝具が「ほぼ同時に」飛来した。

 I am the bone of my sword.  (体は剣で出来ている)
 Steel is my body,and fire is myblood.  (血潮は鉄で 心は硝子)
 I have created over a thousandblades.  (幾たびの戦場を越えて不敗)
 Unknown to Death.  (ただの一度も敗走はなく)
 Nor known to Life.  (ただの一度も理解されない)
 Have withstood pain to create manyweapons.  (彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う)
 Yet,those hands will never holdanything.  (故に、生涯に意味はなく。)
 So as I pray,unlimited bladeworks.  (その体はきっと剣で出来ていた。)

ビルの屋上から男が呟いた。
「単発を防ぐか。ならば二十発ではどうかな?」

(二十本だと!?無理だ、セイバーには防ぎきれない!)

『スタープラチナ・ザ・ワールド!』
時が静止する。セイバーを突き飛ばす。
ラッシュで剣を弾き飛ばす。
「時は動き出す」

その瞬間、背後に影のような物が現れた。
「なるほど。瞬間移動のような能力かと思っていたが、
 どうやら時間を止めて動いているようだな。それほど強力な能力は連続では使用できない。
 そしてこの時を待っていたぞ。お前の背後に忍び寄ることが出来るこの時を!」

『ホワイトスネイク』の手が承太郎の頭部を襲った。
「既にDISCは出来ていたな・・・いいぞ。お前の『スタンド』は貰った」 

→to be continued
268 名前: マロン名無しさん 2006/03/24(金) 21:20:35 ID:???
>>249の続き

自分が「時を止めた」承太郎に突き飛ばされたことを認識したセイバーは
1つ違和感を覚えた。体が重いのである。
(これは・・・魔力供給が弱くなっている?)

「太郎!どうしたのですか?」
スタンド使いのマスターが使役するサーヴァントは、魔力供給をマスターの『スタンドエネルギー』に依存している。
その為、承太郎の異状にすぐ気付くことが出来たのだろう。

「俺はスタンドを奪われたようだ。」
「太郎!まさか私を庇って」
 崩れ落ちながら続ける。
「いいか、落ち着いて聞け。 敵スタンドを追え。
 追い付きさえすればお前なら必ず勝てる・・・」
そこで承太郎は意識を失った。

セイバーは飛び跳ねるように駆け出した。


「クッ・・・」
アーチャーが膝を付く。
「さすがに投影数十回の上に、固有結界の展開は堪える。魔力が底をついたようだ」

プッチが振り返って言う。
「よくやってくれた。あの男に隙を作っただけでも十分すぎるほどだ。しばらく休んでいるといい。
 今『ホワイトスネイク』が奴のDISCを持ってここへ向かっている所だ。」

269 名前: マロン名無しさん 2006/03/24(金) 21:21:35 ID:???
「敵のサーヴァントはどうしている?」
「サーヴァント?あの剣士風の奴か。私の『ホワイトスネイク』は既にかなりの距離を取った。
 短時間で見つけることは不可能だ。心配することは無い。」
そう言った途端、プッチの肩から血が噴出した。
「何だとッ!」

驚くほど短時間でセイバーは『ホワイトスネイク』を見つけ出していた。

肩を抑えながら『ホワイトスネイク』が問う。
「貴様、どうして私の位置が・・・」

「我々サーヴァントはマスターと魔力供給を通じてリンクしています。
 故にサーヴァントはマスターの位置を感じ取ることが可能です。
 ところが、先程から私のマスターの位置が二つに別れていまして」
セイバーが口の端で笑う。
「だったら太郎の方向ではない方があなたの居所だと思ったんですよ」
「なんだとッ!」

セイバーが斬り込む。
『ホワイトスネイク』は必死に防ぐが剣の英霊の技に対応できず、次々と傷が増えていく。
(太郎がお前なら勝てると言った意味がわかる。
 この『スタンド』は私の剣速に対応できない。
 遠距離型故に速度に劣るということですか)
自分を身を呈して守った男の事を考えると不思議と力が湧いてくる。剣速が更に増す。

数合の内に勝敗は決した。
セイバーの『風王結界』が『ホワイトスネイク』の喉元を捉えたのである。
「太郎の『スタンド』返して頂こうッ!」

270 名前: マロン名無しさん 2006/03/24(金) 21:22:39 ID:???
「そこまでだ、セイバー」

背後から男の声がした。
「その男は私のマスターなのでね。命まで奪われるわけにはいかない」

振り向くと男は明後日の方向に宝具を向けながら立っていた。
「この宝具は君のマスターを狙っている」

セイバーは慎重に問い返す。
「どういうつもりですか?」

皮肉たっぷりの表情で男は答える。
「何、取引ということさ。君のマスターの『スタンド』は返す。その代わり私のマスターの命も返してもらう」

「私があなたを信用するとでも?」

「私とて英霊の端くれだ。約束は守るさ」
肩を竦めながら男は答えた。

セイバーにはその男が不思議と信用できるような気がした。
かつて、どこかで、違う世界の自分が、その男の言葉を信じたような気がした。

セイバーは笑うと
「いいでしょう」
とだけ答えた。

271 名前: マロン名無しさん 2006/03/24(金) 21:23:35 ID:???
目を醒ました承太郎が最初に見たものは、自分を心配そうに見下ろすセイバーの顔だった。
「やれやれ・・・どうやら礼を言う必要がありそうだな・・・」


次の日、夕食のおかずの煮物を嬉しそうに食べながらセイバーは言った。
「太郎、この煮物はとても美味しい。ホリィは今日も居ないようですが、太郎が作ったのですか?」
「『スタープラチナ』で味を出来るだけ再現してみたんだがな」
「どういうことです?」
「なーに、命を救って貰った礼って奴だ」
「?」

不思議そうな顔を少しだけした後、セイバーは続けて豚汁に取り掛かった。


(とりあえず終わり)


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